ザ・シェリフ/モダン・ジャズ・カルテット

      2020/03/08

シェリフ
The Sheriff

疾走感! 気軽に聴けるアルバム

手軽に、気軽にMJQを味わいたい人にオススメしたい、「さわりで楽しむMJQ」。

もしくは、モダン・ジャズ・カルテットの入門盤としても最適。

変化球すぎる?

いえいえ、そんなことはありません。

良質なMJQのコンビネーションの良さ、卓越した演奏力などのエッセンスが凝縮されているのです。

まず最初は、ラストの《カーニバルの朝》から気軽に入っても良いだろう。

なにせ、収録時間がアルバムトータルで30分ちょっとなのだ。

あっという間に過ぎ去る時間の中、ボサ調、アップテンポ調、クラシカル調と、さまざまなMJQの持ち味がオムニバス的に集められているので、デパートの地下の飲食フロアーで気軽につまみ喰いをする感覚でMJQのオイシイところばかりを味わえるのだ。

タイトル曲の《ザ・シェリフ》は、「逃げる犯人、追う警官」を演奏で表現したもの。

一度聴いたらなかなか忘れられそうもないキャッチーなテーマを、急速調のテンポで、ちょっとコミカルなニュアンスで演奏されているのが面白い。

しかし、一糸乱れぬアンサンブルはサスガ。

間を大事にし、音数を節約しながら自己を表出するスタイルのピアニスト、ジョン・ルイスも、このアルバムでは、ちょっと忙しそう。

疾走するミルト・ジャクソンの華麗なバチ捌き(マレット捌き)も聴きどころのひとつだ。

とにかく、軽い気持ちで、サクッと聴けるお気軽名盤としてオススメしたい1枚だ。

聴いているうちに、グッと音世界に引き込まれ、「あれれ、もう終わっちゃったよ。」という声が聞こえてきそうだ。

記:2007/06/27

album data

THE SHERIFF (Atlantic)
- THE MODERN JAZZ QUARTET

1.The Sheriff
2.In A Crowd
3.Bachianas Brasileiras
4.Mean To Me
5.Natural Affection
6.Donnie's Theme
7.Carnival

Milt Jackson (vib)
John Lewis (p)
Percy Heath (b)
Connie Kay (ds)

1963/05/16-17
1964/02/04 #2,7

 - ジャズ