カフェモンマルトル

text:高野雲

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Mind War~DX21のドップラー効果音で作ってみた曲

      2016/04/30

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YAMAHA DX7

デジタルシンセセサイザーDX7の登場は、音楽界にちょっとした革命をもたらしたんじゃないかと個人的には考えています。

だって、今まで耳慣れていたアナログシンセで演奏されていた演奏が、DX-7の音色で爽やか、かつ煌びやかなサウンドに一気に塗り替えられてしまったのだから。

YAMAHA ヤマハ DX7 デジタルシンセサイザーYAMAHA ヤマハ DX7 デジタルシンセサイザー

例えば、良い例がTOTOの『アイソレーション』でしょうね。DX7にプリセットされている音がそのまま使われているナンバーも多く、《ロザーナ》や《アフリカ》が収録されている4枚目のアルバム『聖なる剣』までに感じられた、アナログシンセが効果的に使用された厚みのあるアンサンブルが一変してしまった時の衝撃は今でも忘れられません。

IsolationIsolation

おそらく世界中の多くのミュージシャンも、このキーボードには新たな可能性を感じたのでしょう。MIDIが搭載されたDX7の登場は、80年代の音楽風景を塗り替えてしまった感があります。

DXから発せられるデジタルシンセ特有の音色は、80年代のポップスを象徴する音だったのかもしれませんね、今振り返ると。

DXシリーズ登場前と登場後の音楽のテイストは、あたかもモノクロがカラーに一変してしまうほどの印象がありました。あたかも、70年代的な曇り空が、80年代的なカラッとした雨上がりの風景のようなヴィヴィットさを感じるかのように。

特に、エレピの音が顕著でした。

今までは音の輪郭が曖昧なフェンダーローズのような甘くてノスタルジックな音色のエレピの音色も、デジタル音源ならではの、輪郭がハッキリとしていてヌケが良く、爽やかでクリアでありながらも、きちんとコシのある音色がDX登場後の音楽シーンは塗り固められてしまった感があります。

あまりにも多くのミュージシャンが多用し、多くの楽曲に使用されているがために、逆に、今度はどれもが同じようなサウンドに感じられてしまい、だんだん食傷気味になってきたことも確かなのですが、この粒立ちとメリハリがハッキリとした音色は、良くも悪くも時代の音なんでしょうね。(オーストラリアのフェアライトCMIのような高級機も後に登場し、一時期、坂本龍一や立花ハジメのような時代に敏感なミュージシャンも使用していましたが、基本、感じられるニュアンスはDXと同種のクリアな音色でした)。

で、そのデジタル音源のエレピってどんな音?という方もいらっしゃると思いますが、例えば、森高千里の《雨》のイントロなんかが、その顕著な例でしょうね。「え〜、わからないよ」という方は、YouTubeで検索して見てみて、いや、聴いてみてね。

このように歌謡曲というかJ-POP?いや、当時はJ-POPなどというジャンル名のない時代だったから、ニューミュージック?それとも歌謡曲?
……とにかく邦楽で使用される音の多くもDXのオンパレードでした。

なかなか耳に心地よく刺激的な上に、聴きやすいスッキリサウンドであることは確かなのですが、いろいろと聴きすぎると、やっぱり飽きてしまうものですね。

それはそれで仕方ない。

要は、それほど音楽シーンに響きわたる音色を塗り替えてしまうほど、ある種「革命」的な名機だったんですよ、DX7は。

DX21

しかし、私にとっての「革命」は、DX7の後に登場した、このキーボードのコンパクト機であるDX21の方でしたね。

YAMAHA DX-21 Huge Sound Library & Editors (並行輸入)YAMAHA DX-21 Huge Sound Library & Editors (並行輸入)

当時高校生だった私にとっては、20数万円のDX7はさすがに高く、この価格の3分の2程度の廉価バージョンとも言えるDX21は、予算の少ない高校生にとっては頼もしい味方でした。

私がDX21が好きだった大きな理由は、ドップラー効果の音が入っていること。こればかりは、上位機種のDX7には入っておらず、DX7の弟分である「21」ならではの機能でした。

当時、色々な曲を作ってはカセットテープに多重録音していた私は、なんとか、このドップラー効果の音を使った曲を作ろうとしたのですが、どうもあまりうまく曲に溶け込ますことができない。

そんなわけで、えーい、だったら、ドップラー効果そのものを曲の前面に押し出しちゃえ!ということで作ったのが、この曲(ノイズ?)、《Mind War》です。

Mind War

同時期に発売されていたヤマハのRX-21というドラムマシンにリズムのパターンを打ち込み、これに合わせて、色々な音色を重ねていきました。

これらの音色はほぼ、DX21によるものです。

最初はドップラー効果を思いっきり前に出してしまえと思い、結構露骨に録音したのですが、あまりに頭がクラクラしすぎる。

だから、少しずつドップラー効果の音を削っていき、かなり控えめにした結果、このような感じになりました。

タイトルですが、これは私が大好きな曲、坂本龍一の《フロントライン》の歌詞の一部、"Fighting is mind war"から頂戴させていただいています。

▼現在《フロントライン》は、このCDに収録されています。
YMO PERSONAL WORKSYMO PERSONAL WORKS

先日、YouTubeにアップする際、十数年ぶりに聴き返してみたのですが、バスドラとクラップの音は、いささか多すぎって感じもするのですが、個人的にはカッコいいかな、と思いました。

十代の頃の私って、けっこう尖ってたのね、となんだか微笑ましい気持ちになりました。今、こんな感じの音のデザインしろと言われても、まぁ無理でしょうね。

ちなみに、この曲と同時期に録音した曲が、故郷の横浜をイメージして作った曲で、これもDX21とRX21が大活躍しています。

>>港町~中学生の時に横浜を想って作った曲

記:2015/11/09

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