カフェモンマルトル

ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

月9『コンフィデンスマンJP』観ながらメモ

   

Pocket

第1話

またもや江口洋介!

1クール前の『BG』には警視庁SP・落合義明の役で出ていたかと思ったら、さらに2クール前の『黒川の手帖』にも衆議院議員の安島富夫役で出ていたと思ったら、今度は悪徳公益財団「あかぼし」の会長・赤星栄介という悪役で出演されておりましたね。

さらに、今回のクールではテレ東のドラマ『ヘッドハンター』の主役も演じるので、とにもかくにも人気俳優は忙しい!

そんな江口洋介、『コンフィデンスマン』の第一話の長澤まさみの対戦相手で、今回限りの出演だろうけど(次週の長澤まさみの敵役は吉瀬美智子)、少なくとも今回の役が一番、江口洋介のトンガリ耳には似合っていたんじゃないかな?

「ゴッドファーザー」的な貫禄はないけれども、十分にワルい感じは出ておりました。

肝心は本編なんだけど、ずいぶんとコミカルな内容と展開だと思っていたら、脚本は古沢良太。

古澤良太といえば『リーガル・ハイ』の脚本家としても有名ですね。
なるほど。

さ、バド・パウエルの《ストリクトリー・コンフィデンシャル》でも聴くか。

プライベート録音のパウエルのピアノ、荒いところやミスタッチも多いんだけれども、それも含めてリラックスした感じがたまらなく良いんですよね。



sponsored link



第2話

長澤まさみが演じるダー子は、相手を騙すためなら、猛勉強をして様々な職業に就く努力の人でもあります。

第一話ではCAの勉強をして短期間でキャビンアテンダントになりすましました。
もっとも偽の航空会社の偽CAではあるけれども、キャビンアテンダント特有の立ち居振る舞いはそれっぽくマスターしていましたね。

そして第二話では、猛勉強をして吉瀬美智子が社長を張るリゾート会社に中途入社を果たし、さらに短期間でリゾート王・吉瀬美智子の側近にまでなっています。

その昔、TSUTAYAでDVDをレンタルした際、5枚で1000円だったのですが、観たい映画やドラマが4枚しかなく、あともう1枚、何をか借りようかと思った際、ふと目についたのが当時、電車の窓際の宣伝シールなどで盛んに宣伝していた深見東州の『強運』の講演映像があったので、なんとはなしに借りて見たことがあります。

深見東州の『強運』は、当時、様々な書店のロングセラーのランキングにもランクインしていたこともあり、なんだか創価学会や幸福の科学のような新興宗教が発行している本に共通した表紙のテイストから、なにやら胡散臭い感じもしたので、また、深見東州氏といえば、みすず学苑の学長である半田晴久氏の別名でもあり、みすず学苑という塾(予備校?)の電車の窓際の宣伝シールも毎回、プリンや日本武尊が登場する胡散臭いデザインだったため、そういうイメージも手伝って読むのを躊躇ってはいたのですが、DVDなら読む手間も省けていいかなと思って軽い気持ちで見てみたんですね。

このDVDは深見東州氏の講演が収録された内容だったのですが、講演の冒頭で印象深い一言を放っていました。

曰く「悪人ほど念力が強い」。

ま、この言葉のみからでは、その意味するところは、悪さをして心を強くしようってこと?とか、親鸞の「悪人正機」説のこと?だったりと色々と誤解されそうですが、その意味するところは、要するに悪人ほど自分の欲望に貪欲なために、ありとあらゆる努力をする⇒だから我々善人はその悪人のパワーに負けぬほど努力をしなければならない、ということです。

たしかに、「猛烈にお金が欲しい!」と思っている人は、ありとあらゆる金儲けの方法を考えるでしょうし、ガムシャラに働くことも厭わないでしょう。
時には「オレオレ詐欺」や「サポート詐欺」などの犯罪ビジネスモデルを産み出すこともあります。

