刺青の男/ザ・ローリング・ストーンズ

2019-09-02


Tatto You(刺青の男)

ジャズ好きにも馴染み深いアルバム

ジャズファンにとっては、おなじみのストーンズのアルバム、『刺青の男』。

ロックやストーンズ好きでなくとも、ジャズ好きにとってみれば、ソニー・ロリンズがテナーサックスで参加していることから、「ジャズ経由」でこのアルバムを知り、聴いたことがあったり、あるいは所有しているという人も少なくないんじゃないでしょうか。

かくいう私も、「ジャズ経由」でこのアルバムを知りました。
その後、当時組んでいたブルース・バンドでストーンズをやることになったため、ストーンズはかなり聴きまくり、結果的には、かなりのストーンズ好きになってしまいました。

中学生のときはさすがに分からなかったが……

その昔、私が中学校時代に、親父がストーンズを丸ごと1冊特集した雑誌を買ってきてくれて、ひととおり目を通してみたりもしたんですが、当時の私にとっては、何がどういいのかサッパリ理解することが出来なかった。

いま思えば、その世界(ロック業界)の評論家が使う、その世界(ロックの評論業界)で流通している言い回しやレトリックに無知なまま読んだために、そう感じてしまったのかもしれません。

いわゆる「ファンブック」のような形態の本ゆえ、ある程度はストーンズのことを分かっていること前提に書かれた文章だったから、当時の私にとっては意味不明な内容だったのでしょう。

しかし、その後、ジャズを聴くようになったり、そこから派生するようなカタチでブルース(特に戦前ブルース)を聴くようになったのですが、特にブルースのアバウトでワイルドな世界が、いつのまにやら鑑賞の下地になっていたのでしょうね、初期のストーンズから時系列を辿りながら聴いているうちに、「何これ、メチャクチャ気持ちいいじゃん!」と、頭より身体が先に反応するようになっておりました。いつの間にか。

で、最新のストーンズまで、とりあえずザザッとチェックをした中でも、私は、『タトゥー・ユー(刺青の男)』に関しては、かなり好きなアルバムの部類にはいっています。

ベスト5には確実にはいるな。

冒頭のキース・リチャーズの「♪・ジャージャジャッ!」のから、「お~出た出た、来た来た!」と身体が先に反応してしまうんですね。

安定感のあるストーンズらしさ

1981年に発表されたアルバムゆえ、ストーンズのある意味成熟期の録音ではあるのですが、だからといって、ラフな「ストーンズ・クオリティ」が失われているのかというと、そういうことはないですね。

たしかに、初期の雑でアバウトなアンサンブルではなく、メジャー感の漂う、なんというかサウンドメイキングもリッチな感じだし、アレンジやミックスのバランスも、スッキリと整理整頓された印象はあるけれども、「いつものストーンズ」を感じさせる「いつものテイスト」は、ここでも健在。

違うのは曲や参加ミュージシャンや制作スタッフのみで、相変わらず「ストーンズ体質」のリスナーツボをグビグビと突いてくれる内容であることには変わりはないのです。

ストーンズにしか出せない濃厚なテイストが、安定感のあるサウンドメイキングで聴けるということからも、ストーンズ入門者への「最初の1枚」としても、安心してオススメすることが出来る作品です。

「最高のサックス奏者」との共演

さて、ソニー・ロリンズについてなんですが、ミック・ジャガーが「最高のサックス奏者は誰だ?」と聞いたところ、ジャズマニアのチャーリー・ワッツがロリンズだと答えたため、ストーンズとロリンズという、ロックとジャズを代表するビッグアーティスト同士の共演が実現したというわけですね。

とはいえ、あくまで主役はストーンズ。

ロリンズは、ストーンズのワイルドな演奏をさらに拡張すべく、ワイルドなサックスで華を添えているといった感じです。

もちろん演奏の中に埋没しているというわけではないけれども、たとえばTOTOの『ファーレンハイト』のマイルス・デイヴィスのように、完全に一人のゲストジャズマンにスポットを当てるというような演出はなされてはいません。

しかし、だからといってジャズ好き、ロリンズ好きは失望するなかれ。

この時期の「吹きまくり」で「勢いモリモリ」なロリンズは健在で、テナーサックスにたっぷりと息を吹き込んだ豪快なプレイをしております。
ちょうど、この時期のロリンズは、『ノープロブレム』というアルバムをリリースしていましたね。
ライヴで《ドント・ストップ・ザ・カーニヴァル》や《アルフィーのテーマ》をパワフルにブリブリと吹きまくっていた時期です。

そんなロリンズが前面に出ていないカタチではあるけれども、でも、それでも良いのだ。

ストーンズの充実した演奏クオリティに触れるだけでも、十分にノックアウトされるに足る、由緒正しき正統派ロックン・ロールの王道の中央の道を悠々と歩いているような、そんなサウンドを楽しめるのが『タトゥー・ユー(刺青の男)』なのです。

記:2013/03/08

収録曲

TATTOO YOU (Rolling Stones)
– The Rolling Stones

1.Start Me Up
2.Hang Fire
3.Slave
4.Little T&A
5.Black Limousine
6.Neighbours
7.Worried About You
8.Tops
9.Heaven
10.No Use in Crying
11.Waiting on a Friend

Released:1981/08/24

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