カフェモンマルトル

text:高野雲

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マルサの女 オリジナル・サウンドトラック

      2016/11/28

マルサの女 オリジナル・サウンドトラック(紙ジャケット仕様)マルサの女 オリジナル・サウンドトラック

故・伊丹十三監督の名作『マルサの女』のCDが再発された。

この映画のサウンドトラックを手がけたのは、本多俊之だが、私はこの映画をリアルタイムで観たときに、まずは、クールでスタイリッシュな音楽のほうに耳を奪われた。

彼は、もちろん優れたサックス奏者だが、私の中での彼の位置づけは、ジャズマンというよりも、センスの良いインスト作曲&アレンジャーだ。

彼の書くメロディは、キャッチーで一発で耳を虜にする魅力を持っていながらも、凡百のキャッチーという言葉から連想される砂糖がまぶされた「甘さ」とは対極のビターなテイストがある。

シニカルで、どこか熱狂を拒否するような恐ろしく醒めたまなざしが根底にあるように感じる。

今回再発された『マルサの女』のオリジナルサウンドトラック。

これを聴いて、うーん懐かしいなぁと思う人は大勢いるだろうけれども、是非、本多俊之のどこか醒めたクールな音楽観も味わってほしいと思う。
もちろん、今聴いても刺激的。

このままいっきにイッてしまっても良いところを、絶対にイカない、寸止めのさじ加減、このコントロールの巧みさも、彼の才能とストイックさが微妙に見え隠れしていてクールだ。

ちなみに、私は、彼のアルバムでは、『サックス・ホリック』を愛聴している。


バブリーな香りさえ漂う、快楽ゴージャスなサウンドの中に宿る、
どこか醒めた意識が通底している快楽サウンドが好き。

一聴、“砂糖”の要素が多く感じるが、
すぐに、この甘さは“バーチャル砂糖”なんだということが思い知らされる。

また、ストイックでカッコいいデジタルサウンドといえば、
なんといっても、映画『ガンヘッド』のメインテーマでしょう。

映画自体は大したことのない内容だったが、このサウンドトラックの緊迫感のおかげで、結局、私の中での映画の価値が底上げされ、音楽聴きたさで、結局10回近く観ている。

本多俊之の醒めた才能がクールに爆発した、『マルサの女』のサウンドトラック、そして、もっとデジタルでクールなサウンドを味わいたければ、是非、『ガンヘッド』のほうも鑑賞してみよう。

ガンヘッドは、サウンドトラックが現在絶版、DVDでしか聴けないのが残念だが、ラストの「-THE GUNHED BATTALION 507 HAS COMPLETED ITS MISSION-」にかぶさるメインテーマを聴けば、さらに迫力と感動倍増だと思う。

記:208/09/10

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