ワールド・オブ・セシル・テイラー/セシル・テイラー

   

このセシル・テイラーのアルバムは、初期のエグいアーチー・シェップのプレイが聴けるだけでも興味深い。

このアルバムが、シェップの初レコーディングなのだ。

『ザ・ワールド・オブ・セシル・テイラー』を聴くたびに、セシル・テイラーのピアノは、バルトークのような複雑怪奇な和音に、エリントンの匂いを持ち込もうとしているんだなぁということが非常によく分かる。

非常に構築的。

しかも、リズムも4ビートを律儀に刻んでいるので、比較的聴きやすい。

いや、4ビートを刻んでいるからこそ、彼のリズム感の特異さが際立つというべきか。

後年の暴風雨のようなピアノに比べれば、まだまだ大人しいテイラーだが、彼なりに考え、研究した結果を慎重に実戦投入しているといったニュアンスで、この堅さが緊張感を呼び起こす。

クラシックという水と、ジャズという油を、一気にゴクリと飲み込んで、胃の中で融合を起こさせようという一見無謀な彼の意気込みがストレートに伝わってくる。

これは、なかなか、鋭く重いジャズだ。

記:2010/04/20

album data

THE WORLD OF CECIL TAYLOR (Candid)
- Cecil Taylor

1.Air
2.This Nearly Was Mine
3.Port of Call
4.E.B.
5.Lazy Afternoon

Cecil Taylor (p)
Archie Shepp (ts)
Buell Neidlinger (b)
Dennis Charles (ds)

1960/11/19

 - ジャズ