こういうことって、おそらく「お金に興味がありません」と言っている人や、「そこそこの暮らしが出来れば、自分はそれで幸せ」と考えている人には考え付かないでしょうし、そもそも考えようともしないでしょう。
たとえ「そういう方法」を知っていたとしても、現状に満足している「善」なる人は、行動に移さないと思います。だって、バレたら逮捕ということもありますが、それ以上に、面倒くさいし、人並以上の行動力が必要なことが多いので、わざわざそこまでする頭も身体も酷使する必要はないと考えてしまいがちだからです。

こういうある意味ノホホンとした善人よりも、あの手この手を考えてマメに行動を繰り返す「悪人」のほうが、その「念」においても「行動力」においてもエネルギーの量が違うわけで。

たとえば、『仮面ライダー』のショッカーや、『ヤッターマン』のドロンボー。
いつも私、彼ら「悪の組織」を偉いなぁと思っている点があります。
それは、毎週主人公にやられても、懲りずに翌週には新しい企画を考え、それを実行に移すだけけの行動力を持っているからです。

一度や二度の失敗には懲りず、常に新しい切り口の悪事を考えては迅速に行動に移しているわけです。

そんな人たちは、やっぱりエネルギーが違う。そういうことを「念」という言葉で表現しているんだなと私は解釈しました。

『コンフィデンスマン.jp』の長澤まさみを見ていたら、深見東州(半田晴久)の「悪人ほど念が強いという言葉を思い出しました。

このパワーを、真っ当なビジネスや、研究に打ち込んだら、すごい成果を収めるだけのものを資質と集中力を持ったキャラクターなんですよね。

そういえば、先ほど「ヤッターマン」を引き合いに出しましたが、なんだか長澤まさみがドロンジョに見えてきた(笑)。
そうすると、東出昌大や小日向文世がボヤッキーやトンズラに見えてきた。

ドロンボートリオの凄いところは、毎週新しいメカを作るための資金稼ぎのために、毎週新しい詐欺まがいの商売をはじめ、実際ガッポリと稼いでいるところです。
この能力とエネルギーの使い道さえ間違えなければ、この3人は、類まれなる商才を持ったビジネスマンになっていたに違いありません。

ドロンボーのトリオは、世界のどこかに眠るドクロストーンを発見するという遠大な目標を達成するために、毎週ヤッターマンにやられながらも、懲りずにドクロストーンをゲットするためのマシンを作るための資金稼ぎをやってのけています。
その一方で、『コンフィデンスマン』のトリオにはそのような共通した目標がありません。
お金そのものが目標、あるいは金儲けをしてふんぞり返っている成金たちに一泡吹かせるのが目的のようにも見えます。

そのあたりが両者の異なるところではありますが、いずれにしても両者の(特に長澤まさみの)お金を騙し取るまでの筋書き考える頭脳と、それを達成するために様々な職業の人間になりきる行動力はハンパないと思います。

やってることは詐欺ですから犯罪。
犯罪は悪ですから、犯罪を犯している人は悪人。

そんな「悪人」ほど念力が強い。
まさに深見東州氏の言葉を裏付けている人物像でありましょう。

第3話

今回の標的は石黒賢。

かつては実写版『めぞん一刻』の五代君を演じていた石黒氏も、「インテリ&性格悪し」的なキャラで起用されることが多いような気がするのは、つい先日の『正義のセ』で、大手ゼネコンのパワハラ上司の役で登場した記憶が残っているからかもしれません。

参考記事:水曜ドラマ『正義のセ』観ながらメモ

今回、長澤まさみのターゲットとなった石黒賢は、美術界の権威。
悪徳美術商の顔を持ち、さらには気に入った美大生を狙うスケベオヤジの面もある人物を演じてました。

古今東西のあらゆる芸術作品に精通した美術評論家である彼が主張する「絵は心ではなく、知識と情報で見るものだ」という主張は一理ありますね。

もちろん「心で見る」という側面を否定するものではありませんが、異なる国の異なる時代、文化、価値観の中で創出された作品を、自分自身の乏しい経験と知識のみで鑑賞しようとしても限界があることは確か。

