トランスフォーメーション/村治佳織

      2016/11/08

トランスフォーメーショントランスフォーメーション/村治佳織

村治佳織の新譜、『トランスフォーメーション』を聴いている。

英国の名門レーベル、デッカへ移籍した第一作目のアルバムだ。
このレーベルとの契約は、日本人としては初めて。

タイトルは、「トランスフォーメーション」だが、べつだんデッカに移籍したからといって、それが契機に劇的にトランスフォーメーションしたわけでもなく、村治佳織は、枚数を重ねるごとに少しずつ、丁寧に成長を遂げているのだと思う。

なーんちゃって。

本当は、ぶっちゃけた話、ギターがどうのこうのよりも、ジャケットの美しい佳織嬢のポートレイトに惚れて買ったCDなのだ。

一段とお美しくなられました、村治佳織嬢。
立木義浩撮影のジャケット写真、吸い込まれるような美しさだ。

彼女は美しい。
昔から綺麗なお方だったが、本当に素敵な大人の女性になったと思う。

それに比例するかのように、ギターの表現力も円熟味が増してきている。安らかで円やかなんだよな。

もちろん、ギターの音色の美しさも変わらず。

今回のニューアルバムは、ビートルズをはじめとした、メロディが親しみやすい曲が中心の選曲なので、初めての人は、特にクラシックのギタリストのアルバムと肩肘はって聴く必要はまったくないでしょう。

むしろ、クラシック・ギターを期待して聴くと、ちょっと肩透かしを食うかもです。

ただ、親しみやすく、かつ心地の良いサウンドを届けてくれることには間違いなく、スティングのギタリストとのデュエットなど新しい試みもなされており、いつもの“村治ギター”なことには変わらないのだけれども、それでも、少しずつ、ほんとうに少しずつ、ステップアップしてゆく“村治佳織の今”を捉えた、新鮮でみずみずしい記録だといえよう。

現在、午前1時45分。
深夜に低くボリュームを絞って流すと、雰囲気的には丁度良い。

これぐらいの時間帯、もし家にいたとすれば、そのときは、グールドのバッハか、カザルスの無伴奏チェロをかけることが多いが、今後は、村治佳織の新譜も聴く頻度が増えることだろう。

なぜかというと、彼女のギターには、深夜の重たい空気を浄化してくれるような清廉さがあるからだ。

▼収録曲
1. ≪ギターのための12の歌≫から::ヘイ・ジュード
2. ≪ギターのための12の歌≫から::ミッシェル
3. ≪ギターのための12の歌≫から::ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア
4. ≪ギターのための12の歌≫から::イエスタデイ
5. ヒロシマという名の少年
6. 不良少年
7. ≪エピタフィオス≫から 第7曲:不死の水
8. ≪エピタフィオス≫から 第4曲:わが星は消えて
9. ≪エピタフィオス≫から 第3曲:5月の日
10. ≪エピタフィオス≫から 第6曲:きみは窓辺にたたずんでいた
11. ヴェニスの謝肉祭による変奏曲
12. フェアウェル・トゥ・ストロームネス
13. すべては薄明のなかで I.
14. すべては薄明のなかで II.
15. すべては薄明のなかで III.
16. すべては薄明のなかで IV.
17. ≪ギターのための12の歌≫から::オーバー・ザ・レインボー
18. ≪ギターのための12の歌≫から::ロンドンデリーの歌
19. ラスト・ワルツ
20. 悔いなき美女 [ボーナス・トラック]
21. フラジャイル [ボーナス・トラック]

記:2004/09/09

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