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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

誰がアート・オブ・ノイズを…/アート・オブ・ノイズ

      2018/08/11

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誰がアート・オブ・ノイズを・・・

機械仕掛けのラヴ・ソング

主旋律が、わずか3つの音のみで構成された、《モーメンツ・イン・ラヴ》。
ある意味、究極の機械仕掛けのラヴ・ソングともいえる。

これが収録されているだけで「買い」な、アート・オブ・ノイズのデビューアルバムが『フーズ・アフレイド・オブ(邦題:誰がアート・オブ・ノイズを…)』だ。

恍惚の10分

当時は鳴り物入りだった《ビート・ボックス》や《クロース》といった、音圧が強くリズムのパンチが利いたナンバーがこのアルバムの代表曲なのだろうけれども、アルバム中のハイライトは(あくまで私にとってだが)、《モーメンツ・イン・ラヴ》にトドメを刺す。

10分と数秒間続くこの永遠のリフレイン、あなたにとっては退屈でアクビの出る時間?

それとも、耽美的かつ恍惚な時間?

もちろん私にとっては後者だ。

後に12インチシングルで発売されたバージョンは、イントロはピアノソロから入るなど、かなり「音楽的」な内容に作り直されており、それはそれで初めて聴く人には訴求力はあるのだろうが、やっぱり私は、シングルバージョンよりも、もう少し無機質で不愛想なくらいの、このアルバムに収録されたバージョンのほうが好きだ。

もとより美しい曲であることには違いないのだけれども、だからこそ必要以上の色気やお化粧は不要。
骨太な輪郭だけをメインに執拗に繰り返してくれる『誰がアート・オブ・ノイズを…』に収録されたバージョンのほうが私は好きだな。

恐怖の瞬間

アルバム中、もう一曲オススメを挙げるとしたら、1曲目の《恐怖の瞬間(A Time To Fear)》が素晴らしくイイ。

荒っぽいコラージュ的な作りが、なんだかよく分からないけれでも風雲急を告げる緊迫感あるサウンドとザラザラとした触感は、かなりのインパクト。

途中でほんの数秒挿入されるジャズの4ビートが現われる瞬間と、無理矢理かき消される瞬間にゾクり。

まさに「アート・オブ・ノイズ(=騒音の芸術)」というバンド名に相応しいアルバムの幕開けと言えよう。

音楽的な完成度やサウンドメイキングの成熟度は、トレバー・ホーンの重力圏を脱したメンバーたちが作り上げた2枚目の『インヴィジブル・サイエンス』のほうが上かもしれないが、ラフで破壊的なインパクトは、やはり1枚目の『誰がアート・オブ・ノイズ』に軍配が上がるだろう。

どんなに楽器のテクノロジーが進化したとしても、音のインパクトにおいては、時代が変われども古びることのない1枚だと思う。

収録曲

1. A Time To Fear (Who’s Afraid)
2. Beat Box (Diversion One)
3. Snapshot
4. Close (To The Edit)
5. Who’s Afraid (Of The Art Of Noise)
6. Moments In Love
7. Momento
8. How To Kill
9. Realization
10. Close Up (bonus tracks)
11. A Time To Clear (Up) (bonus tracks)
12. Resonance (bonus tracks)

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