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ウド・シティ・ブルース~装甲騎兵ボトムズBGM集Vol.1

ウド・シティ・ブルース~装甲騎兵ボトムズBGM集Vol.1

マクロスとボトムズのサウンドトラック

中学、高校時代は『マクロス』と『ボトムズ』のサウンドトラックをよく聴いていた。

その理由は一言でいえば、両者とも音楽としてのクオリティが高かったから。

劇中を彩るBGMとしてだけではなく、ひとつの独立した曲として聴けるナンバーが多かったからに他ならない。

もちろんアニメの作品そのものも好きではあったのだけれども、わざわざ小遣いでアルバムを買おうとまで思わせるほどに、劇中に流れるBGMのクオリティが高かったのだ。

『超時空要塞マクロス』のほうは、羽田健太郎による「ヘルシー・ウィングス・オーケストラ」と躍動感のあるギターは、サウンドの骨格をわかりやすく、かつソフトに、そしてあるときはダイナミックに演出していたとすると、『装甲騎兵ボトムズ』の乾裕樹によるサウンドトラックは、アコースティック楽器の響かせ方、曲によってはシンセの使い方をシンプルかつ空間的に鳴らしている「間」の使い方が秀逸だと感じた。


超時空要塞マクロス マクロス


装甲騎兵ボトムズBGM集Vol.1

編成の少ない楽器で演奏されているナンバーが多いのだが、楽器と楽器の距離感、空間配列が非常に巧みで、後に私がジャズを聴き始め、セシル・テイラーや、アート・アンサンブル・オブ・シカゴといったいわゆるフリージャズと呼ばれる音楽も、最初は強烈な違和感を感じたものの、比較的短期間で楽しめるようになったのも、ひとえにボトムズのサウンドトラックが橋渡しをしてくれたからに他ならないのではないかと今では思っている。

一瞬で世界観を描き出すトランペット

vol.1の「ウド編」は、劇中の戦闘シーンでよく使われる《ジ・ユニバース・エンド 1-M14》がやはり秀逸。

冒頭の例のあのウネウネしたメロディを数秒聴くだけで、気分は「むせる」。
すべての「最低野郎」は、この旋律とギターソロにやられるはずだ。

そして、秀逸なのが、《ウド・シティ・ブルース》。

ブルージーなミュート・トランペットを聴き慣れていたからこそ、後年マイルスの《ラウンド・ミッドナイト》にもスルリと没入することが出来た。

「なんだ、ボトムズのブルースじゃん」って。

マイルスのゴージャスさを感じさせるアレンジに比べ、《ウド・シティ・ブルース》は、ギターとトランペットとのデュオ。
シンプルな編成、かつ短い時間の中でコンパクトに、退廃的かつ近代的な戦後の闇市的なヤバくて猥雑で犯罪の匂いがぷんぷん漂う街の雰囲気を描写していた。

このウドの街で、AT(アーマード・トルーパー/ボトムズの世界では主力として使用される人型兵器)同士の闘い賭博(=バトリング)が、競馬や競艇のかけごとよろしく行われているのだが、このような特異な興行が「当たり前なこと」としてスッとアニメを見ている者の脳に認識することが出来たのは、ひとえに、さらりとBGMとして使用されている《ウド・シティ・ブルース》の力も大きかったのではないかと考えている。

戦後のドサクサの中の荒んだ空気、食いっぱぐれた元兵士たちによるバトル・ショー、それになけなしの金を賭け一攫千金を夢見るならず者や酔っ払い、街を牛耳るならず者暴走族、そして、このイベントでボロ儲けをする興行主と、荒んだ街を闊歩する治安警察。

この惑星メルキアの吹き溜まりといっても良い退廃的な街のムードと世界観を、特に説明的な要素もなしで、何の抵抗もなくスッと把握させてくれたのは、ひとえにボトムズのサウンドトラックの功績が大きいのではないかと今となっては思っている。

記:2019/06/30

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