雨の日のロバート・ジョンソン

   

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雷が光り、ひどい雨が降ってきた。

窓を閉めて、私は、コーヒーを飲みながらブログの続きを書いている。

キッチンでは、アシスタント嬢がコトコトと野菜カレーを作っている。

タンタン・タンタンと包丁がまな板に当たる音がする。

電車の音が遠くからガタンゴトンと聞こえたかと思うと、それを打ち消すかのように雷鳴がゴロゴロゴロ。

容赦なくピカーッ!と雷光がサッシを通して差し込んでくる。

再び電車の音が遠くから聞こえる。

私の作業中のノートPCで再生中のiTunesは、ロバート・ジョンソンの《ランブリン・オン・マイ・マインド》を選曲した。

ひたすら私はPCのキーボードをパチパチと打ち続ける。

カタカタと蒸気が鍋の蓋をノックする音が聞こえる。

タンタンタンと相変わらずキッチンからは野菜を切る音が聞こえる。

《ランブリン・オン・マイ・マインド》が終わろうとしている。

もう少しロバート・ジョンソンを聴きたいなと思っていたら、次にシャッフルされた曲もロバート・ジョンソンだった。

《カム・オン・イン・マイ・キッチン》だった。

けだるく涼しいブルースだ。

私はキッチンには行かない。

タバコに火をつけ、書きあげたブログの内容を見直す。

換気扇のまわる音が聞こえる。

再び遠くで電車の音。

いつのまにか雷は止んだようだ。

ファックスが紙を吐き出す音が低く聴こえる。

PCの小さなスピーカーから放たれる音は、

いつだって薄っぺらだ。

しかし、この陳腐で薄っぺらな音でも、低く下げたボリュームでも、ロバート・ジョンソンの声とギターは恐ろしく存在感のある音として放たれる。

いつしか聴き入っている自分に気がつく。

《カム・オン・イン・マイ・キッチン》が終わろうとしている。

もう少し彼の声に触れていたい私は、大好きな《カインドハーテッド・ウーマン・ブルース》、そう、“心やさしい女のブルース”にポインタを合わせ、軽くクリックをした。

奇妙に覚醒した時間が規則正しく流れるオフィス空間。

雷と雨が降り注ぐ、“静かな”宵の口に、ロバート・ジョンソンのブルースが静かにとろりと溶け込んでゆく。

覚醒しつつも、とろりと溶解したかのような奇妙に心地のよい十数分。

雷はやんだが、外は相変わらずひどい雨。

遠くで電車の音が聞こえる。

Centennial CollectionCentennial Collection

記:2008/06/09

コメント

■ええなあ~
ロバジョン!
なつかしいなあ、
クロスロード
ええなあ~
気がついてみれば、
20年ぶりぐらいにロバジョンのレコードひっぱり出してみたりして。フラッシュバックにおそわれたりして。

Posted by 添削担当者 谷村 at 2008年06月09日 23:30

■たまぁに聴くと
そう、たまぁに

ふ、

と聴くと、
染みるのですよ、これが。

Posted by 高野 雲 at 2008年06月10日 00:10

 - ブルース