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ジャズと映画と本の日々:高野雲

般若心経としてのスケール練習

      2016/02/20

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syakyou

般若心経を書写すれば(写経すれば)、心が落ち着くといいます。

実際、私も何度かやったことがあるので、実感として分かります。

所要時間は、だいたい20分から30分ぐらい。

最初は雑念だらけでも、筆ペンで276文字を丁寧に写経をすれば、文字を書くことにだんだん夢中になってくるし、どうせ書くんだったら、丁寧にきれいな文字で書こうと思いますから、だんだんと他のことを考えなくなります。

つまり、自然と文字のほうに意識が集中してくるので、余計なことを考える余地がなくなるのです。

写経することにより、様々な功徳があるのでしょうが、「精神を集中する」 「こんがらがった頭の中を一回リセットしてスッキリさせる」ことだけに結果を求めれば、写経の原理は、そのまま他のことにも代用できるんじゃないかと思っています。

私の場合の写経は、ベースのスケール練習です。

スケール練習、カンタンに言えば、ベースで、ドレミファソラシドを弾くことです。

しかし、ドレミファソラシドにもたくさんの種類があります。

たとえば、ドレミファソラシドは、Cのアイオニアンと呼ばれるスケールなのですが、そのほか、ミとシをフラットさせたドリアン・スケール、ファをシャープさせたリディアンスケールなど、ドから始まり、1オクターブ高いドで終わる音の組み合わせは、それこそたくさんの種類があります。

もっとも、いわゆるジャズ学校のようなところでの基礎教養として習うスケールの種類は、
アイオニアン、
ドリアン、
フリジアン、
リディアン、
ミクソリディアン、
エオリアン、
ロクリアンの、全部で7つ。

とりあえず、この7つのスケールの特色を知っておけば、演奏に臨む際、便利といえば便利。

もっとも、この7つ以外にも、
ハーモニック・マイナー・パーフェクト・フィフス・ビロウ・スケールや、
リディアン・フラッテド・セブンス・スケール
……というものもあり、
さらに、
オルタード・スケールに、
オルタード・ドミナント・スケール、
さらに、スーパー・ロクリアン・スケールとか、
ロクリアン・シャープト・セカンド・スケール、
コンビネーション・オブ・ディミニッシュト・スケール
など、特殊なスケールがありますし、
スパニッシュ・スケールや、沖縄音階、ハンガリアン・マイナーなどエスニックなスケールもあるので、スケールの種類は本当にキリがない。

これら全部を網羅しようとするとキリがないので、とりあえずのところ、汎用性の高い7つのスケール(アイオニアン、ドリアン、フリジアン、リディアン、ミクソリディアン、エオリアン、ロクリアン)を中心に練習しています。

7つといえども、C、C#、D、E♭、F、F#、G、A♭、A、B♭、Bと、11種類の音階があるので、ひとくちにドリアンスケールといっても、Cのドリアンスケールから、Bのドリアンスケールまでの11種類があり、この11種類に、アイオニアン、ドリアン、フリジアン、リディアン、ミクソリディアン、エオリアン、ロクリアンの7種類で弾くので、種類はとても多い上に(もっとも、音のスタート地点が違うだけなので、音の配列的に見れば、それほどたくさんの種類には感じないけど)、カンタンに弾けるものから、頭がコンガラがってしまうほど面倒な音階もあります。

たとえば、Cのアイオニアンスケールといえば、ドレミファソラシドでOKですが、Cのロクリアンは、ドレ♭ミ♭ファソ♭ラ♭シ♭ドと、フラットだらけで、慣れないとかなりややこしいです。

なので、よし!今日は、Gのスケールのミクソリディアンをやろう!と決めたら、譜面を見ずに、スケールの特徴、どの音がフラットするかを頭に思い浮かべながら、ゆっくりとベースを弾いてゆくのです。

これが、意外とカンタンそうで、トチるんですよ、スケールによっては。

頭では理解しているつもりでも、意識が指先に直結していない音が結構あるので、次に出す音に意識を集中させないと、まず間違える。

少なくとも、今日の昼飯は何を食べようかな、なんて考えながら弾いていたら、確実にアウトです。

いやでも次に出す音に意識を集中せざるをえません。

さらに、メトロノームを鳴らしながら弾いているので、次のクリック音が出るまでに、次の音を的確に見つけ、ジャストなタイミングで弾かなければならない。

さらに、スケール練習は、なるべくフレットレスを使うようにしているので、音程にも気を配らなければならない。

さらに、なるべく指や腕の無駄な動きを減らすために、フィンガリング(運指)も考えながら弾かなければならない。

なぜ、無駄な動きは極力避けたいのかというと、動きを省力化することによって、気持ちに余裕が生まれ、その余裕がグルーヴにつながるからです。

ひとつの音を鳴らして、次の音に以降するまでに、考えること、注意すること、気を配らなければならないことが無数にあるのです。

間違っても、ランチタイムのカレーの辛さは、今日は10倍にすべきか50倍にすべきかなんて考える余裕がありません。

だから、私の場合、スケール練習をはじめたとたん、強制的に意識は目先の音にだけ集中せざるを得ない状況になり、結果として、くだらない雑念が吹き飛ばざるを得なくなるのです。

どんなに忙しくても、1日に1分でも2分でもいいから、意識を空っぽにできる時間があると、精神衛生上にも、健康にも良いように思います。

ただ、私の場合は、どうしても、意識を空っぽにすることは無理なので、単位時間内での脳の演算処理能力をマックスにひきあげることにしています。

その、効果的な方法が、スケール練習、というわけです。

もっとも、スケール練習ばかりしたところで、ベースはうまくなりませんけどね。

自信はつくけど。

だから、ベースの上達というよりも、精神集中の一手段と割り切って取り組むのであれば、とても効果のある方法だと思います。

ギターの人も同じ方法で精神集中できそうですね。

ポイントは、じっくりと弾くこと。

慣れたスケールを惰性でパラパラ弾いても、トレーニングにもならないし、精神集中も出来ないと思います。

わざと、難しい課題を自分に出して、考えながら弾くのがポイントです。

今では、書店や楽器屋さんの譜面コーナーにいけば、様々な種類のスケール帳が並んでいます。

ないよりは、手元にあったほうが良いと思います。

ベーススケール大辞典 1300以上のスケール掲載ベーススケール大辞典 1300以上のスケール掲載

ただし、手元に辞書がわりに置いておくぶんにはいいけれども、譜面を「読」みながら弾くと、頭はあまり「考」えなくなります。

あくまで、困ったときの「回答集」として活用するといいかも。

とにもかくにも、スケール練習は、心を落ち着けるにはもってこいですし、ベースも上達するというオマケもつくので、いいことづくめですよ。

記:2007/05/23(from「ベース馬鹿見参!」)

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