スペイン語の読み書きができない人が、ガルシア・マルケスの原書は心で味わうべきだと言っているようなものです。

逆に、ジャズのような異文化音楽もそうですが、ほんの少しでも知識を身に着けることによって、鑑賞の幅が広がり、楽しみも深くなることもまた事実。

絵画を今以上に楽しみたい方は、『西洋名画の読み方』をおすすめしたいと思います。

これを読んで知識を得ることによって、絵画を観賞することがよりいっそう楽しくなるため、むしろ「心でみる」境地への近道になるかもしれません。

第4話

今回の「詐欺ネタ」は「映画」。

騙される人は佐野史郎。

食品産地偽造を平然とおこなっている食品メーカーの社長ですね(会社を代表する商品はウナギのカレー煮の缶詰め)。

ダメだしを食らった脚本を東出昌大が栄養ドリンクや生卵を飲まされながらひたすら作業をさせられますが、その時の「生まれ変わっても脚本家にはなりたくな~い!」は、脚本家・古沢良太の心の叫び?あるいは自虐ネタ?

あの語尾の延ばし方、ほんの一瞬だけ『リーガルハイ』の堺雅人を彷彿させるものがあったけれども、そういえば、そのセリフ、古美門研介を演じる堺雅人が叫んでもピタリとハマりそう。

ま、『リーガルハイ』も脚本は古沢良太ですからね。

第5話

以前、剛力彩芽が主演のドラマ『ドクターカー』というドラマがあったんだけど、そこに登場する息子の医師を溺愛する女委員長がかたせ梨乃だったんですよね。

で、そのイメージをそのまま引きずってか、今回の第5話で長澤まさみ一派に詐欺られる役としてかたせ梨乃が大病院の院長として出演していました。

バカ&ボンボン息子を溺愛しているという設定のほか、拝金主義者という点も共通していますね。

『ドクターカー』は、地方の小さな総合病院だったけれども、今回はマスコミからも注目される大病院。

息子役は『ドクターカー』では中村俊介だったけど、今回は永井大でしたね。

医者を辞めてユーチューバーに「転職」したいというあたり、バカっぽさに拍車がかかっていて笑えました。

第6話

遺跡を追い求める人たち。

幻の邪馬台国を追い求めた盲目の文学者・宮﨑康平を演じる竹中直人と、その妻を演じる吉永小百合の映画『まぼろしの邪馬台国』を思い出しましたね。

この映画の主人公となった破天荒な生涯をおくった宮﨑康平と、さだまさしの父親は仲が良くて、それに影響されて、さだまさしも《邪馬薹》という曲を作っていますね。

曲の冒頭の歌詞、♪盲した詩人はいつもザボン口に運び乍ら~の「盲いた詩人」とは、宮﨑康平氏のことをさすわけですな。

『うつろひ』というアルバムに収録されているんだけど、昔は曲のタイトルがすべて三文字熟語で統一されたこのアルバムが結構好きでよく聴いていたものです。

無理して陽気にロッケンローラー的にノリノリしている風情の《分岐点》以外はすべて良い曲ばかりが収録されたされた名アルバムです。

これ聴いていた中学生の頃の私は、邪馬台国・九州説を断然支持していたのですが、最近は少しずつ畿内説のほうに傾きつつあります。

その理由は……、書き始めると長くなるので、それはまた機会があれば、ということで。

第7話

う~む、前々から佐津川愛美と前田敦子は似ているなと思っていたんだけど、こういう「使い方」もあるんだな、と。

特撮好きな私としては、A.5級感が漂う佐津川愛美のほうが好きなんだけど、やっぱり彼女が巨大ロボと化した『電人ザボーガー』がイイですね。

参考記事:電人ザボーガー/試写レポート

この映画の楽しさは、全編に漂うB級感。

古き良き昭和のピー・プロダクションが醸し出していたB級テイストへのリスペクトが感じられる愛すべきB級作品です。

あとは、佐津川愛美が登場した映画の中では、綾野剛と共演した『渋谷』なんかも好きですね。

これもまた限りなくB級テイストが醸しでるA.5級な映画ではありましたが、ラスト近くで彼女が流す一筋の涙が印象的でした。

こういう少々うらぶれたテイストは、メジャー路線まっしぐらの長澤まさみやガッキーには決して出せないジャズピアニストでいえば、ウォルター・ビショップJr.やウォルター・デイヴィスJr.的な風情があるのですよ。

