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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

映画『セッション』感想

      2018/05/16

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セッション コレクターズ・エディション [Blu-ray]

これはもうスポ魂マンガのようですな。

鬼教官を演じるJ・K・シモンズ。

考え得る限りの悪口雑言を並べ立てる。

だから、個人的には邦題の『セッション』よりも、原題の『WHIPLASH』のほうがシックリくるんだけどね。

単にイジワルな性格なオッサンではなく、何かに憑りつかれたかのような、その結果としての性格の悪さだからこそ「2014年公開の映画の中で、最も記憶に残った演技」と言われたのでしょうね。

『スパイダーマン』では新聞の編集長役も演じていたJ・K・シモンズは、やっぱり性格悪く印象に残るオッサンを演じさせたらピカイチなのでしょう。

人から認められたい、でも努力はできうるかぎりしたくない。
できるだけ「効率」を追求して人から認められるようになりたい。
そんなことを考えている若い人にこそ見て欲しい一作ですね。

以前、この映画をめぐって、「町山智浩vs菊池成孔論争」なるものがあったようですが、あんまし興味ないので、論争の詳細は知らんです。

でもね、音楽の出来がどうのこうのとか、ジャズか非ジャズかどうのこうの以前に、ジャズってぇもんは、真剣に打ち込めば打ち込むほど、人はクレイジーになる、クレイジーになる価値のある音楽であることは確かなんだよということを改めて確認することが出来た作品でもあります。

ま、ジャズに限らずなのかもしれないけど。

ただ、「ジャズマンの陰湿話」に関しては、日本の狭いジャズ業界に関してではありますが、昔はたまに耳にしました。

けっこう狭い世界なので、噂は一気に広がるようで、学生時代の私のように音楽学校のいち生徒だった末端も末端の人間でも耳にすることがあったんですね。

ま、一言でいえば、あいつは「上手い・下手」、ジャズを「分かってる・分かってない」、下積み経験が短いのに「目立ってる、自分よりギャラが高い」といった、そういうことに端を発するハナシが多かったような。

また、一時期親交があったピアニスト(キーボーディスト)のお父様は、日本では有名な某サックス奏者のバンドで一時期ドラマーをされていたそうですが、かなり親分から陰湿ないじめ(とてもシゴキとは思えない)に遭っていたそうです。

ステージ上では、打ち合わせとは違う曲を突然やらされたり、しかもその曲のテンポ設定が死ぬほど速かったりなどなど、シゴキともイジメとも取れるような仕打ちを数え切れないほど経験してきたそうです。

また、あるウッドベース奏者は、仕事で当日のハコ(演奏会場)にウッドベースをかついで入ろうとしたら、先輩ベーシストが入り口に立ちふさがり、「貴様、俺よりベースが上手いと思うのなら、ここを通れ」と言われたりしたようですね。
要は、お前、先輩の俺を差し置いて仕事とるなんていい度胸してんじゃねぇか、ということみたいですけど。

このような、ある意味理不尽なことを経験し、理不尽なことに耐えたり、スルーしたりしながら、やめずに続けられた人が一人前になっていくのでしょう。

必要悪な通過儀礼なのかもしれませんね、こういうことって。

それにしても、いまだバディ・リッチは、アメリカの白人のジャズ好き現代っ子のアイドルドラマーなのかな?
(ま、バディ・リッチをアイドルにしておけば、ビッグバンド、キャラヴァンなどに繋がりやすいといえば繋がりやすいのだけど)

記:2017/03/05

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