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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

『半分、青い。』はスクラップ&ビルドな朝ドラなのだ

      2018/09/19

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目まぐるしく変わる

いよいよ物語も終盤に突入した朝ドラの『半分、青い。』ですが、考えようによっては、なかなかシュールなドラマだと思うんですよね。

なんといっても主人公・鈴愛(永野芽郁)の行動が一貫していないところが良い(悪いという意見もあるでしょうが)。

いや、一貫していない、というのは言い過ぎか。
一貫してはいるんだけどね、夢中になれる対象に対しては。

目の前の対象にはすごく夢中になる。
その時々においては、一生懸命なんですよ。

だけど、努力して築き上げたとしても、すぐに手放して次の新しいコトに移行する。

もちろん、それは鈴愛が気まぐれだからというわけでは必ずしもなく、物語の流れや状況がそういう方向に持っていく力が働いていることが多いのですが。

たとえば、パッと思い浮かんだことだけでも、

漫画家になって
⇒やめる

結婚するが
⇒離婚する

祖父の仙吉(中村雅俊)より五平餅作りの特訓を受けて、五平餅のカフェを開店する
⇒やめて東京に行く

「岐阜犬」を開発してヒットする
⇒販売会社の「ヒットエンドラン」が倒産する

勤めていた会社の倒産により、屋台で五平餅屋を営業するが
⇒売れないからやめる

そして現在は、幼馴染の律(佐藤健)とともに「スパロー・リズム」という会社を起業し、もっか「そよ風の扇風機」の開発中。

あっちへ行って、こっちへ行ってと、くるくると主人公・鈴愛の興味、あるいは取り巻く状況はクルクルと変化していきます。

これは、主人公の鈴愛のみならず、律も同様で、せっかく冷えてきた夫婦の中を修復しようと、妻のより子(石橋静河)への歩み寄りを見せる描写があったにもかかわらず、翌週ではいきなり2年が経過して、あっさり離婚しているという。

それどころか、大手の上場会社をあっさり退職して、もっか「そよ風の扇風機」の開発中。

とにかく、先週まで築き上げてきたものをあっさりとぶち壊すシナリオの思い切りの良さに唖然としている視聴者も少なくないのではないかと思われます。

スクラップの先は安堵?

個人的には、あっちへ行ったり、こっちに行ったりというのも悪くはないとは思っているんですが、連ドラといえば、主人公が追求するテーマが一貫として流れていて、少しずつ成長を繰り返していくというのが、王道パターンだとは思うんですよね。

たとえば、2つの「王道パターン」の作品と比較してみましょう。

私は「食べること」が好きなので、「食」中心の連ドラ、そしてオープニングのテーマの主旋律をヴァイオリンが奏でるドラマを選んでみましょう。

そう、池脇千鶴が主人公の『ほんまもん』と、瀧本美織が主人公の『てっぱん』です。

この両ドラマは、前者は「精進料理」、後者は「お好み焼き」と、料理が主人公の成長を描く大きなテーマとなっています。

さらに『てっぱん』に関しては、最初は最悪の出会いを果たした主人公と祖母の関係が回を重ねるごとに少しずつ改善されてゆく「積み重ね」の面白さがある。

積み重ねて積み重ねて、少しずつ話がふくらんで最終回に突入という安定したパターンの王道ですね。

しかし、『あまちゃん』もそういうところがありましたが、半年という長い期間、150回以上というエピソードを少しずつじわじわと重ねていくよりは、ヒロインに「あれもさせて、これもさせて」というパターンが『半分、青い。』だと思います。

もちろん、『あまちゃん』と『半分、青い。』を同列に並べた途端にに怒りだすファンもいらっしゃるかと思いますので、急いで補足をすると、『あまちゃん』のアキちゃんは、あっちいったりこっちいったりしているかもしれませんが、物語の底流にはママ(小泉今日子)の過去と現在にまで続く芸能界のある人物たちとの確執と繋がりが流れている上に、様々な伏線が絡んでいるので、継ぎ接ぎ感の強い『半分、青い。』とは一線を画するといっても良いでしょう。

そう、「継ぎ接ぎ感」が否めないんです、『半分、青い。』は。

複数のショートエピソードをつなぎあわせたドラマ。

業種の異なる転職を繰り返す人も珍しくない現代のニッポンですから、べつに主人公の鈴愛の生き方は、2018年という時代の目線でみれば、冷静に考えれば一貫性が感じられないにもかかわらず、それほど強烈な違和感を感じないのは、良くも悪くも今風なドラマだからなのでしょう。

何かにトライしては最後までやり遂げず、途中で容赦なく新しい局面に突入する。
まさに、スクラップ・アンド・ビルド。

最終回は、今までのスクラップの山の上に安堵が築かれるのでしょうか。

記:2018/09/18

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