オパス・デ・ジャズ/ミルト・ジャクソン

      2021/02/12

ベースも良し

なんの仕掛けもなく、ただただ演奏者たちがリラックスして奏でた音が、そのまま心地よさとして聴き手に伝わってくる。

悪く言えば、ソロオーダーを回すだけの典型的なジャムセッションの延長。ゆえに、1曲の演奏時間は長い。

しかし、まったく退屈しないのだ。

退屈しない理由は、アタリマエだけども、ミルト・ジャクソンやフランク・ウエスが良いアドリブをとっているから。

くわえて、彼らはいい気分で演奏しているに違いないから。

良い意味で肩の力が抜けた演奏。とはいえ、じっくり腰を落ち着けて聴いても、深い手ごたえのある演奏内容なことは言うまでもない。

では、なぜ、彼らがおしなべて素晴らしいアドリブを繰り広げているのかというと、それはマシュマロのように柔軟なリズムのお陰なのではないだろうか。

ことに、エディ・ジョーンズの懐深く、柔軟なベースワークが、演奏の気持ちよさの土台を作り上げている。

心地よい定速ビートにのって、演奏者はなんの心配もせずに、ひたすらリラックスしてアドリブを奏でることが出来る。

生まれてくるサウンドはゴキゲン。

このゴキゲンさが、リスナーに伝染するのだ、きっと。

ホレス・シルヴァー作曲の《オパス・デ・ファンク》はもちろんだが、私はどちらかというと、次曲の《オパス・ポカス》が好きだ。

モダンジャズでは常套化した典型的なツー・ファイヴブルース。

スローなテンポに乗っかり、気だるくはじけるミルトのプレイは絶品。

1コーラス分のベースラインをフィーチャーした出だしも良い。
ガシッとしたタフな手ごたえのエディ・ジョーンズのベースを堪能出来る箇所だ。

心地よいバネの効いた演奏が全編に渡って楽しめるのは、1にも2にも、縁の下の力持ちの堅実なベースのお陰。

もう一度、ベース中心に聴き返してみよう。
新たな発見があるかもしれない。

記:2006/08/24

album data

OPUS DE JAZZ (Savoy)
- Milt Jackson

1.Opus De Funk
2.Opus Pocus
3.You Leave Me Brethless
4.Opus And Interlude

Milt Jackson (vib)
Frank Wess (fl,ts)
Hank Jones (p)
Eddie Jones (b)
Kenny Clarke (ds)

1955/10/28

関連記事

>>エディ・ジョーンズのベース~まるで油田から湧き出るような低音

 - ジャズ