カフェモンマルトル

text:高野雲

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ヘレン2号(人型拠点防空兵機)

      2017/05/23

hellen2

勉強サボってマンガを描いていた

中学、高校時代の私は、勉強が大嫌いでした(小学校の時も)。

勉強が大嫌いだということは、授業も大嫌い。

でも、授業は真面目に受けないと叱られるので仕方なく、授業中はじっと我慢をして机に座っていたものですが、やっぱり退屈なものは退屈です。

どうやってその退屈を紛らわせていたのかというと、マンガを描いていた(笑)。

小中学校時代は、『少年ジャンプ』の影響とロボットアニメの影響が強かったので、ストーリーはジャンプ、キャラクターはアニメの流用みたいな内容を多く描いていたのですが、高校生になって根本敬や蛭子能収らの不条理マンガや、湯村輝彦のヘタウマなイラストの洗礼を受けると、私がノートに描くマンガは、ストーリーもへったくれもなく、だいたい1ページから数ページで簡潔する、ヤマなしオチなし意味なしの三拍子のものが主でした。

この「ヤマなし・オチなし・イミなし」のことを略して「やおい」と呼ばれ、その「やおいマンガ」というものは、今でいうBL(ボーイズ・ラブ)のマンガを指すということを知るのは数年後のことでしたが、私が書いていたマンガは、もちろんBL的な内容ではなく、本当にヤマもオチも意味もない、話でした。

たとえば、日々鬱屈とした日常を送る高校生が大学生の先輩のアパートに相談しにいったら、空を飛べば日常の瑣末なことなどは一気にふっ飛ぶぞ!ということになり、いきなり二人でアパートの屋根を破壊して空を飛び、上空に漂う黄色いエタノール浮遊体とともに関東平野を見下ろし、「よし!富士山の頂上で休憩だ!」⇒「わかりました先輩!」で終わるストーリーとか、夫の不倫に気付いた妻が、深夜帰宅した夫に毒入りカップヌードル(チリトマト)を食べさせ、「キサマ、毒を入れたな!」と苦しみ悶える夫を高笑いしながら見下ろす姿とか、どーでもいい話を数学や古文の時間などにノートに書いては、一人でニヤニヤしていたものです。

そんなことばかりしていたものだから、私の妄想癖も少しずつ誇大化していったような気がします。



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耐熱電動遊園庭

アホのように誇大化した私の頭の中の妄想ワールドのフォルダのひとつに「耐熱電動遊園庭」というものがありました。

この施設は、大戦中に大日本帝国が建造した要塞です。

表向きは、観覧車やメリーゴーラウンドのある遊園地なのですが、じつは軍用施設でもあるんですね。

場所は四国の某山中。

敵国からの襲来に備えた迎撃機能も備えているという迎撃要塞遊園地なのです。

なぜ、四国が敵国から狙われるのか?

広島の呉や横須賀や北九州など、軍の施設や工場などの重要拠点があるエリアならまだしも、なぜ四国が執拗に狙われるのかというと、それは、四国にある弘法大師ゆかりの88か所の複数の地域に、唐に留学していたときに空海(弘法大師)が授かった破滅と繁栄を暗示する黄金の輪が封印されており、これを手にした者こそが、実質的にこの世界の支配者となれるからです。

この秘密を知った各国の秘密結社は、躍起となって四国の八十八箇所の霊場を探し回り、やがて近隣諸国や欧米列強の軍と繋がりを持つ結社は、執拗に四国の各地の神社や寺を空爆、もしくは上空からの機銃掃射を浴びせるようになったため、これを守るための「エリア88防空指令」の中の大きなプロジェクトとして、空からの攻撃に備える迎撃要塞施設が完成した、というテキトーかつ荒唐無稽な設定から生まれたのが、迎撃要塞遊園地「耐熱電動遊園庭」なのですね。

平時には家族連れなどがこの遊園地に遊びにくるのですが、ひとたび空襲などがはじまると、遊園地の遊具がそのまま迎撃兵器に早代わりし、戦闘機もスクランブルすることが出来るようになっています。

