カフェモンマルトル

text:高野雲

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ガンプラは「カッコ悪く」塗ろう!

   

何をどうしてもガンプラはカッチョエエ

私が敬愛するアマチュアモデラーに、らいだ〜JOEさんという方がいらっしゃいます。

アマチュアモデラーの方なのですが、独自の汚しの技法を考案、洗練、深化させている方で、その技巧のユニークさのみならず、説得力強すぎな作品群が、ものすごくインパクト。

やはりジャズもガンプラも力強いオリジナリティを有している作品は、いつの時代も素晴らしい!

氏が運営しているサイト「おっさんのガンプラ」に、印象に残るこのようなフレーズがあります。

何をどうしても
ザクはカッチョエエですわぁ~~~~♪

出展:ぎゃびーはざーど さん の ザクR

そう、ザク好きとしては。

全くこの言葉には共感です!

そして、このお言葉をさらに拡大解釈をすると、何をどうしてもガンプラはカッチョエエですわぁ~~~~♪と解釈しても良いのではないかと思います。



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普通に作れば自動的にカッコよくなってしまう

どういうことかというと、最近のガンプラは、と言うより、ずいぶん前からガンプラはカッコ良くなっている。

カトキハジメ氏がリファインを担当するようになって以来、足は長くなるわ、顔が小さくなわ、全体のプロポーションはスタイリッシュになってるわでもう大変。

もちろんオリジナルのデザインを手がけた大河原邦男氏の力強いフォルムも大好きなのですが、カトキ氏のスタイルも私は大好きです。

普通に作れば自動的にカッコよくなってしまう。
むしろ、カッコ悪く作る方が大変。

そういう状態になっているのではないかと思うのですよ、現在のガンプラは。

だから、何をどうしてもカッコ良くなってしまうガンプラゆえ、思いっきり「カッコ悪く作ろう」という気持ちを持って挑む方が、より楽しく作れる(塗装できる)上に、思い切った冒険もできると思うのです。

「カッコ良いの重力」に引きずられないためには

そう、冒険。

「今の俺は、カッコ良いガンプラをカッコ悪くしているのだ」と意識を常に持っていれば、絶対にありえない色で塗ることもできる。

あわよくば、その実験的な塗装がうまくいった場合の喜びも大きいですし。

最近の私は、ガンプラを作る際は、「カッコ悪くしよう」という意識があるからこそ、思い切ったメチャクチャな塗装を楽しんでいます。

そういう意識を持たないと、なかなか思い切ったことが出来ないんですよ。

「カッコ良いの重力」に引きずられてしまう。

この重力に魂を売ってしまうと、思い切りが悪くなり、無難なものしか作ろうとしない自分がいるのですね。

ダブルオーガンダムをカッコ悪く

たとえば、ダブルオーガンダム。

これ、普通に素組みで作れば、誰でもお気楽にカッコ良いダブルオーガンダムが出来上がります。

HG 1/144 GN-0000 ダブルオーガンダム (機動戦士ガンダム00)HG 1/144 GN-0000 ダブルオーガンダム

元からカッコ良いダブルオーガンダムを自らの手で組み上げると、制作過程で芽生えてきた愛着から、さらにカッコ良く見えてきます。

設定どおりに色分けされ、可動範囲も広く、さらにプロポーションがバッチリなダブルオーガンダム。

せっかく手に入れたこのカッコ良さを手放そうとは中々考えられないものです。

現状維持か、あるいは、このカッコ良さを崩さない改造、ディティールアップに終始することでしょう(少なくとも私の場合は)。

そうすると、白い部分は白で塗って、青い部分は青で塗って、黄色いところは黄色く塗って……、というように、「カッコよさの現状維持」に終始してしまい、完成した作品も、模型店の店頭に飾られた見本や、模型誌に掲載された作例、あるいはバンダイ公式サイトやアマゾンなどのネットショップに掲載されている画像と同じようなものが、また一つ、この世に生まれることになります。

もちろん、作例と瓜二つの作品を自分自身の手で作る喜びもあることでしょう。
特に自分が好きなモビルスーツが、完成品のイメージ写真通りに仕上がれば、その時の喜びもひとしおだと思います。

私も以前はそうでした。

しかし、設定通りに作られた完成品に近づけたところで、自分の作品よりもさらにカッコ良く、丁寧かつ美しく仕上げる人々は、世の中には何万人もいることでしょう。

べつに競うわけではないのですが、どうせ作るのであれば、自分だけの世界に一つしかない完成品を作ってみたい。

そういう欲求が芽生え始めたあたりから、私はガンプラの塗装は、設定通りに塗ることを放棄し、自分が試してみたい色を大胆に塗ることにしました。

こんな感じに。
w(゚ロ゚;w

普通に作った完成品がカッコ良いので、思わず「カッコ良いの重力」に引きずられて、青いところは青、白いところは白、と塗りたいぜ!という欲求をグッと抑えて、ヘンテコな迷彩を施しています。

昆虫か?!
爬虫類か?!

