LPのオビには細野晴臣とクレジットされえいる1枚目の『イエロー・マジック・オーケストラ』

      2021/02/10

US盤よりもコチラが好きだ

最初にこの世に発表された『イエロー・マジック・オーケストラ』が好きだ。

これは、私が最初に出会ったYMOのアルバムなのだ。

イエロー・マジック・オーケストライエロー・マジック・オーケストラ

上のアルバム、LPで店頭に並んでいたときは、オビには大きく「細野晴臣」と歌われており、何も知らない人は、YMOのアルバムには見えなかったに違いない。

個人的には、日本で最初に発売されたこちらの〔通常盤〕のほうに強い思い入れがあるが、かといって、〔US盤〕がイヤというわけではない。

イエロー・マジック・オーケストラ(US版)
イエロー・マジック・オーケストラ(US版)

敏腕プロデューサーのトミー・リピューマが、日本の新しいバンドイエロー・マジック・オーケストラを“発見”し、リミックスを施して発売した〔US盤〕は、メジャーな音作りになっているぶん、そこから受ける恩恵というものもあり、とくに絢爛さの増した《東風》は、〔通常盤〕のバージョンとは別の曲かと見まがうほどの変化だ。

中盤に吉田美奈子のヴォーカルを入れた効果が大きいが、音の艶、サウンドの輝きにも大きな変化が生まれている。

もっとも私はモノトーンのイメージの〔通常盤〕のほうが好きだけどね……。

また、《東風》から、次曲《中国女》につながるシンセの無機質なパターンも短くカットされているのが、個人的にはなんとも不満ではあるが、メジャーな作りを考えれば、これぐらいの長さが適当なのかもしれないね。

音の艶といえば、《ファイヤー・クラッカー》も艶と深みの増したミックスに変化しており、《コンピューター・ゲーム“サーカスのテーマ”》からスイッチした後のインパクトは、こちらのほうが上かもしれない。

アリスが鏡の国に行った瞬間カラーの映像に変わる驚きを味わうように、〔通常盤〕のモノトーンの世界を味わった後、〔US盤〕のカラフル&絢爛な世界を味わう聴き方を推奨したいです。

この音のニュアンスの違いは、ジャケットのイラストのニュアンスの違いがそのまま雄弁に語っていると思う。

同じ曲、同じ内容だから、どちらか一枚あればいいだろう、という向きもあるが、いいえ、違います。

〔通常盤〕と〔US盤〕は、まったく別なアルバムなのです。

記:2002/10/02

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