カルテット・ライヴ/ゲイリー・バートン

   

師弟コンビの音が美しく混ざり合う

ゲイリー・バートンのヴィブラフォンと、パット・メセニーのギターが美しく溶け合うライブ演奏だ。

ライブレコーディングをされた場所は、オークランドの「ヨシズ」。

この二人の音色のコンビネーション、マッチングだけでも蕩けそうなのだが、リズムセクションが、スティーヴ・スワロウのエレクトリックベースに、ドラムがメリハリのあるアントニオ・サンチェスなので、もう見事なサウンドバランスというしかない。

なにしろ、1曲目の《シー・ジャーニー》の、ギターとヴァイブが溶け合った出だしの数音が聴こえるだけで、メセニーファンも、バートンファンも、「そうそうそうそうそう、この音、このテイストなんだよね~!!」と身を乗り出すのでは?

彼らの繰り出すサウンドは、どこまでも美しく涼やか。場合によってはかなりエキサイティング。

もとよりメセニーは10代の折、バートンに見いだされてデビューし(バークリーの講師にもなっている)、バートンのカルテットのギタリストにもなっているのだから、この師弟コンビの相性が悪いはずはない。

さらに、メセニーがバートンに見いだされたのは、バートンの楽屋に自分を売り込みに行ったことがキッカケだから、メセニー弟子である以前に熱心なバートンファンでもあるわけで、バートンの音楽性を知り尽くした後輩との共演ゆえ、音の相性はパーフェクトといっても過言ではないだろう。

もちろん、この『カルテット・ライヴ』以前も、『リユニオン』『ライクマインズ』などでの共演は残されているが、サウンド的な充実度や、バンドとしての勢いは、このライブ盤が最高といってもいいだろう。

空間を滑らかに泳ぐかのようなスティーヴ・スワロウのベースソロも素晴らしい。

個人的には、カーラ・ブレイ作曲の《シンドローム》が好き。
ライブならではのエキサイティングさがあるし、メセニーとサンチェスによるギターとドラムの一騎打ちになる箇所が良い。

《ミズーリ・アンコンプロマイズド》や《クエスチョン・アンド・アンサー》などは、往年のメセニーファンにとっては嬉しい再演ではないだろうか。

とにかく、この安定感、演奏クオリティの高さは、さすが「最高のリユニオン」と称されるだけのことはある。

記:2009/12/28

album data

QUARTET LIVE (Concord Jazz)
- Gary Burton

1.Sea Journey
2.Olhos De Gato
3.Falling Grace
4.Coral
5.Walter L
6.B and G (Midwestern Night's Dream)
7.Missouri Uncompromised
8.Fleurette Africaine (Little African Flower)
9.Hullo, Bolinas
10.Syndrome
11.Question and Answer

Gary Burton (vib)
Pat Metheny (g)
Steve Swallow (el-b)
Antonio Sanchez (ds)

2007/06/10-11

 - ジャズ