ニッポンの歌謡ブルース考

      2016/06/03

rojiura

戦後の淡谷のり子の《雨のブルース》あたりからなのだろうか。
近藤真彦の《スニーカー・ブルース》や、最近では安室奈美恵の《スウィート・19・ブルース》をはじめとして、「ブルースじゃないのにブルースがタイトルについている曲」が歌謡曲には多い。

形式、ハート(のようなもの)は無視して、「雰囲気=大人っぽく、哀調な」
ぐらいの意味でしか使われていないのだろうが、「○○ブルース」というタイトルを聞けば、何となく「少なくとも明るい曲じゃぁないだろうな」と無意識に了解してしまっている我々としては、もはや本来の「ブルース」とは無関係な、別の意味での共通言語となって浸透してしまっているのだろう。

牛を喰わないインド人が聞いて驚く「本場インドのビーフカレー」的な、日本人得意とする「本質剥離」が「ブルース」という言葉一言にも垣間見えるようだ。

記:2000/07/02

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