レッド・ノーヴォ・トリオ/レッド・ノーヴォ

   

太いベースの上にふくよかなノーヴォートーン

ふくよかな丸い音を、

♪ぽとぽと、ぽとぽと

と、空間に落としてゆくノーヴォ。

彼がたたき出すヴィブラフォンの音色は、余韻少なく、丸いアタック。

一聴してレッド・ノーヴォだ! と分かる独特な音色だ。

脳の裏側から、優しくマッサージしてくれるような心地よさがある。

ジミー・レイニーがギターソロに突入すると、ぽたり、ぽたりと和音をたたき 出し、まるでピアノのようなバッキングでギターを彩るノーヴォ。

本当に彼の円やかで丸やかなヴァイブの音色は気持ちが良い。

この音色に、一見薄味だが、じつはコクがタップリのジミー・レイニーのギターがかぶさる。

趣味の良いギターだ。

バッキングのときは、さり気なく演奏を引き立て、ソロが回ってくると、じつに味のあるギターを弾く。

一聴、控えめに聴こえるかもしれないが、フレーズを追いかけてゆくと、センスの良いギターワークには脱帽。

ベースは、レッド・ミッチェル。

彼の音は太い、太い。

むくむくと地面から湧き上がるような巨大な重低音だ。

『レッド・ノーヴォ・トリオ』。

ドラムなしの、ヴァイブ+ギター+ベースという変則的な編成のトリオだが、このバランスの良いトリオの演奏を聴くと、ドラム無しでもまったく遜色ない。

むしろ、これ以上の音色は不必要だ。

演奏の一体感、温かさは並外れて良い。

名手たちによる、味わい深い演奏集なのだ。

深夜の一息つきたい時間帯。

家族の邪魔にならないアンサンブルで、極上のリラクゼーションと洒落た空間を演出してくれる洒落たアルバムが『レッド・ノーヴォ・トリオ』なのだ。

記:2008/07/22

album data

RED NORVO TRIO (Fantasy)
- Red Norvo

1.Bernie's Tune
2.J9 Hate K9
3.Out of Nowhere
4.Crazy Rhythm
5.Prelude To A Kiss
6.Puby La Keg
7.Everything I've Got Belongs To You
8.Just One of Those Things

Red Norvo (vib)
Jimmy Raney (g)
Red Mitchell (b)

1954年3月

 - ジャズ