ジェット・マジンガーのテーマ

      2017/05/24

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リメイク

デューク・ジョーダンは、名曲《危険な関係のブルース》のタイトルを《シ・ジョヤ》に変え、入魂の演奏をブルーノートに録音しました。

フライト・トゥ・ジョーダン+2Flight To Jordan

坂本龍一は、『未来派野郎』の《バレエ・メカニック》と同じメロディの曲を、岡田有希子には《ワンダー・トリップ・ラヴァー》として、中谷美紀には《クロニック・ラヴ》として提供しました。

未来派野郎未来派野郎

4th アルバム「ヴィーナス誕生」(UHQCD)ヴィーナス誕生/岡田有希子

クロニック・ラヴクロニック・ラヴ/中谷美紀

ミュージシャンには、それぞれ思い入れのある曲やメロディがあるようで、中身は同じでも、衣装を変えて違うカタチとして作品を残したいという欲求があるのかもしれません。

私の場合は、お気に入りのコード進行、というより手癖めいたものがあり、気がつくと色々な曲にこの流れを当てはめて作っていました。

私が高校時代のこと。

アイアン・メイデンが『サムホェア・イン・タイム』を発表したのですが、私はこのアルバムのタイトルナンバーにゾッコンになっていた時期があります。

『サイボーグ009』のオープニング曲《誰がために》と同種の興奮を覚えたのですね。

このように勇壮で男らしく、スケール大きく、カッコいい曲(と当時は感じた)を自分でも作ってみたいと思うようになりました。

Somewhere in TimeSomewhere in Time

そして、自分なりにカッコ良さげな曲を作ったのが《バトル・フォー・フリーダム》という曲だったのです。



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手癖コード進行

この曲は、私の手癖コード進行で出来てしまった曲です。

私の手癖とは、ピアノの前に座ると、鍵盤を押しやすということもあり、

Am→G→F→Em7(あるいはE7)

という流れの和音を左手が弾くのが癖だったのです。

なんだかコードを覚えはじめた楽器初心者のような進行ですが、特撮ヒーローやロボットアニメの影響を受けまくっている私にとっては「ナイスな響き」と「ナイスな進行」だったんですね。

これを友人のA君に聴かせたら、歌詞をつけてくれました。

「もう大人たちにはまかせられないぜ」みたいなフレーズや、「俺たちで立ち上がれ」とか、「履き慣れたシューズを放り投げて走り出そうぜ」みたいな、なんだか青臭い反抗期のような言葉が羅列されていたのですが、曲にはシックリと溶け込んでおり、これはこれで一つの作品として完成しました。

でもね、ギターをジャカジャカかき鳴らしながら歌うと、これがもう、なんというかフォーク・ソングなんですわ(笑)。

うへぇ~、カッコ悪ぃ~!ってことで、しばらくこの曲は封印してしまいました。

バナナ・ボインガー

ピアノやシンセばかりを弾いていた私でしたが、大学にはいってからはベースも始めました。

JAPANのフレットレスベース奏者のミック・カーンみたいなベースを弾きたかったからです。

ジャズのベースを習うかたわら、ジャズのベースの練習でたまったストレスを発散するかのようにパンクバンドもやってました(正確にはパンチロックと我々は呼んでいましたが)。

フレットレスベースを弾いている私にとっては、パンクはフレットレスベースに適した音楽だと感じていたのです。

なぜかというと、パンク特有の一つ下の音程からせりあがるようにルートを弾くベースラインは、フレットがないほうが滑らかで、弾いていて気持ちが良いんですよ。

フレット付きだと、どうしてもフレットに一瞬指がひっかかり、スムースな感じがしないのです。

単にベースの弾き心地の問題なのですが、この弾き心地の快感だけを求めてパンクロックのベースを楽しく弾いてました。

とにかく簡単なんですよ。

だって、自分たちが作るオリジナルだから、カンタンな曲しか作れないの(笑)。

ほとんど3コード。

ベースラインは、ルート弾きしかしないし。

本当にルート弾きの曲ばかり。

ベースライン考えるの面倒くさいので、曲のキモになるところやちょっとしたブレイクみたいなところも、ベースラインの一部を変えてみるとか、そういうことはまったく考えずに、とにかくバカみたいにルート弾き。

ピストルズのグレン・マトロックが弾いたベースラインですら知的に思えてしまうほど、バカ丸出しのベースラインでしたが、これがまた気持ち良いのですわ。

そのパンクバンドの名前は「バナナ・ボインガー」でした。

このボインガーの前は「フルーツ・ポンチャーズ」というバンドでしたが、キーボード入りの編成だったり、人数が多めで普通のバンドっぽかったので、スリム化をはかり、ヴォーカル+ギター+ベース+ドラムというシンプルなロックバンド編成にした結果誕生したのが「バナナ・ボインガー」だったのです。

