雑想 2002年4月

      2022/04/17

ハイオツ村のゴールデンヤッキー

もちろんゴールデンヤッキーとは本名ではない。

ヤッキーがつくからと言ってロシア系でもない。彼はれっきとした日本人だ。

最初、彼は仲間からはボヤッキーと呼ばれていた。すぐにボヤくからだ。
ホルストの惑星が好きだということが理由で「ホルストヤッキー」と呼ばれていたこともあるが、言いにくいという理由ですぐに呼ばれなくなった。

しかし、彼はボヤッキーと呼ばれることをある時期から拒みはじめた。
『ヤッターマン』に登場する悪役一味の一人「ボヤッキー」みたいだからだ。
彼は一緒にされたくないと思った。

だから、自らを黄金のヤッキー、つまりゴールデンヤッキーと名乗ることにした。
しかし、彼のことをホルストヤッキーと呼ぶのが面倒なことと同様、ゴールデンヤッキーなどと呼ぶ者はこの村には皆無で、ゴヤッキーと縮めて呼ばれることが関の山だった。

既に彼の本名である前田新一という名を覚えている者はこの村の中では数えるほどしかいない。

さて、ゴヤッキーことゴールデンヤッキーが住む川山村というなんの変哲もない村は、通称ハイオツ村と呼ばれていた。
パイオツではない。
ハイオツだ。

理由は定かではないし、なぜそのように呼ばれるようになったのか、その由来を知る者も、いまではこの村にはほとんどいなくなってしまった。

推測される理由は2つある。
その中の一つで有力な説は、村人同士は、「はいお疲れさん」という挨拶言葉を省略して「はい、おつ」と言っていたこと。
そのことから、いつしかこのむらはハイオツ村と村を訪れたよそ者から呼ばれるようになり、やがて、川山村に住む村人たちも自分が住む村をハイオツ村と呼ぶようになった。
これが有力説その1。

もうひとつの説はいささか強引ではあるが、この村の男同士が「美人がいねぇ」「ろくなオンナがいねぇ」と酒飲み話にたびたび登場するボヤキがそうさせたという説だ。

おそらくは「オツ」は「乙」のことをさし、この「乙」が「廃れて」しまったからだろうというのが大方の見方だ。

つまり、「廃乙」。
「廃屋」ではない。

この廃れてしまった「乙」は一体何を意味するのかは、諸説あるが、おそらくは、乙女の「乙」からきているというのが一般的な見解だ。

この村に女性が少ないのかといえば、必ずしもそういうわけではないのだが、いわゆる浦島太郎の物語に登場する「乙姫様」のような、いわゆる美しい女性、あるいは高貴な女性がこの村に生まれなくなって久しい、だから乙女は廃れた、だから廃乙村ということになったのだろうと推察される。

そこで立ち上がったのがゴールデンヤッキーことホヤッキーだ。

俺が、この村に美しい女性をドッサリと連れて帰ってきてやる!
そう勇んで、彼は一路東京を目指した。

久方ぶりに県道に出てヒッチハイクをしようとした矢先、大型ダンプカーが彼をめがけて突進してきた。
大型ダンプの運転手は居眠り運転をしていた。
ダンプに牽かれたゴールデンヤッキーは即死した。

刺青の男

ロリンズ参加のロリンズ・ストンズ、じゃなくてローリング・ストーンズのアルバム『タトゥー・ユー(刺青の男)』。

曲は、過去のレコーディングでボツになった曲の中から集められているので、トータルで見ると、ちょっと散漫な感は否めない。

しかし、個々の曲は、たとえば、《スタートミーアップ》や、《黒いリムジン》など秀逸なものも多く、なぜ、このような曲が今までボツだったのかしら? と首を傾げてしまう、ある種、シングルヒット集的なアルバムではある。

ソニー・ロリンズの参加も珍しい。
あくまで、アクセントというか、引き立て役というか。
あんまり、ロリンズ、ロリンズと全面に出てきていないのは致し方のないことではあるのだけれども。

ああ味噌ラーメン、味噌ラーメン

深夜、急に味噌ラーメンを食べたくなることがある。

その時、ついつい歌ってしまうのが、椎名林檎の《積み木遊び》のサビのメロディにのっけた替え歌、
♪ああ味噌ラーメン、味噌ラーメン
なのだ。

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ユニバーサル ミュージック (e)

『マクロスプラス』のサントラは侮れないハイレベルのサウンドだぞ

アニメファンのみならず、音楽ファンも頷く内容。

そういう謳い文句だったが、たしかに、売り文句に偽りない内容だ。

もちろん私はアニメも見たが、正直、音楽のほうがアニメーションに勝ってるな、と、勝手に思っている。

イスラエル録音で現地フィルを起用したクラシカルな響きを持つ曲も良いが、個人的にはブルガリアン・ヴォイス特有の衝突する和声の心地よさを随所に散りばめた曲がいくつかの曲に病みつきだ。

特に、アニメで言えばエンディング・テーマにあたる《アフター,イン・ザ・ダーク~トーチ・ソング》。これは本当に鳥肌もの。

言葉を失う。

様々な“音”が渾然一体となって、こちらに襲い掛かってくる快感。

強いていえば、様々な要素を一枚に詰め込まれているので、アルバムとしての統一感には欠く。しかし、これはサウンドトラックの宿命でもあり、仕方の無いこと。

それよりも、《アフター,イン・ザ・ダーク~トーチ・ソング》の“一曲聴き”のために手に入れても損の無いアルバムだと思う。

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