味わい深い穏やかハードバッパー、クリフ・ジョーダン

2020-03-13

飽きない味わい

クリフ・ジョーダンは、味わい深いテナーサックス奏者だ。

特別なインパクトはないが、毎日聴いても飽きないタイプ。

車でいうとカローラ、タバコで言うとマイルドセブン系。

カローラ愛用者は、おそらく乗るたびにいちいち「うーんいい!」と唸らないと思う。
また、マイルドセブンやスーパーライトを吸っている人が、火をつけるたびに、いちいち「感動した!」とはならないと思う。
しかし、どちらも、無くなってから、はじめてあったことの有難さが分かる存在だと思う。

それは、あまりに日常の中に溶け込みすぎているからこそ。

クリフ・ジョーダンのサックスも、きっとそんな感じなのだろうと思う。

穏やかテナー

典型的なハードバップの文脈に即した表現を展開するテナーサックス奏者、クリフ・ジョーダン。

思いっきり、ハードバップど真ん中を歩む彼の代表作『クリフ・クラフト』が好きだ。

特に後半の《コンファメーション》、《アンスロポロジー》といったバップチューンや、エリントンチューンの《ソフィスティケイティッド・レディ》が良い。

ロリンズやコルトレーンのようなテナーの巨人と比べれば、一聴すると凡庸と受け取られかねなしテナーかもしれない。

それはいたしかたのないこと。

しかし、よく聴くと彼の音には勢いがあり、サックスをよく鳴らしていることが分かる。

出るところはかなり勢いよくブロウしている。

しかし、不思議なことに常に彼のテナーから感じられるのは穏やかさ。

この穏やかな安定感が良いのだ。

安心して聴ける。
決して期待を裏切らない。

破たんのない安心感と同時に、危なっかしくて聴き手をハラハラさせないところが、良くも悪くもキャラ立ちしすぎず、テナーの巨人たちのような圧倒的な存在感が感じられない理由なのかもしれない。

白米のようなアルバム

アルバム『クリフ・クラフト』のパーソネルは、当時のホレス・シルヴァーのバンドのメンバーだ。

ただし、ピアノはホレスではなく、ソニー・クラーク。

表立って煽るホレスのピアノと違い、裏から煽るクラークのピアノもなかなか良い。
というより、むしろ多少控えめなところもあるジョーダンのキャラクターにはクラークのようなピアニストのほうが合っているのかもしれない。

安心して聴け、楽しめる、ハードバップファンにとっては白米のようなアルバム、それが『クリフ・クラフト』なのだ。

末永く、のんびりと付き合いたいアルバムだ。

album data

CLIFF CRAFT (Blue Note)
– Cliff Jordan

1.Laconia
2.Soul-Lo Blues
3.Cliff Craft
4.Confirmation
5.Sophisticated Lady
6.Anthropology

Cliff Jordan (ts)
Art Farmer (tp)
Sonny Clark (p)
George Tucker (b)
Louis Hayes(ds)

1957/11/10

ジャズ

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