ゴールデンカムイ 14巻/野田サトル

      2021/02/12

13巻がつい先日発売されたばかりだと思っていたら、もう『ゴールデンカムイ』の14巻が出ていたのね。

この発売ペースの速さは、きっと現在アニメがFOD(フジテレビ・オン・デマンド)で配信されているからということもあるのでしょう。

私もアニメ、観てますけど、けっこう原作に忠実で、しかも原作の世界観を壊すことなく良い意味で忘れかけていた物語前半の「復習」になっております。

これは仕方のないことなんですが、どうしても説明調になってしまうアシリパさんのセリフも、声優の白石晴香がうまく説明的でありながらも説明チックにならないアーティキュレーションでアシリパさんに命を吹き込んでいると思います。

今回、土方歳三が表紙のこの14巻では、13巻から引き続きアシリパさんの父親探しに乗り込んだ網走刑務所での攻防戦が描かれております。

「ほぉ、こんなところでも」と思ったのが、「十字砲火」。

これ、日露戦争でロシア軍が多くの日本兵を殺傷した戦術なんだけど、まさかこの手法を日本人同士の争いで用いられようとは。

十字砲火とは二点から交差するように射撃する戦術で、日露戦争ではロシア軍の機関銃による十字砲火が突撃する日本兵に非常に効果的であると試写の数で証明した。(本書より)

この効率よく人を殺す近代戦がとめどめもなく発明、進化、発展を遂げ続けている血なまぐさい時代。
大陸弾道弾やドローンや無人戦闘機の現代に比べれば、まだまだアナログ臭さは濃厚ではありつつも、人を殺傷させるための機具とメソッドが急速に近代化してゆく時代だったんだなと。

それに比して、その「近代」とは対極の前近代的な「刀」が武器であり、もはや最後の武士である土方歳三が物語の中では良い対比となっており、特に、今巻の土方爺さんはカッコいいです。

さすが14巻の表紙を飾るだけある。

主要人物の一人でありながらも、そういえば土方爺さんが表紙なのは、この巻以外では3巻だけなんだよな。

3巻は拳銃、今巻は刀。

どうも『信長の野望』を昔やり過ぎたためか、百地三太夫に見えてしまう瞬間があるんだよね。

ま、それはいいとして、ラストサムライ感が強調された今巻のエピソードもあるけれども、やっぱり歳三爺には刀がよく似合うよね。

かつて『燃えよ剣』に萌えただけに、その想いはなおさらなのです。

記:2018/06/25

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