サチモスの《ステイ・チューン》がカッコ良い!

   

由来は「サッチモ」

「サチモス」がカッコいい。

特に最近は《ステイ・チューン》が大のお気に入りだ。

STAY TUNE
STAY TUNE

バンド名はルイ・アームストロングのニックネームからつけたというエピソードを先行して知っていたため、私は最初、「サッチモズ」と呼んでしまっていたんだけど、実際はハネずに「さちもす」と発音するのが正解だったんだね。

いやはやお恥ずかしい限り。

カッコ良くてセンスが良い

彼らの音楽の何がいいかって?

とにかく、ひとことで言うとカッコいいのです。

音も映像も、めちゃクール。
とにもかくにも、YouTubeで「Stay Tune」と検索してみて聴いてみてよ。

最初に私が知ったのは、この《ステイ・チューン》というナンバーなんだけど、「一目惚れ」ならぬ「一聴惚れ」でしたね。

とにかく、センスが良いのです。

うねりまくる太いベース。
繊細かつ大胆なギター。

キーボードは音色も空間を埋めるタイミングも、とてもセンシティブで知的。

そしてドラムは特にオープン・ハイハットの音色とタイミングが大変にセクシーだ。

ヴォーカルは、映像をご覧になればお分かりのとおり、一瞬、私はドラマと映画の『SPEC』の瀬文焚流を演じる坊主頭の加瀬亮を、もう少し若くツルッとしたお兄ちゃんが歌っているのかと思ったよ(笑)。

ま、よく見ると、全然違うんだけど。

アディダスの三本線のジャージ(?)がオシャレに見えてしまうルックスと歌い方は、かなりのハイセンスだと思う。

もちろん、全天候型の抜群の声量と歌唱力というわけではないのだけれども、自分たちのサウンドの持ち味、方向性にジャストフィットした表現力の持ち主だと思っている。

ありそで無かったテイスト

一聴して分かるとおり、彼らの音楽は、ジャズ、ソウル、ファンク、ヒップホップなどのブラックミュージックからの影響を濃厚に受けている。

これらの音楽を愛好する者が聴けば、誰もがニヤリとする箇所がいくつか必ず曲中に出てくるはずだ。特にジャミロクワイ好きはね。

そして、彼らは何も新しい切り口や、何ら新しい手法を音楽上には用いていない。

過去の日本人ミュージシャンがさんざん取り組んできた、ブラックミュージックの日本語化を踏襲しているに過ぎないにもかかわらず、「ありそうで無かった」テイストを強烈に放っているのだ。

ブラックミュージックのおいしい要素を、とてもバランスよく配合し、再構築を施しているので、サウンドのテイストは、非常にスマート。現代的な響きになっている。

そして、これらの配合バランスと演奏のセンスの良さが良い方向に作用して、サチモスならではのオリジナルなサウンドカラーがきちんとあるところが素晴らしいと思う。

過去より、ジャズやソウル、ファンク、ヒップホップなどの主に黒人主体の音楽の要素を、一部の日本人ミュージシャンたちは上手に取り入れ、上手に日本の風土にあった味付けを施して発表してきた。

山下達郎、サザン・オールスターズ、オリジナル・ラヴ、真心ブラザーズなど、もちろん彼らが発表してきた全ての曲ではないが、ブラックミュージックのテイストに日本のポップスのテイストをミックスさせた作品を世に送り出してきたミュージシャンは少なくない。

もちろん、ブラックミュージックと和ポップスのブレンド比率は、各ミュージシャンによって様々だし、リズム感やグルーヴ感も、日本寄りのものから、ブラック寄りのものまで様々だ。

では、サチモスの場合はどうなのかというと、今までブラックミュージックの影響を受けたミュージシャンたちが発表してきたどの曲よりも、洗練されており、センスも良く、日本的な「イモ度」がもっとも希薄なバンドなのではないだろうか。

すっきりと聴きやすいくせに、その演奏の根底にはブラックミュージック特有のテイストを感じられる点が、私がサチモスに虜になってしまった大きな要因だ。

若いメンバーたち

滅茶苦茶センスが良い上に、映像をご覧になればお分かりのとおり、ワルな要素も混在しているところがカッコいい。

suchmos

まだ観ていない人はYouTubeで映像を検索して見てみてね。

様々なブラックミュージックの良いところどりをしながらも、まったく原典とは異なるテイストを有するオリジナリティあふれるサウンドを持っている。

もしかしたら、サチモスの演奏にニヤリとする層って、私ぐらいの年代なのかもしれないね。

しかし、彼らバンドメンバーの平均年齢は23歳前後というではないか。

その若さのわりに、妙に成熟しているところもあり、このアンバランスさも彼らの魅力の一つなのかもしれない。

いまどきの20代前後の若い人たちは、サチモスの音楽をどのように受け止めているのだろう?

記:2016/03/11

追記

そういえば、先日『ベストカープラス』という車雑誌の執筆を依頼されました。
「“エンドレスサマー”な音楽10」というタイトルの、夏の後半に似合うドライブミュージックを10曲選ぶという趣旨のコーナーです。

ベストカープラス 2016年 9/18 号 [雑誌]: ベストカー 増刊
ベストカープラス 2016年 9/18 号 [雑誌]: ベストカー 増刊

この10曲の中の1曲にサチモスの《ミント》をセレクトさせていただいています。
歌詞良し、重たいリズムも良し!

記:2016/09/24

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