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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

鉄人28号/試写レポート

      2018/01/09

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現代版かつ実写版の『鉄人28号』。

たとえばアニメだと最近の種ガンダムや、特撮だとゴジラの機龍(メカゴジラ)のように、フォルムやディティールの複雑なロボットが跋扈(ばっこ)する昨今、この鉄人28号や敵ロボットのブラック・オックスのようにシンプルな直線と曲線で構成された単純明快な造形は逆に新鮮に感じる。

特撮の部分に力点を置きすぎて、演技やシナリオがなおざりになってしまいがちな特撮作品も多いなか、この鉄人の場合は、きちんと人間ドラマのほうも描こうという意気込みが感じられたので、個人的には楽しめた作品となった。

というのも、特撮(というよりはCGだけど)シーンは、個人的には65点。人間ドラマやシナリオ的な面も、池松壮亮クンの熱演は評価するも、67点ぐらいの出来と感じたのだが、これら二つの要素が有機的に絡み合い、補完しあえば、総合的には75点ぐらいの出来に感じたので、まぁまぁバランスよく楽しめる作品に仕上がっているのだ。

この映画に登場する鉄人28号は、主人公の正太郎君のお爺さんが軍事用ロボットとして開発し、戦後、お父さんが平和利用に作り直していたロボットという設定となっている。

だから、時代は現代。

警視庁のホームページがハッキングされたり、敵がパソコン会社の元社長というところなどは現代的だが、やはり横山光輝原作の当時の雰囲気を尊重したのか、小道具やファッションなど、ところどころにレトロなテイストを感じさせる絵作りになっている。

母親の薬師丸ひろ子が足を止める風鈴屋の屋台とか(風鈴売りは妻夫木聡)、正太郎君や綾部爺さんのファッションとか、警視総監のかぶっている帽子とかがね。

なぜ、私がこの作品の試写を観たくなったかというと、予告編に感動したから。

蒼井優のセリフ「私だって怖いよ、でも戦う勇気だけがあなたの武器なの!」にジーンと目頭が熱くなり、鉄のカタマリのロボット同士による単純な殴り合いの鈍重なバトルに原始的本能がガオーッ!と呼び覚まされ、最後は正太郎君の「鉄人は武器を持たないロボットなんだ」に、なぜかジーンときたのよ(笑)。

ま、作品の一番おいしいエッセンスが凝縮されているのが予告編だから当たり前なことなのだが、なかなか観たい気分にさせてくれた編集だった。

特撮も人間ドラマも、個人的には、ちょこっと「心の中に隙間風が吹く妙なシラケた空白」を感じる箇所がいくつかあるにはあったが、そんなのは瑣末な問題。

ロボットに乗り込んで操縦するのならともかく、リモコンで外側から操縦することが、そんなに勇気と度胸がいる行為なのかってことにも「?」がつく。

それと、まだ飛べない鉄人を、島からどのようにして丸の内に連れてきたのか?とかもね。

しかし、単純にデッカい鉄のカタマリの雄叫びと、正義のパンチに酔いしれよう。実にオーソドック、かつ王道な、男の子による男の子のための映画なのだっ。

観た日:2005/03/01

movie data

『鉄人28号』
原作:横山光輝
監督:冨樫 森
脚本:斉藤ひろし、山田耕大
出演:池松壮亮、蒼井優、香川照之、川原亜矢子、薬師丸ひろ子、柄本 明、伊武雅刀、阿部 寛、中澤裕子、高岡蒼佑 ほか
3月19日より全国でロードショー

記:2005/03/02
加筆修正:2005/04/25

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