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玉子とじ蕎麦

玉子とじ蕎麦

そば・そば料理の新しい世界―そばの魅力を究める (旭屋出版MOOK)そば・そば料理の新しい世界―そばの魅力を究める

ひと昔前、神保町に「響」というジャズ喫茶があった。

オスカー・ピーターソン好きのマスターが経営していた店だが、セロニアス・モンクや、エルヴィン・ジョーンズなどが来日した際に立ち寄ったことでも有名な店だ。

そこのマスター、大木俊之介氏が書いた本を以前読んだところ、二日酔いには、玉子とじ蕎麦が一番効くということをマスターは頑なに信じているといったような内容の一文があり、やはりそうか!と膝を打ったことがある。

実際の効用のほどは分からないし、第一、私は二日酔いになったことはほとんど無い。

しかし、仮に二日酔いじゃないにせよ、吐く息がいまだアルコール臭い翌日の食事は、少なくともハンバーグやカレーや牛丼なんかよりは、玉子とじ蕎麦のほうに魅力を感じまいか?

露骨にパワーを象徴するような、「男」な食べ物を牛丼やカレーだとすると、玉子とじ蕎麦のなんとも、しなやかで優美なことよ。

椀面にうっすらと覆い被さる優しい玉子が、まるで、頭痛でズキズキのアタマと、ガサついた胃袋の中身を優しく包んでくれそうな気がするではないか。

玉子の「とじ加減」にこだわる「通」もいるようだが、私の場合は、そこまでこだわらない。

ただし、熱いほうが良い。

熱い玉子とじ蕎麦を、うっすらと汗をかきながら食べるのだ。

額に浮かんできた汗は、昨晩のアルコールの一部なのだろうな、などと思いながら、ひたすら玉子とじ蕎麦の中に溶け込んでゆくのだ。

汁は、少し濃い目の汁がよい。

薄めだと、玉子で味が薄れてしまう。

なにより、喉がちょっとガラガラするぐらいショッパイ汁のほうが、水がすすむ。

水をゴクゴク飲んで、その後、トイレで何度か小便をしながら、「さぁて、昨日のアルコールもそろそろ抜けた頃だな」と思う夕刻。

私の頭の中は、既に数時間後の飲みを企んでいたりするのだ……。

記:2002/03/12

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