4ビート・オルガン・ジャズの最高峰!ジミー・スミスの『ハウス・パーティ』

   

text:高良俊礼(Sounds Pal)

ジミー・スミス オルガン・ジャズ

ジミー・スミスの初期(50年代)のプレイを聴けば、いわゆるオルガン・ジャズのイメージとして根強い“コテコテ”ではなく、当時隆盛を極めていたバップ・イディオムにのっとったスタイルで、意外な程洗練されたプレイを繰り広げていることに驚く。

チャーリー・パーカーやバド・パウエルといった、ビ・バップの先駆者達の奏法を取り入れ、シャープでテクニカルなフレーズを繰り出すジミーのプレイには、ただもう「凄い!」と狂喜して汗をかきながら聴き入るしかない。

ブルーノート

BLUENOTEのオーナー、アルフレッド・ライオンがそんなジミーに惚れ込んで契約を交わしたのが1956年。

元々ジャズばかりでなく、ブルースやR&Bなどの熱狂的なファンでもあったライオンが、オルガンというアフロ・アメリカンの生活に深く関係する楽器を使って(当時オルガンは黒人教会で唄われるゴスペルの重要な伴奏楽器であり、一般のクラブやバーで演奏されることはほとんどなかった)ジャズを演奏するジミーを見て、言葉にならない程の感動を覚えたであろうことは想像に難しくない。

そんなライオンのジミーへの惚れ込み様は、BLUENOTEでのリリース作のケタ違いの多さと、作品に参加したメンツの豪華さが物語っている。

ハウス・パーティー

ジミー初期の痛快な「バップ弾きまくり」、そしてBLUENOTEで如何に彼が重要なアーティストであったかを、最高のプレイとメンツによって知らしめる逸品がコチラ『ハウス・パーティ』。

録音はジミー・スミスの家ではなくスタジオで、1957年の8月25日と、翌年2月25日の2回に分けて行われており、作品の完成度と全体のアレンジを重視するBLUENOTEとしては珍しく、大勢いるソロイスト全員が長尺のソロを思い思いに繰り広げる、実にざっくばらんな雰囲気のジャム・セッション風。

その賑やかで和気藹々な演奏が、「架空のハウス・パーティー」の楽しさを、嫌が上でも盛り上げてくれている。

ギンギンにかっ飛んだソロを聴かせるオルガンに、伸び伸びと個性的なフレーズを吹きまくるホーン・セクション。彼らホーン奏者のソロにどんどん油をぶっかけるかのような、粋で熱いオルガンのバッキング。

こういったセッションものには滅法強いケニー・バレルのギターに、強靱なリズムでサウンドをガッシリまとめている“みんなの親分”アート・ブレイキーのドラムなど、どの楽器の、どの音ひとつ取っても盛り下がる要素のカケラも見当たらない。

コレはライヴ盤以上の“生興奮”を感じさせてくれる凄いアルバム。

ぜひとも大音量で(ご近所が気になる方はヘッドフォンで!)浴びるように聴いて欲しい、怒濤の「4ビート・オルガン・ジャズ」の最高峰だ。

尚、このセッションの同日録音のアルバムとして、BLUENOTEにゃもう一枚『ザ・サーモン』という人気アルバムもあるので、この盤が気に入った方や、この盤が気になり出した方はぜひともまとめてお楽しみ下さい。

記:2014/09/16

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●高良俊礼(奄美のCD屋サウンズパル

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