カフェモンマルトル

text:高野雲

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特撮ヒーロー番組 番組改変のタイミング

      2016/04/09

DXドラグバイザー 仮面ライダー龍騎DXドラグバイザー/仮面ライダー龍騎

なぜ、戦隊モノと仮面ライダーは、1月の下旬から2月の中旬にかけて番組が変わるのか。

こたえは、おもちゃメーカーの在庫処理のため。

そして、消費が停滞する2月のおもちゃ市場を活性化させるため。

現在、朝の午前中に放映されている特撮ヒーロー番組は『爆龍戦隊アバレンジャー』と『仮面ライダー555』だ(いずれもテレ朝)。

前の番組の『仮面ライダー龍騎』が終わり『仮面ライダー555』がスタートしたのは、今年の1月26日。

戦隊モノの『忍風戦隊ハリケンジャー』に変わり、新番組『爆龍戦隊アバレンジャー』の放映開始が2月16日。

いずれも、一年の中のタイミングとしては中途半端な感じがしないでもない。番組の改変期でもなければ、大河ドラマのように年末に最終回という区切りの良いタイミングでもない。

私の息子が『仮面ライダー龍騎』にハマりだしたのは、ほとんど番組の終盤期になってからだった。

「龍騎見る!」と騒ぐ息子につられて、私も日曜日の朝になると一緒にテレビを見るようになった。

観ているうちに、面白いアイテムがいくつかあったので、息子になにか龍騎のおもちゃを買ってあげようと思った。

私も昔からおもちゃは大好きなので、買ったおもちゃで息子と一緒に遊ぼうと思ったのだ。

そう思い立ったのは、1月の半ばだったと思う。

息子と私は、月に数回のペースでおもちゃ屋へ遊びに行っている。だから、年末のおもちゃ屋の仮面ライダーコーナーには「龍騎」の様々な商品がディスプレイされていたことを知っていた。

そのコーナーから何か息子が欲しがるものを買えばいい。そう思って、いつも行くおもちゃ屋へ向かった。

ところが、年末にあったはずの龍騎のオモチャがまったく見当たらないのだ。

というよりも、正月の商戦を過ぎたおもちゃ屋の店内は心なしか商品が少なくてがらんとした寂しさが漂っている。

ドラグバイザーも、ドラグレッダーの人形も、ドラグバイザーツバイも、バイクモードのドラグランザーも、龍騎のヘルメットも、龍騎のパジャマも、見事なほどに店頭から消えていた。

残っていたものは、龍騎関係のソフビと、京本政樹モデルの龍騎人形のみだった(※リアルなプロポーションと精巧なディテールが売りの京本モデルのターゲットは、子供よりもむしろ大人だ)。

もしや、年末から年始にかけての商戦ですべて売り切ってしまったのか?!

しかし、全部が全部無くなるわけもないだろう。いくら『仮面ライダー龍騎』が人気だからといって、すべてのおもちゃが人気あるわけでもあるまい。

売れ筋商品と、そうでない商品があるはずだ。

しかし、龍騎関係のおもちゃは綺麗さっぱり店頭からなくなっている。

見事な在庫処理っぷりだな~。

ん?在庫?在庫処理、といえば、もしや福袋?

つまり、クリスマスで龍騎関係のおもちゃが売れる。

次いで、お年玉の正月がやってくる。

売れ筋商品は放っておいても無くなるだろうが、売れ筋ではない商品はどうするかというと、福袋に突っ込んで在庫処理をするのではないのだろうか?

私の推測は、ほぼ当たっていた。

というのも、ライダーの番組の制作を担当している代理店の担当に尋ねてみたからだ。

彼曰く、特撮ヒーロー番組の交代時期は、おもちゃの在庫を考えた上で、もっとも適切な時期を選んでいるのだという。

一番良い時期は、1月の後半から2月。

クリスマス、正月、冬休みなどの暦に則ったイベントに応じて、年末年始は、プレゼント、旅行、お年玉などで、何かと出費のかさむ時期だ。

しかし、これら年末年始の出費の反動で、正月が終わり、年末年始の行事がひと段落した1月の中旬から2月の時期は、消費が落ち込む。

もっとも、これはおもちゃ業界に限らず、ほとんどすべての業界にも言えることで、風俗業界においては俗に「にっぱち(2月と8月)」と呼ばれている。2月と8月は、どうしても人々の消費活動が停滞するのだ。

しかし、逆に言えば、このタイミングに新しいおもちゃを出せば、確実に需要を喚起することが出来る。欲しがる子供にターゲットを集中させれば、親の財布の中を狙うことが可能なのだ。

さらに、年末年始のおもちゃ消費が一番活発化する時期に便乗して、古い番組のおもちゃ在庫を一掃してしまえば、膨大な在庫を抱えるリスクが軽減されると同時に、新しいおもちゃとの入れ替えが出来る。

この番組切り替えタイミングのアイディアは、放映局のテレビ朝日が考えたものではなく、スポンサーのおもちゃメーカー・バンダイが考えた戦略なのだという。

なるほど、うまい考えだ。

古い番組のおもちゃの余剰在庫を持たない。
→在庫の軽減

 
消費の落ち込む時期に、新番組をオンエア
→新番組に連動して新しいおもちゃを発売
→番組中のCMで新商品の告知
→需要の喚起

 
1月末から2月にかけて番組を変えるだけで、この二つの大きなメリットを享受することが出来るわけだ。

しかし、2月に新しい番組のおもちゃを買い与えたからといって、「これで一年間は大丈夫だろう」と親は安心できない。

きっと、番組中盤では、新たなヒーローや、グッズなどがバージョンアップしたり、新たな人気キャラクターが生まれてくるだろうから。

それを、また、子供は欲しがる。

油断していると、次から次へと現れるおもちゃの新製品にどんどんお金をつぎ込むことになるだろうから。

注意しなくてはならない。

親としては、子供に我慢をさせる訓練をさせることも大事だ。

なんて偉そうなことをいいつつ、実は、親の私のほうが我慢できないんだよなぁ。

記:2003/03/01
 

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