「バナナ」というのは、このバンドの前身である「フルーツ・ポンチャーズ」の「フルーツ」の流れを受け継いでいるということで。

そして「ボインガー」というのは私の造語なのですが、要するに永井豪が好きだったからです(笑)。

あとは、こじつけ的に、すでにこの時期から伝説のロックバンドとなっていたBOOWYの「BOOWYンガー」でもあり、当時の私は暴飲暴食だったことから「暴飲ガー」という意味もあるのですが、やっぱり永井豪的な語感が醸し出す「バカパワー炸裂」的ニュアンスが、もっともこのバンドの特徴をあらわしていたと思います。

ボインガー音源

その「ボインガー」が、1992年の3月に船橋でライブを行うことになりました。

《ロバ》とか《ストップ・ザ・シンナー》とか《くらやみモンキー》といったアホな曲のレパートリーは既に揃っていたのですが、ちょっと曲数が足りない。

ボインガーを代表する曲があってもイイんでねーの?ってことで、急遽10分ぐらいで私が作った曲が《バナナ・ボインガーのテーマ》だったのです。

封印していた《バトル・フォー・フリーダム》という曲を引っ張りだして、ちょこっと改造をしただけ。

例の「Am→G→F→E7」進行も健在!

ギターも弾きやすいし、ベースだって1音ずつ音を下げてルート弾きをするだけ。

なんてラクなんだ!

で、歌詞のほうは、A君が作ってくれた歌詞を引用しつつも、もっとバカで小学生じみた言葉を混ぜてみました。

♪勉強よりも大事なことがあるはず~

みたいな(笑)。

その時の音源があったので、YouTubeにアップしてみました。

うっわ~、下っ手クソ~( ̄Д ̄;

ギターのアンプが調子が悪かったみたいですね。

で、この《バナナ・ボインガー》の演奏の後、サックスを持ってきた人が飛び入りで参加して、私はそのままステージに残りいきなりジャズのベース弾いちゃってるし。(笑)

まだ、ベースを習い始めて2年目ぐらいの時期かな?

「間違えないぞー、間違えないぞー」と慎重に弾いているような固さに溢れたベースですな。

ジェット・マジンガーのテーマ

で、こちらにも書きましたが、その2年後に、東高円寺のライブハウスでライブをすることになりまして、その時に演奏する曲数を増やすために急遽打ち込みで作ったのが《ジェットマジンガーのテーマ「発進」~「バトル・フォー・フリーダム」》なのでした。

昔作って封印し、《バナナ・ボインガーのテーマ》に改造された曲が、再び《バトル・フォー・フリーダム》として先祖がえりしたという感じですね。

ただ、Am→G→F→Em7の進行は踏襲しているものの、あまりにコードの響きの変化が露骨すぎると子どもっぽくなりすぎるかな?と思ったので、ここの箇所のコード進行を支えるベースラインは、延々と「A」を奏で続けるようにしました。

Aペダル、分数コードですね。

そのため、《バナナ・ボインガーのテーマ》に比べれば、少し落ち着いた感じになっているんじゃないかと自分では思います。

ドラムのパターン

それと、この音源を打ち込む際のドラムパターンは、YMOの高橋幸宏のフィルインをパクってます(笑)。

曲の数箇所に挿入されている「♪ツタッタ」というパターンですね。

これは、YMOが再生した際に出した『テクノドン』というアルバムがあるのですが、私はこの中でも《チャンス》という曲が大好きで、ドラムのリズムパターンのいたるところに「♪ツタッタ」と跳ねるフィルインが挿入されているのですよ。

TECHNODONTECHNODON

YMOの再生ライブの際も幸弘氏は《スーパーマン》や《中国女》などの演奏にもこのパターンをセンス良く挿入しており、当時の私は「かっけー!」と興奮したものです。

で、早速マネをさせていただいた次第。

その他のフィルインのパターン、たとえば「タタッタ・タタッタ・タタッタ・タタタタ」みたいなパターンは、高校生の頃にリズムボックスを買った際に、説明書にいくつかのドラムパターンの例が掲載されていたのですが、その中の一つが「タタッタ・タタッタ・タタッタ・タタタタ」だったのですね。

すごくオーソドックスなんだけれども、なんかカッコいいなと思い続けていたので、このパターンもそのまま使っています。

何しろ打ち込みの時間があまり無かったもので。

ジェット・マジンガー

そもそも、なんで「ジェット・マジンガー」なのか?

それは、私が大学時代書いていたアホバカ小説のサウンドトラックのつもりだったんですね。

大学時代の私は、塾やジャズ喫茶のアルバイトをする傍ら、1年ぐらいコンビニ(ファミリーマート)の夜勤のバイトをしていたこともありまして。

夜勤って結構退屈なんですよ。

だから、暇つぶしに大学ノートに小説を書いていた。

それが『ジェット・マジンガー』なのです。

眠気で朦朧とした頭が搾り出した荒唐無稽なお話です。

ただ、マジンガーに関しては自分の中ではキチンとしたイメージがありまして、永井豪先生の「マジンガーZ」や「グレートマジンガー」のようなスリムな体型ではなく、もっと無骨なシルエットをイメージしていました。

