ハンプトン・ホーズがパリで録音した『ブルース・フォー・バド』

2021-01-25

ハンプトン・ホーズが1968年、パリで録音した作品です。

バド・パウエルに捧げたアルバムタイトルにもなっているナンバー《ブルース・フォー・バド》よりも、ワルツの名曲《ソノーラ》のほうが人気だったり。

しかし、彼がじつはかなりバド・パウエルに心酔していたんだなということが、《ブルース・フォー・バド》からはよく伝わってきます。

バド・パウエルはこのアルバムが録音される2年前に亡くなっていますが、パウエルが晩年活動拠点のひとつとしていたパリで、なにか特別な想いが湧き上がったのかもしれません。
(ちなみにパウエルは、アメリカ帰国後に亡くなっていますが、晩年はパリやコペンハーゲンなどで、味わいのある演奏をたくさん残しています)

バップ期のピアニストということもあり、ハンプトン・ホーズはアプローチという面に関しては、パウエルの影響を濃厚に受けてはいますが、ピアニストとしてのタイプはまったく異なるように感じます。

それは、西海岸を中心に活動していたからということもあり、そこから受けるサウンドカラーが両者はまったく異なっているということも大きいと思います。

また、揺らぎと不整脈なタイム感覚で聴き手の耳を強引に揺さぶるパウエルのピアノと、ノリよく端正なホーズのピアノとでは、まったく音の佇まいは異なり、聴きやすさでいえばハンプトン・ホーズのほうが上なのかもしれませんが、パウエルのピアノは、絶頂期、晩年問わず、どのような時期であれ、何かとんでもなく奥深い芸術(文学)作品を突きつけられている気がします。

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このように同じジャズピアニストでありながらも、まったく異なる肌触りの両者。

しかし、根っこにある「どうしようもなくジャズ」なフィーリングは両者ともに共通していることが、《ブルース・フォー・バド》からは感じ取れるのですね。

ピアノトリオ好き、あるいは『ザ・トリオvol.1』しか聴いたことがないという方は、ぜひ聴いて欲しいアルバムですね。

記:2020/03/24

ジャズ

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