『アーマー・モデリング』と『ギター・マガジン』には、読者の趣味心をくすぐる巧みさがある
美しい表紙の2冊
多くの方がSNS上に書かれていることなので、「いまさら」って感じではありますけど、私も同感です。
今月号の『スケール・アヴィエーション』と『アーマー・モデリング』の表紙は両方とも美しい。
両方並べると、まるで1枚絵のように「対」になっているようにさえ見えますね。
もちろん、この両誌の表紙は、今月号に限らず、いつもそそるものがあるのですが、今回は特にそう感じます。
この両誌は、いつも読むたびに「よーし、俺もこんなふうに作るぞ~!と、やる気が出るのと同時に、「でも、こんなふうに作るのは(塗るのは)俺には絶対無理だろうなぁ」という溜息も出させてしまう罪深い(?)雑誌でもあります。
もちろんヘタッピ人間が、いきなりプロモデラーのレベルに到達しようと考えること自体がおこがましいというか無謀なことではあるのですが、なんだかこの2冊の模型誌に限らず『Hobby Japan』や『Model Art』や『Model Graphix』においてもそうなのですが、昔からこれらの模型誌のページをめくるたびに、「なんだか自分も頑張ればできそう」と思わせる何かがあるんですよね。出来ないのに(苦笑)。
雑誌雑感
と、いろいろと模型雑誌のタイトルをパチパチとタイピングして思ったんですが、日本ってプラモデルの雑誌、多い?!
比べても仕方ないけど、ジャズの雑誌って『Swing Journal』がなくなった今、『Jazz Life』と『ジャズ批評』の2誌しかないですからね。
しかも、月刊誌なのは『Jazz Life』のみですし、その『Jazz Life』も以前に比べるとペタペタに薄くなってしまっていますからね。
頑張れジャズ雑誌!って感じはしますけど、もうジャズの愉しみとテキストを読む愉しみを私のように同列に感じるような人は減ってきているのでしょうかね。
もちろんジャズならジャズ、プラモならプラモと、その趣味の対象の新しいニュースを伝えることも雑誌の大きな役割であることには違いないんですが、もっと大胆に「雑誌紙面」というフォーマットの上で、大胆に切り口を見出し、編集者が読者と一緒に遊んじゃうという姿勢も大事なんじゃないかと。
だから、私は最近だと音楽の雑誌でいえば『Guitar Magazine』がすごく面白いんですね。ギター弾けないのに。
逆に、ベース好きであるのに、最近だと『Bass Magazine』がフラット過ぎてあまり面白くない。もちろん個々の特集は充実してはいるのですが、すべての記事が等価に感じてしまい、良い意味での「バランスの悪さ」が感じられないんですよね。
「今月はこのベーシストの特集じゃ!嫌いなヤツでも読め、知らない奴は読んで知れ!」みたいな気迫というか迫力みたいなものがあまり感じられないんですね。
それに比べると、最近の『Guitar Magazine』は、特集の打ち出し方の大胆さと、特集の掘り下げ度が充実しているところがいいんですよ。
たとえば、エフェクターのチューブスクリーマー特集だったら、チューブスクリーマー特集をドカーン!と大胆に打ち出すところ。
ギター・マガジン 2019年 6月号 (特集:チューブスクリーマー40年史/スティーヴィー・レイ・ヴォーン) [雑誌]
ブルースギタリストで「キング」がつく3人の特集だったら、B.B.キング、アルバート・キング、フレディ・キングをドドーン!と打ち出すところ。
そういう姿勢がなかなか好感度高しなんですよね。
果たして、その特集された対象が盛り上がっているのか盛り上がっていないのかは極論すれば、どっちだっていいの。盛り上がっているように見せるのが編集の手腕。少なくとも編集部内では盛り上がっているぞ~、面白いぞ~、お前らも興味もってみろよ~、そういう打ち出し方と熱さがあるかどうかなんだと思うんですよね、結局、店頭で雑誌を立ち読みしてレジに持っていくか、いかないかの差って。
今月号の『アーマー・モデリング』の場合も、大胆に「雨」をテーマにウェザリングの特集していますが、おそらく多くのモデラーは「雨」を意識した塗装ってしていないと思うんですよね。
でも、雑誌全体から「今月号は雨特集だぞっ!」というムードが漂えば、中には「そうか、雨か。雨で汚れた車両を塗ってみようか」と考える人も出てくるわけだし、いきなり自分でやってみようとは思わなくとも、知識として蓄えておいて、いずれは試してみようと考える人も出てくると思うんですよね。
そういう打ち出し方がうまいですね、最近の『Armour Modelong』は。
先月号でしたっけ? 「いいね」のもらい方特集ってありましたよね。
おそらく多くのプラモ作りを趣味にしている人は、べつにSNS上で「いいね」ボタンをたくさん押してもらいたいという欲望はそんなに無いと思うんですよ(あったりしてね)。でも、「いいね」がたくさんあればあったで減るものではないし、むしろ嬉しいとも思っているはず。
だから、「いいね」のもらい方なんて特集タイトルが表紙にデカデカと打ち込まれていると、ついつい手に取って読んでみたくなる。
そこらへんの読者心のくすぐり方が抜群にうまいですね、最近の『Armour Modelling』は。
記:2019/08/13