たとえるなら、タツノコプロの名作アニメ『ゴワッパー5・ゴーダム』のゴーダムや、ガンダムに当てはめるのなら、核弾頭を搭載したガンダム「サイサリス」のような体型ですね。

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で、一応飛行形態として変形はするのですが、その飛行形態もバルキリーのファイター形態のような優雅さではなく、同じ「超時空シリーズ」でいえば「オーガス」のガウォーク形態が近いでしょう。

で、ジェットエンジンで飛ぶのですが、マッハは出せずに、最高速度も亜音速です。

重量感ある巨大な機体が、空中を鋭く、ではなく、鈍くゆっくりとサイコガンダムの飛行形態が上空を漂うように飛ぶというイメージですね。

舞台は近未来。

敵は正体不明の異星人・ブリュー。

なぜブリューなのかというと、当時から私はマイルス・デイヴィスの『ビッチェズ・ブリュー』が好きだったということと、敵の横顔のイメージがジャケットの横顔に似ているから。

ビッチェズ・ブリュー+1ビッチェズ・ブリュー

それとともに、エイリアン→エイドリアン→エイドリアン・ブリュー(ギタリスト)という連想から「ブリュー」がシックリきたんですね。

ジェット・マジンガーはジェットエンジンで飛ぶかわりに、弱点としては宇宙空間では活動できない。

だから続編として「ロケット・マジンガー」のストーリーも考えてはいたのですが、さすがに飽きて止めてしまいました。

発進シーン

この空に浮かぶクロガネの城のようなジェット・マジンガーも発進するまでには、無駄に多くのプロセスを踏ませたいと私は考えていました。

どういうことかというと、ウルトラマンタロウのZATです。

あるいは国際救助隊のサンダーバード2号です。

お気づきの特撮ファンも多いかと思いますが、要するに発進シーンがカッコいいのです。

メカが上空に舞い上がるまで、無駄に(?)たくさんのイベントが基地の中でおこなわれるわけです。

だって、ZATのコンドルやスーパースワロー、発進口までにリフトで持ち上げられている間、クルクルと回る必要ある?(笑)

子供心にウルトラマンタロウの、このような手続きの多いオープニングシーンを見て心が躍った私ですが、私と同世代や、私より上の世代の特撮好きの方々も、ウルトラマンに登場する怪獣やっつけ部隊の発進シーンや、サンダーバードメカの発進プロセスにワクワクした方も多いのではないでしょうか?

たとえば良い例が庵野秀明監督です。

『エヴァンゲリオン』の第一話のエヴァ初号機の発進シーンを見たときは、「やられた!」と思いましたね。

このジェットマジンガーの曲を作ってから1年後の1995年の秋から始まった『新世紀エヴァンゲリオン』でしたが、これの1話の発進シーンを見て、私は直感的に「あっ、このアニメを作った人はウルトラマンが大好きに違いない!」と思いました。

後になって調べてみたら、庵野監督は以前は『帰ってきたウルトラマン』を実写で撮影していたりと、かなり『帰ってきたウルトラマン』からの影響を受けていたんですね。

エヴァの美里さんもMAT(帰ってきたウルトラマンに登場する怪獣やっつけ部隊)の車、マット・ビハイクルに乗っていたりと、劇中にも監督の『帰ってきたウルトラマン』好きをさり気なくアピールするシーンが出てきますし。

ウルトラマン好きや特撮好きの人は、それぞれツボが異なるでしょうが、私の場合は完全にメカでしたね。

ウルトラホーク1号の単純な三分割にも興奮したぐらいですから。

そして、おそらく庵野監督もウルトラメカが大好きで、発進シーンも大好きだったのでしょう。

エヴァの発進シーンは素晴らしい描写でした。

私も、ジェット・マジンガーの発進シーンのイメージ、つまりは暗い格納庫やむせかえるほどのオイルの匂いを「音」で表現してみたのですが、あの「エヴァ」の発進シーンを見てしまうと、自分の表現力とイマジネーションの小ささにため息が出てしまいます。

ま、もっとも私はアニメーターでも作曲家でもないので、別にいいやって感じでもあるのですが。

残された音源

この急ごしらえで打ち込んだサウンドのデータは、ライブ終了後にはなぜか消えてしまいました。

嗚呼、勿体無い。

しかし、このたび、部屋にあるカセットテープを整理していたら、東高円寺のライヴハウスで演奏した《ジェット・マジンガー》の音源が残っていて、良かった、良かったと安堵の気持ちでいっぱいです。

ライブハウスのPAの方が、ライン録りで録音してくれたカセットテープ。

PA経由のライン録音のためか、ほとんど客席からの声や拍手が聞こえませんが、まあもともと少ない客数だったからね。

たぶん30人もいなかったと思う。

でも、楽しいライヴだった記憶だけは残っています。

YouTubeにアップするファイルを作る際に、何度もリピートして聞いてしまったので、しばらくは聴きたくないほどのゲップ状態なのですが、また何年かしたら聴きなおしてみようと思っています。

記:2015/09/18

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