GN粒子で風景に溶け込むカムフラージュが可能なダブルオーが迷彩をする必要なんてさらさら無いのですが、ま、近接戦闘専用MSなので、白兵戦になる可能せいが高いだろう、と。で、白兵戦になった際は、機体の輪郭を特定しにくい気色悪い迷彩の方が相手のパイロットを混乱させやすいだろうという勝手なコジツケ設定を脳内にデッチあげています。

さすがに、塗っている時は不安がいっぱいで、「あのダブルオーをこんなにしてしまって、いいのか俺?!」と不安が身体中を覆い尽くすのですが……。

うん、もうこれはMSのデザイナーや、バンダイさんのスタッフとの戦いですね。

鈍臭ダサく作ることが出来れば俺の勝ち、カッコよくなってしまったら俺の負け、みたいな。

感性の自浄作用

もう一つ例を出せば、ハイゴッグ。

これ、最初に塗ったベースカラーは、メタリックレッドですからね。
その上に黄色で線を引いている。

兵器なのに、こんなに目立つ無茶苦茶なペイントを施す酔狂な人間は誰もいないでしょう。

もはや、毒虫か猛毒爬虫類です。

カッコ悪いぞ、気持ち悪いぞ、どうだっ!って感じで最初は塗るわけですよ。

もちろん、塗った瞬間は「ぎょへぇぇ!なんじゃこの色は!」と激しく後悔します。

しかし、あらかじめ「どうせカッコ悪く塗ろうと思っていたんだから」と思っていれば、途中で作ることがイヤになったりすることはないのです。

その上、どんなにカッコ悪く作ったとしても「感性の自浄作用」のようなものが働く。

つまり、筆を握る手を動かしているうちに、だんだんと自分が納得する着地点へと色彩が近づいていくのです。

たとえば、前掲のダブルオーも、結局は手を動かしているうちに、こんな色彩になっちゃった。

グレー? 白? 水色?
自分でもよく分からない微妙な色彩。

迷彩した意味ねぇ~!って感じですが、このような状態になるためには、初期の段階のヘンテコな迷彩も必要だったのだと割り切るようにしています。

それに、グレーの奥にうっすらと残る迷彩パターンがなんともいえぬ味わいなのです(画像からだと分かりにくいと思いますが)。

アバウトなイメージを持ちつつも、あとはその場その場の気分や勢いで、どんどん雰囲気が変わっていくジャズのジャムセッションのようなものですな。

>>ジャズのジャムセッション的塗装法/ザクII F2型

ちなみにハイゴッグも、結果的には、こんな感じに落ち着いています。

あと、緑とオレンジの東海道線カラーで塗った辟邪も、最初はビックリしたものの、少しずつ色を重ねていくうちに、なんとなく落ち着いた色合いになってきています。

「カッコ悪い」が「良い」に変わった瞬間が嬉しい

「こんな色ありえないよね」といわれるような色の冒険をすればするほど、完成した際の満足感も大きいですね。

特に塗り始めの段階で「何なんだ、この狂った色彩は!?」と思ったものほど、納得できる色合いに落ち着いた時の安ど感と喜びもひとしお。

「このMSのカラーは世界に一つ、俺だけのものだぜ」と思えますから。

そしてやっぱり、どんなにカッコ悪く作ったつもりでも、結果的には「感性と手の自浄作用」が働き、なんだかカッコ良く見える仕上がりになってしまう。

日夜、こんなカッコ悪い塗装、できるもんならやってみろ~!と胸を張って言えるような悪趣味な色塗りを考えている今日この頃なのです。

記:2017/08/05

>>HGUCハイゴッグ制作レポート
>>HG辟邪(へきじゃ)を東海道線カラーで塗ってみた

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