雑想 2001年3月

      2022/02/16

ピー・ウィー・ラッセル トミー・フラナガン

クラリネット奏者、ピー・ウィー・ラッセルが生まれた年は1906年。

夏目漱石が『坊っちゃん』や『草枕』を、島崎藤村が『破戒』を発表した年ですね。

そして、ピー・ウィー・ラッセルが亡くなった年は1969年。

三島由紀夫が『春の雪』を発表した年ですね。

それぐらい「昔」の人ではあるんだけれども、そしてジャズの中の「ジャンル」で分類すれば、彼はディキシーランド・ジャズに位置づけられる人ではあるのだけれども、新しいことを取り入れることには意欲的だった人でもあり、たとえば、プレスティッジに吹き込んだ『スウィンギン・ウィズ・ピー・ウィー』では、いいかげんデキシーのリズムには飽きてるんで、もっとモダンな伴奏が出来る若手で頼むと言ったことは有名な話。

で、呼び声がかかったピアニストが、トミー・フラナガン。

で、その期待に見事にこたえたフラナガン。

ピー・ウィーは「これまでに共演したうちで最高のピアニスト!」と感嘆したのだとか。

ロリンズ、ホーキンス、アーヴィンという個性の異なるテナーサックス奏者の伴奏に回っても手堅いプレイをするフラナガンは、自分の父親くらいの世代の人(25~26歳ほど年齢差がある)のスタイルにも見事に溶け合い、サポートをしているのだった。

すげーぞ、トミー!

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ミスター・ジン アート・ブレイキー

ゴロゴロゴロ……、ジャーン!
冒頭のドラムが重い重い!

ジャーン、ジャーン、ジャーン!
ピアノの和音も重い重い!

曲は《ミスター・ジン》。

アート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズの隠れ名盤『インディストラクティブル』に収録されている重たい重たいナンバーなのだ。

ドラムの主は、もちろんアート・ブレイキー。
ピアノはシダー・ウォルトン。

いいじゃないですか、シダー・ウォルトン。

知名度はいまひとつのピアニストかもしれないけれど、レイ・ブラウンの『サムシング・フォー・レスター』など、おいおい、このピアノ、やばいんじゃない?とパーソネルを見ると彼であることが多いんだよね。

もちろん、このアルバムでも素晴らしい働きをしているシダー・ウォルトン。

ウェイン・ショーターも音楽監督として参加してるし(これがメッセンジャーズ最後の作品で、
 この後、マイルスのクインテットに参加した)、リー・モーガンにカーティス・フラーも参加。

役者が揃いまくりです。

分厚い3管編成のフロント。
迫力満点、重たく、時に軽快。

緩急こころえたバランスの良い、メッセンジャーズの作品の中でもハードボイルド度の高い1枚だ。

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>>インディストラクティブル/アート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズ

Sankt Gerold ポール・ブレイ、エヴァン・パーカー、バール・フィリップス

ポール・ブレイのピアノ、バール・フィリップスのベース、エヴァン・パーカーのサックス。

この3人による思索的な即興演奏。

深い!

いかにもECMらしいジャケットがグー!の『Sankt Gerold』、
本日2001年3月13日発売。

Sankt GeroldSankt Gerold
▼収録曲
1. Variation 1
2. Variation 2
3. Variation 3
4. Variation 4
5. Variation 5
6. Variation 6
7. Variation 7
8. Variation 8
9. Variation 9
10. Variation 10
11. Variation 11
12. Variation 12

記:2001/03/13

サラ・ヴォーン パリの4月

《バードランドの子守歌》がこのアルバムの目玉であることは間違いないんだけど、そればかりに耳を奪われて、他の曲の良さをスルーしていた自分。

超名歌唱の《バードランドの子守歌》の次のナンバー、《パリの4月》もなかなかなんだよね。なんだよね。

じっとりと、重くゆったりと情感を込めて歌うサラ。

そんなサラを控えめに彩るクリフォード・ブラウンのトランペットも「ジャズ」以外のなにものでもなし。

やはり傑作!

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セロニアス・モンク パリの四月

そして、モンクの《パリの四月》。

この曲は、様々なアレンジが可能な優れたスタンダードだと思うが、最近の個人的なツボとしては、テンポ速めの演奏よりも、ボソッとつぶやくようなスローテンポのほうに趣きを感じる。

サラ・ヴォーンが、しんみりと歌うスローテンポの歌唱も良いし、セロニアス・モンクがソロで奏でる『パリの四月』もいいね。

ポツリ、ポツリとつぶやくようなピアノが最高!

初めて聴いたときは、たどたどしいピアノだなと思ったんだけど、今では、味わいのある「語り」を聴いているような気分になる。

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快楽オーニソロジー

パーカーナンバーの《オーニソロジー》。

躍動的なメロディ、まさに典型的なビバップナンバー!

個人的には、バド・パウエルが弾くバージョンが好きだな。

それもブルーノートの『アメイジング』に限る!ってぐらいな勢いで大好きなのであります。

なんか他のジャズマンが演奏する《オーニソロジー》とは、まるで雰囲気が違うんですよね。

気品があるというか、すごく透明でピュアな感じがする。

ピアノにも躍動感があるし、かといって、この時期にありがちな才気走り過ぎた天才特有の手癖もほとんど無いし、とにかく気持ちよく絶頂期の彼のピアノにシンクロすることが出来る。

まさに「快楽オーニソロジー」!

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アート・ペッパー ゴーイン・ホーム

アート・ペッパー最晩年の作品、いわゆる「遺作」。
まるでペッパーは、自分の持てるすべてをアルトサックスを通して搾りだしているかのよう。

お相手を務めるは、ピアニストのジョージ・ケイブルス。

タイトル曲《家路》の淋しさ切なさには胸がしめつけられる。
涙なしには聴けぬ1枚。

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