ザ・マジック・オブ・ジュジュ/アーチー・シェップ

   

バックのパーカッションもたまらん!

ブビブバ、ブリブリ……。
猛然と休みなくテナーサックスを吹き続けるシェップ。

行け行け、もっと吹け!休むなシェップ、もっと行け、もっと吹きまくれ!

タイトル曲の《マジック・オブ・ジュジュ》は、聴いているこちらの気分も高揚してくるが、 この気分に、さらに油を注いでくれるのが、バックの怪しいリズム群だ。

シンプルなパーカッションから始まるリズムパターン。
しかし、徐々に、様々な音が被さってくる。

一滴の水がやがて大河になるように、一つ一つのリズム楽器の小さな反復による組合せが、気がつけば大きく巨大なウネリを形成してゆく。

これはタマラン。

祭的、いや、呪術的な興奮に近いものを感じるのは、耳より、身体のほうがダイレクトに反応し、悦びを感じるからなのだろう。

楽しげオレンジどくろ

ジャケットのオレンジ色にペイントされたドクロも、呪術的なムードを高めるのに一役も二役も買っている。

しかし、このドクロ、頭部に花の模様がペイントされているからというわけでもないのだが、全然おどろおどろしく見えない。
むしろ楽しげに笑っているように見えるのは、気のせい?

死者も踊りだすほど、楽しいイメージ、なのかな?

おどろおどろしさよりも、むしろ、エグみの効いたポップなイメージだ。

あ、そういえば、このタイトル曲を形容するにもエグみの効いたポップという言葉はピッタリと当てはまる。

軽やかな長尺演奏

それにしても、シェップの体力、気力も並大抵のものではありませんなぁ。

ジョン・コルトレーンに心酔していたというシェップ。
コルトレーンの命を削るかのような長尺演奏に感化され、自分ならではの長尺演奏フォーマットを開花させたのが本作なのかもしれない。

コルトレーンのひたすら熱く重たい長尺演奏に比べると、こちらのシェップの長尺演奏は、ひたすら熱いんだけれども、どこか人間を深刻にさせない軽やかさがある。

ゆえに、聴きやすく、飽きる瞬間の全くない長尺演奏といえる。

延々と吹きまくるシェップの体力も凄いけれども、18分間、単調なリズムパターンを飽くことなく、ひたすらキープし続けたパーカッションの面々も、大変な持続力だ。

気分はトランスミュージック。
いや、これぞまさに「人力トランス」と呼んでも差し支えなかろう。

記:2005/04/05

album data

THE MAGIC OF JU-JU (Impulse)
- Archie Shepp

1.The Magic Of Ju-Ju
2.You're What This Day Is All About
3.Shazam
4.Sorry 'Bout That

Archie Shepp (ts)
Martin Banks (tp,flh)
Michael Zwerin (tp,tb)
Reggie Workman (b)
Beaver Harris (ds)
Norman Connor (ds)
Eddie Blackwell (rhythm logs)
Frank Charles (talking drums)
Dennis Charles (per)

1967/04/26

 - ジャズ