ミスター・クラリネット/バディ・デフランコ

   

ミスター・クラリネットMr.Clarinet

熱い!骨太クラリネット

ベニー・グッドマンの活躍に代表されるように、スイング期は花形楽器だったクラリネットだが、ビ・バップ以降になると、一気に廃れてしまった感がある。

「えッ?コンボでクラリネット?サックスじゃなくて?」というぐらい、バップ以降のコンボにはクラリネットのイメージって沸きにくい。

しかし、そのような時代の趨勢に逆らうかのように頑張り続けたクラリネット一匹狼のバディ・デフランコは別だ。

サックスよりもコントロールの難しいクラリネットを縦横無尽に駆使しつつ、激しくバップしている。

バップ的フレーズもあいまってか、メロウで流麗なクラリネットのイメージをタフに覆している。
骨太でアグレッシブ。
攻撃的ですらある。

さらに、背後で煽るドラマーがアート・ブレイキー。
フランコのクラリネットから、次から次へとフレーズが出るわ、出るわ。

パーカー的クラリネットとでもいうべきか。
もし、彼がサックス奏者だったら、間違いなくチャーリー・パーカーに比肩する演奏者になっていたことだろう。

「クラリネットがビ・バップに合わない?冗談じゃないぜ」と言わんばかりの勢いと、とめどもなく溢れ出るカッコいいフレーズの連続。

スイング時代の楽器というイメージしかクラリネットに抱いていない人がこれを聴けば、クラリネットは単にお上品なだけの楽器じゃない、こんなに攻撃力の高い楽器だったんだと、まざまざと思い知らされることだろう。

聴かず嫌いは勿体ない!
クラリネットという楽器の可能性と表現力の広さをいまいちど見直してみよう。

記:1999/04/15

album data

Mr.CLARINET (Verve)
- Buddy DeFranco

1.Buddy's Blues
2.Ferdinando
3.It Could Happen To You
4.Autumn In New York
5.Left Field
6.Show Eyes
7.But Not For Me
8.Bass On Balls

Buddy DeFranco (cl)
Kenny Drew (p)
Milt Hinton (b)
Drums – Art Blakey (ds)

1953/05/15 & 20

 - ジャズ