プラモは筆塗り、フデヌリンな私

      2021/02/09

過剰と蕩尽

プラモはやっぱ筆塗りっしょ!

あ、いや、べつにエアブラシ派を否定しているわけじゃございません。

私だって、中学、高校時代はエアブラシ派でした(大学時代はプラモから遠ざかっていた、というより他のことでプラモする暇がなかった)。

エアブラシ(昔はピースコンと呼んでいたけど)で塗料をプシューッと吹いて、パパーッと模型の表面の色が鮮やかに変わっていく様は、とても気持ちが良いものです。

この一瞬のためだけに、ひたすらシコシコと模型のパーツを組み立ててはペーパーがけを繰り返す「苦行」の日々も、一瞬でパパーッと色が変わるエアブラシを吹く日のためだと思えば、それはそれで楽しみではありました。

私、プラモは好きではあるのですが、組み立てることがあんまり好きではないんですよ。

面倒くさいし、パーツを破損したらどうしようとか、間違って接着したらどうしようとか、そういった細かなことをウジウジ悩みながら組み立てているんですね。

その後のペーパーがけも面倒くさいし。

接合面をデザインナイフで削り、その後ヘコンだ箇所などはパテ盛して、数日乾かして、耐水ペーパーでゴシゴシして、それでもダメなら、また薄くパテを盛って数日乾かして……、ああ面倒くさい。

でも、このような私にとっての「苦行」も、エアブラシで塗料を吹き付け、鮮やかに模型の地肌の色が好みの色に変わっていく姿を想像するたびに、高校時代の私は、「これぞ“過剰と蕩尽”じゃあ~!」と思っていたものです。

あ、この“過剰と蕩尽”というのはですね、高校時代の一時期、栗本慎一郎先生の本にハマっていたことがありまして(講演にも行ったなぁ)、代表作の『パンツをはいたサル』か『都市は発狂する』かのどちらか、あるいは両方に、このような言葉が使われていたのですね。


パンツをはいたサル―人間は、どういう生物か

つまり、農作業にたとえると、田植えの春から収穫の秋までの間、毎日毎日、田んぼに出て、農作業という重労働に耐えに耐え、いよいよ収穫が終わったら、祭りじゃ!無礼講じゃ!夜這いじゃ!と、今まで蓄積してきた我慢エネルギーを、一気に放出してしまうことですね。

これは何も日本だけに限らず、祭りのある国はどこでもそうなんじゃないかな?
そして、「収穫祭」のような祭りがあるのって、だいたい大きな仕事がひと段落した時期でしょ?

我慢して蓄財してきたお金なんかを、一気に使い果たしてしまう(=蕩尽してしまう)こと。これこそが、人間らしい生き方なんじゃろなと、今でもなんとなく私はそう思っています。

もっとも、これは江戸っ子の「宵越しの金は持たぬ」とは、ちょっとニュアンスが違うんだよね。
たしかに、稼いだ金を使い果たしてしまうことは同じだけれども、江戸っ子の場合は、「その日」に稼いだを金を「その日」に使うだけなので、「我慢」をする期間が短すぎると思うのね。

もっと長い期間、我慢を重ねて、「いよいよ!」というときに、ドバーッと一気に使い果たすというのが、私が理解している「過剰と蕩尽」なのであります。

異常に組み立てが遅い私

私の場合は、プラモを作る速度が異様に遅くて、たとえばですが、4~5年くらい前に韓国に焼肉を食べに行ったことがあるのですが、その際、ガンプラもいくつか持っていったのね。ガンプラの他に、ボトムズのダイビングビートルも持って行ったっけかな。

なんで、わざわざ海外旅行の大きなトランクの中にプラモと接着剤とヤスリとクラフトナイフを入れて渡航したかというと、夜に焼肉を食べる以外は、特に行きたいところがなかったし、明洞や南大門に行ったところで、欲しくもない観光客目当ての土産の押し売り屋の餌食になるのもゴメンだと思ったから。

だったら、昼間はホテルに引きこもってプラモをしこしこ作るのが「男」ってもんだろ(アホ)と思っていたのね。

その時に、ガンプラの「Ez-8」とボトムズの「ダイビングビートル」を借り組みし、接着できるところは接着し、高速機動型ザクはウンザリするほどバーニアの数が多い機体なので、バーニアを切り取ってはペーパーがけをしていたんですよ。

特にザク脚がないぶん作るのがラクだろと踏んで購入したのが間違いのもとで、とにかく、足に代わるロケット部分の組み立てが、単調かつ部品の多さにウンザリしたもんです。

で、もちろん長い間のブランクはあったにせよ、先日ようやく高速機動型ザクの組み立てが完了し、仕上げの塗りをチョコチョコしている段階です。

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ボトムズの「ダイビングビートル」にいたっては、古いキットなので、いまだ、バリやヒケなどを発見しては、ナイフで切り取ったりパテで埋めたりとパーツそのものを修復している状態。

で、Ez-8に関しては、数日前に、ようやく組みあがって、下塗りを現在している段階なのね。

韓国から帰ってきてから数年、「いったいどんだけ時間食ってるのよ?」ってほど、私は作るのが遅い。

というか、一旦作業を中断すると、次に作業しようというモチベーションが芽生えるまでの期間が非常に長いんですね。

でも、そのブランク期間中は、プラモ制作のことを忘れているのかというとそういうわけでもなくて、常に頭の中は、「あそこの部品はどう塗ろう?」という意識は常にあるわけですよ。