さらには遊園地の地下からは高射砲などが出てきて、敵爆撃機や戦闘機を殲滅せんとするのです。

平時の遊園地にはロボットがいました。

小さな歯車から大きな歯車まで、それらが精巧に組み合わされて出来た「ヘレン1号」です。

これは、単にピアノを不器用に弾くだけのメカなのですが、人型、つまりロボットということもあり、子どもたちからは人気のメカでした。

そのロボットの姉妹メカ、というとヘンですが、定期的な周期で56ミリ砲弾を上空の爆撃機に撃つ迎撃ロボットが「ヘレン2号」なのです。

外見は、『超時空要塞マクロス』に登するデストロイド・ディフェンダーに近く、移動用の脚はあるのですが、両腕は高射砲になっています。

1/60 マクロス デストロイド・ディフェンダー カーキグリーン版マクロス デストロイド・ディフェンダー カーキグリーン版

この拠点防空ロボットが敵機の襲来に対して、高射砲を「バーン!」と撃っているイメージをサウンドにしてみたのが《ヘレン2号(人型拠点防空兵機)》なのです。

立花ハジメの影響

シンセサイザー2台と、ラジカセ2台を使った多重録音です。

背後のメカっぽい音は、KORGのMONO/POLYで作った音をアルペジオ機能で自動演奏させ、フランジャーをかましています。

高射砲をイメージした「バーン!」という音は、RolandのSH-101で作りました。

アタックの強い爆発音に関しては、KORGよりもROLANDのほうが一日の長があるという感じでしたね。

また、時おり背後に流れるランダム信号音のようなものも、SH-101ならではの機能を使って作ってみました。

背後に薄く流れている和音というか、メロディというか、スィ~ンという音は、MONO/POLYです。

個人的には、高校2年生の頃に録音した音の中では、けっこう気に入っている作品ではあるのですが、後年、改めて聴き返してみると、立花ハジメの『テッキー君とキップルちゃん』に収録されている《スティール・ネクロ・ミュージック2》にそこはかとなく似ているということに気が付いた(笑)。

Mr.TECHIE&MISS KIPPLEMr.TECHIE&MISS KIPPLE

意識はしてはいなかったものの、無意識レベルで影響を受けているんだな~と思いました。

《スティール・ネクロ・ミュージック2》は、『テッキー君とキップルちゃん』の中でもお気に入りの曲なので、無意識に好きな曲のテイストに近づけていたのかもしれません。

勉強が嫌いで、授業も嫌いだった高校時代の私は、妄想を絵にしたり、音にしたり、つまり何らかの具体的な形に落とし込もうとすることによって、日々の退屈から逃れようとしていたのかもしれません。

それにしても、今にして思えば、私は「要塞」とか「迎撃」って言葉大好きだな~、と。

以前、友人のHPに連載していた童話にも明石高地性集落要塞が登場しますし、

>>超時空メルヘン・ババジ君

後年、『エヴァンゲリオン』が放映され、私が一気にこのアニメの虜になってしまった大きな理由は、物語の舞台である第3新東京市が「使徒迎撃専用要塞都市」であるという設定に背筋がゾクゾクッときたからです。

「迎撃」と「要塞」。

この2つの言葉にゾクッときてしまう私の前世は、防空壕を掘る人だったとか?(笑)

あ、そうそう、「掘る⇒地下⇒地底」といえば、村上龍の『5分後の世界』の「アンダーグラウンド」という設定にもゾクゾクゾクッ!ときましたね。

この作品、私は大好きで何度も読み返しているのですが、もちろんラストの数行も鳥肌モノなのですが、やっぱり「地中奥深くにまで入り組んだ迷路のように発達した地底を拠点に、本土を植民地化しているアメリカ・ロシア・中国・イギリスに対してゲリラ戦を仕掛け続けている5分後の世界の日本=アンダーグラウンド」という設定が痺れます。

五分後の世界 (幻冬舎文庫)五分後の世界/村上龍

やっぱり、私の前世は、地面を掘る人だったのかなぁ。

記:2016/03/20

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