ソフト・セルとサロン・ミュージックのSay Hello Wave Good Bye

      2018/09/06

今日の気分はソフトセル

なんか雨が降ってきたし、だからというわけでもないんだけど、あんまり今日はジャズを聴く気分じゃないんだよね。

ワインもかなり回っているし、腰も痛いし、それにちょっと眠いし。

いや、それらの一々がジャズを聴きたくない理由にはならないんだけれども、それらの要素がボンヤリと組み合わさると、なんだか、こういうCDに手が伸びてしまう。

ソフトセルといえば、《メモラビリア》なんだけれども、というかそれしかないんだけれども(笑)、私にとっては少なくとも、もう1曲名曲がある。

《セイ・ヘロー・ウェイヴ・グッバイ》だ。

底なしモテモテ野郎とエレポップ

サロン・ミュージックのカバーも素敵だけれども、なんの衒いもなく素朴な打ち込みとアレンジでここまで聴かせてしまうマーク・アーモンドの歌も素敵だ。

この曲に出会ったのは、もう20年ぐらい昔かな。当時、狂ったようにダンスミュージックの12インチシングルを集めていた友達に勧められて聴いていた。

ヤツは今頃どうしているんだろう。

所有レコードがダンスミュージック(当時はハウスやユーロビートが殆どだった)だけで2000枚を超え、それほどカッコイイルックスとはお世辞にも思えなかったんだけど、死ぬほど女にモテていた。

「ブス」、「デブ」と、教室の中では、話題の対象となっている女性に聞こえるぐらいの大きな声でズバズバと言い放つ無神経さとデリカシーの無い奴なんだけれども、かえってそういう冷たい男から、特別扱いされたり優しくされると女性は嬉しいものなのだろうか、家出をして地方からやってきた中学生から20代後半のOLまで、彼の周りには常に女性、女性、女性だった。

毎晩、違う女の家に泊まっていたようだし、生活も滅茶苦茶。

そんな彼と妙にウマが合って、よく一緒に渋谷のタワーやシスコにお皿漁りに出かけたものだ。

「いいから、やってみなよ」と冗談半分に教えられ、かつ一緒に吹き込んだ伝言ダイヤル(懐かしいですね)。

二人の掛け合いのメッセージを入れたところ、数分で何人かの女性からの反応があり、どうせ冷やかしだろうと思って渋谷のハチ公前に約束の時間に行ったら、なんと11人の女子高生が我々のことを遠くで品定めをしながら待っていて驚いたこともある。

もちろん、私一人がそんなことをしても絶対に無理な話なんだけれども、伝言ダイヤルに吹き込んだ声一つで女性をここまで集めてしまう彼は、結局、女性を惹き寄せる才能、匂いのようなものを生まれながらにして持っていたのだろう。

だって、こういうことって、いくら私を含め凡百の男がモテたいと思って努力したところで、実現できることではないからね。

スキルじゃなくてフラなんだよね、こういうのって。

で、こういうフラって、残念ながら伝染しない。

私は一年近く、彼と行動を共にしたが、だからといってモテるようになったかというと、全くそんなことはなかったからね(むしろ、モテなくなったかもしれない)。

まぁ、モテとか非モテとかを真剣に、それこそ人生に一大事のように考え、悶々していた時期の私のバックは、いつもXYMOXや、ディペッシュ・モード、イレイジャー、ヤズーなんかのエレクトロポップがポキポキと鳴り続けていたのです。

その時の気分、空気を象徴するのが、マーク・アーモンドの《セイ・ヘロー・ウェイブ・グッバイ》。

Memorabilia: The Singles by Soft Cell, Marc Almond (2013-01-17) 【並行輸入品】Memorabilia: The Singles by Soft Cell, Marc Almond (2013-01-17)

まだ、ジャズには出会っていなかった頃のお話。

サロンのSay Hello

この曲、過去のいくつかのバンドで何度かやろうとしたんだけれども、この曲に興味を示してくれた人は、ついぞ一人もいなかったので、今では聴くだけの曲として大切にしまってあります。

それはそうと、この曲はサロン・ミュージックのカバーバージョンもいいよ。

エフェクトが過剰にかかった竹中仁美のヴォーカルが人工セクシー。

気だるく、なんだかやるせない。

『O BOY』は、Salon Musicのアルバムの中では一番好きかもしれない。

もっとたくさんの人に聴いて欲しいのだけれど、今、手に入れられるCDは、『O BOY』のひとつ前のアルバム『This Is』とのカップリングCDしか無いみたいだね。

『This Is』も嫌いなアルバムじゃないけれども、サウンドカラーがまったく違うんですよね。

出来れば、『O BOY』は『O BOY』として、『THIS IS』は『THIS IS』として切り離して、それぞれの世界観を味わいたいものであります。

記:2009/03/12

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