メモ用紙に絵を描いて、ここは何色、ここは何色を塗ってから何色を塗ろうなどと書いたりもしているんですけど、なかなか重い腰があがらない。

要するにグズなんですね。

それぐらい作るのが遅い私が、ずーっと完成したプラモが色鮮やかにエアブラシによって一瞬にして色が塗り変わっていく姿をいつも想像しているわけですよ。

実際、エアブラシで塗装した作品は、中学、高校を通して、いくつもの模型店やおもちゃ屋さんで開催されたプラモコンテストで賞を取ることが出来ましたし(まあレベルの高くないコンテストばかりだったということもあるけど)、自分なりの塗料の希釈率や、コントラストの付けかた、塗料の何色をどう混ぜて明度を上げていくのかなどの流儀も確立しておりました(あくまでシロートレベルの話ですが)。

洗浄と片付けが面倒

そんなエアブラシをプシューッと吹くのが好きな私が、エアブラシをプシューッと吹くことを楽しみに、組み立てとペーパーがけという苦難の日々を黙々と耐えてきた私が、なぜ、ここのところ筆塗りばかりやっているのかというと、理由は簡単、エアブラシは準備と片付けが面倒くさいから(笑)。

ほんと、それだけ。

吹いた後に本体を洗うのが面倒いし、それ以前に、机の上の他のものに塗料がかからないように防御壁を作ったり、パーツによっては爪楊枝をくっつけて発泡スチロールにグサッと指して吹きつけやすい下準備をするのが、もんのすごく面倒くさく感じてしまうようになったから。

その点、筆塗りだったら、机から塗料と筆を出して、ちょちょいと縫って、あとは筆と塗料皿をササッとシンナーで洗って片付けちゃえばラクチンじゃないですか(笑)。

塗りたいときに、ササッと机から出して、ちょちょいと塗り終わったら、ササッと片付けられる気軽さが、今の私には合っているみたい。

やりたい時にすぐにやれる。
やめたい時にすぐにやめれる。

これって大きいですよね。

私は一気に筆塗りはしないんです。

ちょこっと部品が組みあがったら、ちょちょっと塗って、はいおしまい。

後は、引き続き本を読んだり、ベースを弾いたり、ブログを書いたりという作業に戻れるんですね。

それに比べて、エアブラシという作業は大掛かりじゃないですか。

先述したように、塗料の「霧」が、部屋の他の場所に飛ばないように防御壁を作らなければならないし、終わったら終わったで洗浄が面倒だし、いいかげんシンナー臭さが部屋に充満するし……ってな具合で。

だから筆塗りをチョビチョビやりながら、少しずつ完成させてゆくというスタイルに変わってきている今日この頃なのです。

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安い筆でちょびっと塗る

ちなみに、私が使っている筆は、模型店で一本100円とか200円ぐらいで売っている平筆と丸筆のみで、たま~に細かなところを塗るための面相筆を使っているぐらいです。

これらのストックを大量に持っておいて、毛の抜けが多くなってきたり、毛の腰がクタビレてきたら、すぐに捨てちゃう。そんな感じ。

模型店や画材店には、一本500円や、1000円以上もする高価な筆も売っていますし、これらの筆も実際に何本か買って試してみたんですが、どうも私には高級すぎるというか、立派すぎるというか、とにかく筆の毛のクオリティが高く、腰が強すぎて、むしろ塗りにくいんですよね。

タミヤから出ている、安めのお値段のこの筆ぐらいが丁度良い感じですね。

安い筆でチマチマ塗るほうが私のスタイルに合っているみたいです。

最近、フェイスブックをテコ入れしているんですが、私にとってのフェイスブックというのは「ビジュアルの場」という認識なんですね。

少なくとも「文字」を書く場所じゃない。

だって、文字だったらブログがあるし、少々短めの文章だったらツイッターがある。

サクサクとスマホでスクロールして見るぶんには、短いコメントとビジュアルが丁度良いし、楽しいんです。

だとしたら、どなたかがアップした画像をシェアするか、自分で画像をアップするしかない。

何をアップしよう?

ジャズやベースの写真ばかりじゃ飽きるし、既にブログで発表しているから自分の中では新鮮味がない。

だとすると?
⇒おお、作ったプラモが家の中にたくさん転がっているではないか!
⇒じゃあプラモの写真をフェイスブックにアップしよっと

そんな感じで、少しずつ今まで作った(作りかけの)プラモの写真を、ちょこちょことアップしていくのが、最近の私の楽しみの一つなのです(すぐに飽きるかもしれないけど)。

もちろん、アップするプラモの写真は、すべて筆塗りです。

記:2016/04/16

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>>プラモ塗装「ネコの手持ち手棒」と「ネコの手ステーション」が便利!

追記

そうそう、紹介するのを忘れていました。
筆塗り派のバイブルともいえる田中克自氏の『田中克自流飛行機模型筆塗り塗装術』。

これは凄い!

マネしてみたけどマネできない。
私には無理。

でも、いつか、このように塗りたい!

そういう筆塗ラーたちの願望をむらむらと刺激してくれる本なのです。

この本を傍らに置いて、よーし塗るぞ~!塗るぞ~!とモチベーションを高めるのも一興だと思います。

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