ナイト・トレイン/オスカー・ピーターソン

   

直木賞的ジャズマン

文学に喩えるとジャズは、芥川賞作家的なミュージシャンが圧倒的に多い。

私も、直木賞作家的ジャズマンよりも、芥川賞作家的ジャズマンのほうが好きだ。

それは、ジャズは個性の強さをなによりも重視し放出する音楽だからということも関係しているのかもしれない。

コルトレーンにしろ、チェット・ベイカーにしろ、バド・パウエルにしろ、もう音を聴く前のその生涯からしても、いかにもなブンガク的な匂いがプンプン漂っているもんなぁ。

モンク、エリントン、ミンガスといったスゴい人たちは巨匠の風格を漂わせているし。

では直木賞作家的ジャズマンは?というと、それはもうあなた、オスカー・ピーターソンが筆頭でしょう。

職人・エンターテイナー

わかりやすい表現内容にこちらの期待を裏切らずに楽しませてくれる技量。

芥川賞的ジャズマンが芸術家だとすれば、直木賞的ジャズマンは、職人だ。

職人とは、同じレベル、クオリティを保ったまま常に作品をつくり続ける人のこと。

だとしたら、たとえ金太郎飴と揶揄されようが、やはりピーターソンのピアノの職人っぷりは凄いと思う。

こちらの期待を裏切らず、常に一定のクオリティを保ったピアノを聞かせてくれる。

金太郎飴でいつづけることの大変さは、日々、仕事で調子良かったり悪かったり、プライベートでも機嫌が良かったり悪かったりする皆さんもよーく分かることでしょう?(笑)

しかも、ピーターソンの「金太郎飴度」は非常にレベルが高い。

レベルの高いクオリティを保ち、金太郎飴であり続けることはとっても大変なことなのだ。

しかも、あの笑顔はその大変さをオクビにも出さない。

言い訳のない、ウソのない職人根性は、もっと見習うべきことなのかもしれない。

んなわけで、彼のもっとも金太郎飴的な代表作の1枚がコレ、『ナイト・トレイン』。

彼の代表作です。

彼のピアノはもとより、ブルンブルンと躍動するレイ・ブラウンのベースも聴きもの。

収録曲数が多いので、好きな曲を見つけて好きな曲を軸に、少しずつピーターソンの好きな曲を増やしていこう!

記:2007/05/09

album data

NIGHT TRAIN (Verve)
- Oscar Peterson

1.Night Train
2.C Jam Blues
3.Georgia On My Mind
4.Bags' Groove
5.Moten Swing
6.Easy Does It
7 .Honey Dripper
8.Things Ain't What They Used To Be
9.I Got It Bad (And That Ain't Good)
10.Band Call
11.Hymn To Freedom
12.Liza
13.Con Alma
14.Close Your Eyes
15.The Maidens of Cadiz
16.My Heart Stood Still
17.Woody'n You

Oscar Peterson (p)
Ray Brown (b)
Ed Thigpen (ds)

1962/12/15&16

 - ジャズ