高騰!オールドベース~10年ちょっとで200万値上がりのものも!

      2018/08/15

中古楽器店を訪問

先日、お茶の水の「オールド・ギターガレージ」に行った。

私はいつもこの店でベースを買い、ベースをメンテナンスしてもらっている。
今回は特に目的もないまま、フラリと訪問。

相変わらず、フェンダーのジャズベースのオールド(1965年以前に生産されたヴィンテージもの)の入荷は少なかった。最近は、かなり希少になってきているようだ。

しかし、1台目を惹くジャズベースを発見!

1966年モノのジャズベース

印象的な丸いペグ。
そう、分かる人には分かる、66年もののジャズベースだ。

亀田誠治が使っているベースと同じ年代のものだね。

世にも珍しい深緑の塗装タイプ。
66年製でこの塗装のものを見るのは初めてだった。

値段を尋ねると、189万円だそうで(笑)。

希少モデルということもあるが、それにしても、最近のジャズベースの値上がりっぷりはスゴイ。

10数年前は、66年モノといえば、65年と比べると、ガクッと値段が落ち、40~50万円台で買えたはず。

ちなみに、その当時、私が購入した65年もののジャズベースは80万円だった。

現在、65年もののジャズベースを購入しようとしたら、コンディションにもよるだろうがが、150万は下らないだろう。

1957年モノのプレシジョンベース

そしてもう1台、スゴイベースを発見。

プレシジョンベースで、すごく綺麗な状態の57年もの。

57年ものプレシジョンも以前所有していたが、ウッドベース欲しさに売ってしまった。

弾きすぎのため、フレットもヘタっていて、ほとんどフレットレス状態、ノイズもひどく、演奏のバランスもあまりよくなかったので、まあいいや、勿体ないけど売っちゃえ!と売ってしまったんだよね。

塗装はツートーンのタバコサンバーストにアルミ製のピックガードが渋くてお洒落だったが、このベースを買ったのが約10年ぐらい前。たしか60万円弱で購入したと思う。

ところが現在、店頭に飾られている、私が持っていた57年ものと同じタイプ、同じ塗装、同じコンディションのプレシジョンが、なんと、250万円!!

な、なんと、10年ちょっとで、200万円近くも値上がりしているのだ。

いやぁ、売らなきゃよかった。……って、いや、私はベースを投機目的で買っているわけではないので、今持っている60年もののプレシジョンを愛し抜くことにしよう(笑)。

▼最近はますます風格が出てきた60年プレシジョン
SANYO DIGITAL CAMERA

オールド好きには受難の時代

とにかく、フェンダーのオールドベースは、少しからは想像もつかないほど値上がっているのだ。

店長の話によると「それでも日本は安い」とのこと。

世界の楽器ショップから引き合いのあるアメリカではもっともっと高く値がつくようだ。

「このベースの値上がり合戦もそろそろ落ち着くんじゃないの?」とのことだが、これからオールドベースを買おうというベーシストにとっては受難の時代だ。

やっぱり、オールドにはオールドにしか出せない味わいや、音があるからね。この音、この風格、佇まい。こればっかりは、どんなに高くても新品のベースからは出せないものがある。

とはいえ、近所の楽器のおにーさんの話によると、最近は、ダンカンから、ヴィンテージサウンドに限りなく近づけたピックアップが出ているそうなので、オールドの音色が好きだけれども、高くて手が出せない人は、そちらのほうをお試しになると良いと思う。

とはいえ、受注後に手作りを開始するというオーダーメイド性なので、手許にくるには時間はかかるそうだが……。

「70年代モノも良いよ」という文脈に

最近の「ベースマガジン」を読むと、昔は1年に1回ぐらいの頻度でフェンダーのオールドの特集をしていたが、最近では「70年代フェンダーもじつは名機なんです」といった文脈に変わってきているからね。

60年代フェンダーの値上がりが激しく、多くの読者層にはとても手が出ない領域になってしまったからだろう。

もっとも、私からしてみれば、姿かたちは同じかもしれないが、65年以前のフェンダーと70年以降のフェンダーはまったく別の楽器だと思っている。

もちろん、70年代ベースは70年代ベースにしかない特徴はある。たとえばマーカス・ミラーのトレードマーク的ベースの75年のジャズベースとかね。

私もこのモデルは一時期2台持っていたが(1つはジャパン、1つはUSA)、どちらも60年代のフェンダージャズベースとはまったく違う硬く締まった音色という強烈なオリジナリティがあった。

このサウンドキャラクターは60年代フェンダーには求め得ない。ジャコの62年ジャズベースも、トレブルとリアを上げれば、かなりカリカリな音色にはなるが、75年のコリコリと62年のカリカリは音のニュアンスは微妙に異なる。

どちらがいいかは、それこそベーシストの好み次第なので、特に私は70年代、60年代の優劣を論じるつもりはない。

ただ、60年代と70年代のものは、それこそトランペットとフリューゲル・ホーンぐらいに違う楽器だよねと思っているだけ。

演奏したい音楽の種類によっては、75年の音が恋しくなることもある。

しかし、嗚呼、売っちゃったんだよなぁ(涙)。

手許に残しておけばよかった。

私が学生の頃は20万円代で買えたものが、今は50万以上だからね。

2倍近くの値上がり。

現在は、良い音を求めるベーシストにとっては受難の時代のようだ。

記:2006/08/15(from「ベース馬鹿見参!」)

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