雑想 2003年12月
2022/09/30
上を向いて歩こう
「上を向いて歩こう」と坂本九は歌ったが、こと都会では、上ばかり向いて歩いてはいられない。
特に夜。
道端に吐き散らかされたゲロ。
特に年末、忘年会のシーズンになると、道端どころか、道の真ん中にもゲロが吐き散らかされていることもある。
上ばかり向いて歩いていたら、踏んで、滑って、ひっくり返って、初めて空(上)を向くということになりかねない。
上も下も左右も見ながら歩かなければならないのが都会に住む人間の宿命なのだ。
サムシン・エルス!!!!オーネット・コールマン
いったいいくつ「!」を書けば正確な表記になるのかよくわからないオーネットの『サムシン・エルス!』は、初期のオーネットをとらえた1枚で、この頃は「まだ」ピアノが伴奏についているんだよね。
オーソドックスなピアノトリオのバッキングと、そこから微妙に乖離しているオーネットのアルトサックス(プラスチック製)の距離感が面白い作品だ。
オーネットにもフィットし、バックのピアノトリオにもフィットしてしまうドン・チェリーのトランペットが凄い!
西海岸のコンテンポラリーらしく、カラッ!とした音質の録音ゆえ、比較的あっさり聴けてしまう内容ですが、そこはかとなく「ヘン」なオーネットの味わいを見逃さないようにしよう。
『マイルス・イン・トーキョー』の《ウォーキン》
マイルス・デイヴィスの第二期黄金のクインテットの中では、いちばん聴く頻度が低いといのが、サム・リヴァースがテナーサックスの『マイルス・イン・トーキョー』だったんだけれども、今、久々に聴いているんだけども、なかなかいいですね。
サム・リヴァースのテナーサックスが、やっぱりウェイン・ショーターのプレイと比べると、いまひとつコンボの中での「異物感」が強く、トータルなサウンドのバランスから考えると、多少浮いているような気がする、というのが「頭」で感じていた主な理由なんだけれども、見方(聴き方)を変えれば、この異物感ってやつがけっこう快感でもあるんですよ。
ある意味、マイルス・デイヴィスが雇ったテナー奏者の中では、もっとも「暴れん坊」なリヴァースではあるけれども、バンドサウンドを破壊する直前の寸止めギリギリの際どいプレイがタマラン!って感じで。
このスリルはなかなかのものです。
『マイルス・イン・トーキョー』の中では、《ウォーキン》が特に好きで、トニー・ウィリアムスのドラミングが前半はとにかく凄い!
尊敬する師匠格のサム・リヴァースを前に、これでもか、これでもかと煽る煽る(ちなみに、マイルスにリヴァースの参加を強く勧めたのもトニーだそうです)。
ハンコックのソロからはテンションが落ち、そのままエンディングを迎えてしまいますが、とにもかくにも前半からドラムソロにかけてまでの流れが、とにもかくにも素晴らしいですね。
このアルバムも「小川のマイルス」同様、持っているジャズマニアは多いとは思いますが、日常的に愛聴している方は少ないマイルスのアルバムなんじゃないかと思います。
そんな方は、レコード棚(CD棚?)から取り出して、たまに聴いて興奮しまくって欲しいなと思います。
グレート・ジャズ・トリオ トニー・ウィリアムス
ハンク・ジョーンズ、トニー・ウィリアムス、ロン・カーターによるピアノトリオ「グレート・ジャズ・トリオ」の『アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』!
端正で慎み深いハンク・ジョーンズの持ち味は影をひそめていますが、そのかわり、彼のもうひとつの顔、アグレッシヴな一面が前面に出た好盤です。
これを引き出しているのがトニーのドラム。
ラフなようでいて構築的。
この時期のトニーのドラミングの特徴ですね。
イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ マイルス・デイヴィス
チャーリー・パーカーがテナーサックスとして参加していることがなにかと語られがちなアルバム。
それは、『コレクターズ・アイテム』だ。
もちろん、アルトの斬れ味とはまた違った、のほほんとした味わいのあるパーカーのテナーも捨てがたい。
しかし、パーカー参加のトラックのみならず、テナーにソニー・ロリンズが参加しているナンバーも捨てがたい。
特に、ラストの《イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ》。
マイルスのミュートプレイは絶品で、それに続くロリンズも、トミー・フラナガンも素晴らしいプレイを繰り広げる。
間違いなく初期のマイルスの中でも出色の出来映えの演奏といっても良いだろう。
▼収録曲
1. 蛇の歯(テイク1)
2. 蛇の歯(テイク2)
3. ラウンド・ミッドナイト
4. コンパルション
5. ノー・ライン
6. ヴァイアード・ブルース
7. イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ
地味⇒滋味 ポール・ウィナーズ
バーニー・ケッセル、レイ・ブラウン、シェリー・マンの3人による人気コンビによる『ザ・ポール・ウイナーズ』!
名手は、押しだけではなく、引きと緩急のつけ方に長けている。
今さらながら、そんな当たり前なことを実感できる演奏だ。
昔、これを初めて聴いたときは「地味だな~」だったけれど、今あらためて聴くと、「滋味だな~」に感想が変わってきまている。