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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

緑の法則/鈴木さえ子

      2016/11/08

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緑の法則緑の法則/鈴木さえ子

その昔、NHKFMの『サウンドストリート』という番組があった。
火曜日といえば、坂本龍一がDJをやっている日だったので、結構毎週楽しみに聞いていたものだ。

ある日、この番組にゲストで出演したのが鈴木さえ子。

ちょうど、このアルバム『緑の法則』が発売される直前だった。
もちろん、このアルバムのプロモーションを兼ねた出演だ。
だから、話題もレコーディングのことが中心となる。

「最近コード進行にすごく凝っているんです。飛ぶコードっていいですよね、ジャンプコードというか…」

そういった話を「うん、うん」と興味深く頷きながら私は聞いていた。
私も、当時は作曲に夢中になていて脈絡もなくコードが飛ぶ曲作りに夢中になっていたからだ。

たしか、河口湖のスタジオで『緑の法則』をレコーディングしたいたそうなのだが、あまりにもレコーディングに懲りすぎたため、スタジオ滞在日数の記録を塗り替えたほどなのだそうな。

それほど、凝りに凝り、練りに練った、鈴木さえ子コダワリのサウンドが封じ込められているわけだが、飛び出してくるサウンドは、予想に反してすごくナチュラル、そしてピュア。

一曲目の《夏休みが待ち遠しい》の爽やかでリアルな自転車の音なんて、もう気分はすでに「夏休み突入!」って感じ。
青々とした空にモクモクと入道雲が頭の中に浮かんじゃいましたですよ。

そうそう、スタジオ滞在日数が長くなった理由の一つに、サンプリングに凝ったことがあるみたい。

なるほど、たしかに、生々しくリアルな音が、巧みに編集され、生き生きと「さえ子ミュージック」を形成しているのだ。

鈴木さえ子の徹底的なコダワリの結晶体。
だがしかし、彼女が本質的にもつポップな感覚も全面的に展開されているため、まったくもって難解ではないし、むしろ楽しく聴ける。

もっともそれは、「さえ子ミュージック」のすべてにいえることなのだけれども。

▼収録曲
1. 夏休みが待ち遠しい-mon biclo
2. Hallo,Shoo Shoo
3. 柔らかな季節
4. The green-eyed monster
5. Good morning
6. Exile
7. Come wonder with Me
8. イワンのバカ
9. Bий
10. KASPAR’STATEMENT

記:2009/11/02

 - 音楽