参考記事:スピーク・ロウ/ウォルター・ビショップ Jr.

>>ウォルター・デイヴィス・ライブ・オ・ドレーアー/ウォルター・デイヴィスJr.

第8話

「デブが職場を乱している」という主張。

同じ古澤良太が脚本を手掛ける『リーガルハイ』の特別編、大森南朋がゲストの回の法廷の一幕にも似たような突っ込みの一幕がありましたな。

古澤良太は、デブやダイエットを怠る女性には手厳しい?

そういえば、この「特別編」にも裁判の鍵を握る医師として東出昌大(ぼくちゃん)が出演していましたね。

第9話

ウンチ(運動音痴)が社会的に成功し、金持ちになると、そこまでしてスポーツマンに復讐したくなるもんかね。

ま、小池徹平の場合は節税対策というのもあるんだろうけど、それ以上にスポーツが出来る人間に対してのなんともいえない複雑な思いが、わかりやすく描写されていたと思います。

わざわざスポーツチームのオーナーになり、わざと弱いチームにさせる。
そのことによって、スポーツマンがダメになってゆく姿を見てダークな自尊心を満たすという行為は、いじめられっ子にも似た特有の感情なのかもしれず、小池徹平の屈折した設定と心理描写は、分かる人には分かり、分からない人には、「なんでそこまで?」な世界なのでしょう。

運動音痴だった少年時代に嫉妬の対象だった「運動が出来てモテるスポーツマン」たちへの、まわりくどい復讐によって、社会的に成功している自分のほうが優れているんだと思いたい気持ちと、運動神経あるヤツは動物だ思い込みたい気持ち。

これって、やっぱりアレなんですかね、『桐島、部活やめるってよ』で描かれた高校のスクールカースト的なものではありませんが、やっぱりスクールカーストの上位って、運動部に入って活躍している人が多く、反対に映画研究会のようなオタクちっくな文科系は地位が低いんでしょうね。

で、この作品の中では、明らかに運動部が文科系の部活を見下すようなセリフもあるわけで、運動部に見下されたり、運動出来るやつに「お前って陰キャラだよね目線」を浴びせられ続けることによって溜まり溜まった鬱屈を、受験勉強に向けるエネルギーに転化して「いい大学にはいって奴らを見返してやるぞ」な生徒もいれば、今回の小池徹平のように、金持ちになってスポーツチームのオーナーとなり、運動選手たちをアゴで使うことによってルサンチマンを解消させようとするのでしょう。

だから、最後のスポーツに目覚めて、なんだか不自然なくらいに健全になりました的なオチは蛇足のような気がする。
番組中のキャプションには、感動のラスト的な文字が出ていたけど、「感動的なオチ」とはちょっと違うんだよなぁ。

第10話

なるほど、「エピソード10」が、じつは「エピソード0」なのね。

ぐるりとめぐってつながった!

うまい! グッドアイディアですね。

先週か先々週の『崖っぷちホテル』にも戸田恵梨香の兄役で出ていた佐藤隆太は、やっぱりどうしてもオマヌケなイメージが強いので、悪役としての迫力はやっぱりいまひとつだったよなぁ。

でも、最後のダマされたことに気付いてアタフタする姿は「らしい」ので、そちらのほうを念頭に置いたキャスティングだったのかもね。

記:2018/06/12

関連記事

>>『崖っぷちホテル!』観ながらメモ

 - ドラマ