雑想 2005年3月

      2022/12/11

雨の日の紀尾井町・クレーン

2005年3月10日。
紀尾井町。

まだ寒さが残る雨の日。

グレーの空。

遠くにクレーン。

この後、東日本橋に行き、
その後、新宿御苑に行った記憶がある。

ミスターP.C.のジョン・コルトレーン

マイナーブルース《ミスターP.C.》演奏を聴くと、この時期のコルトレーンは、定められたコード進行からハミ出していくのが間近なのだと感じられます。

小節ごとに決められたコードに従って律儀にアドリブを繰り広げていますが(それも猛烈な勢いで)、でも、もうこの時期のコルトレーンにとっては、小節ごとに変化していくコード進行は、細かすぎてスケールの小さい箱庭の中をうろうろしているように感じていたのでは?

もっと、音楽の流れの中を小走りに走るのではなく、もっと大股で自分の音楽を描きたかったのでは?コルトレーンは、モード奏法に出会うことによって、ようやく箱庭から出で大海に漕ぎ出したんだろうなと思います。

もちろん、当時のコルトレーンにとっては、そのような意識はなかったのかもしれませんが、コルトレーンの音楽スタイルの変遷を晩年まで聞いて遡るという俯瞰的な目で見ると、そう感じてしまうんですね。

ライヴ・フロム・ザ・ショーボート フィル・ウッズ

迷いのないド直球ストレートの白熱、真摯、熱血アルトサックス。

4ビートとアルトにかける情熱は誰にも負けません!

そんなフィル・ウッズの声がアルトサックスを通して伝わってくるような気魄のライブ盤です!

これをウッズのベストに挙げる人、多いですね(・∀・)b

▼収録曲
disc1
1. ア・スリーピン・ビー
2. レイン・ダンス
3. バイ・バイ・ベイビー
4. ジャンゴズ・キャッスル
5. チーク・トゥ・チーク
6. レディ・J
7. リトル・ナイルス

disc2
1. ア・リトル・ピース
2. ブラジリアン・アフェア
3. アイム・レイト
4. スーパーウーマン
5. ハイ・クラウズ
6. ハウズ・ユア・ママ(フィルのテーマ)

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組曲「宿命」 砂の器

言わずと知れた、映画『砂の器』。
悲劇の作曲家・和賀英良が作曲した(ことになっている)、壮大で悲しい交響曲です。

最初の数音を耳にしただけで映画の後半、約40分ぐらいの親子の巡礼のシーンが鮮やかに蘇ります。

個人的には「砂の器」は、やはり初代の「丹波哲郎・加藤剛」バージョンが最高ですね。

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あと、テレビ版の「田中邦衛・佐藤浩市」バージョンも小ぶりだけど良かったな。

廃校になった校舎の一室で、佐藤浩市(和賀英良)に亡き父の写真を見せながら「父親だろっ! ヒデオっ!!」と熱く迫る田中邦衛(今西刑事)の演技が胸を打つ。

あの一言は、『北の国から』の「子供がまだ食っとるでしょうが!!」に匹敵します。

ただ、このバージョンはDVD化されていないんですよね。残念!
以前、VHSで出ているのは見たことあるんですが。

その他のバージョンも、もちろんいろいろ見たけど、「うーん」って感じ。

特に「渡辺謙・中居正広」バージョンや、「小林薫(というよりは玉木宏)・佐々木蔵之介」バージョンは、なんかヘンに設定がオリジナルと変えられちゃってるところがあって、それが功を奏しているかといえば、そうともいえないような気がするので、悪くはないんだけど(見ている時は夢中になって見るんだけど)、鑑賞後の余韻にあまりひたれないというか。

ま、現代風にアレンジするとこうなっちゃうのかなと、仕方ない気もするのですが。

もはや平成の世にハンセン氏病(ライ病)といっても、そして、それに伴う「差別」社会の暗黒面といっても、視聴者の多くは実感わかなくなっているのでしょうね。

※後記
原作者松本清張の希望で、ハンセン氏病は劇中に使えなくなっているようです。

スタンダーズ・ライヴ’85(完全版)/キース・ジャレット

改めて見直すと、すでに20年前の映像ということに気付く。

キースをはじめ、ゲイリー・ピーコックもディジョネットも、みなさん微妙に若い(笑)!

1985年2月、東京は厚生年金会館ホールで行われたスタンダーズの演奏模様が収録されたDVDだ。

唸り声、中腰。

キースならではの独特な奏法を映像で改めて確認すると、本当にこの人は身を振り絞るように天上のメロディを紡ぎだしているのだな、ということが分かる。

さながら「鶴の恩返し」の鶴というと、ちょっと極端な喩えか。

しかし、このような姿で美しい織物を織っていたとすれば、鶴の気持ちとしてはやっぱり覗いて欲しくはないよなぁ(笑)。

この唸り(喘ぎ?)声がなければ、もっと美しい音楽なのに。

長らくそう思っていた私ではあるが、最近はこの唸り声、気にならなくなった。
むしろ、キースが紡ぎだす美しい音色、美しいメロディに色を添える、無くてはならないスパイスにすら感じている今日このごろ。

慣れって怖いなぁ。

《イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー》に《ステラ・バイ・スターライト》など、瑞々しいメロディが空間に誕生する瞬間を映像で追いかけてみるのも悪くない。

キース初心者も安心して「入って」いける映像だ。

記:2005/03/23

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コロムビアミュージックエンタテインメント

>>スタンダーズ Vol.1/キース・ジャレット

ドド・マーマローサのグリーン・ドルフィン・ストリート

ドド・マーマローサの『ドドズ・バック』は聴きどころ満載の素敵なピアノトリオのアルバムです。

良いところを挙げればキリがないのですが、
今回は彼のピアノのタッチについて。

けっこう重たいタッチですよね?

バド・パウエルを彷彿とさせる、ズシン!とくる重量感あふれるピアノの音色です。

この音色と、ドドが持つ独特の揺れるようなタイム感。

この2つの特徴は、好き嫌いが分かれるところかとは思いますが、好きな人にとってはたまらない要素なのだと思います。

この音色、このリズム感で疾走する、《グリーン・ドルフィン・ストリート》が手に汗握るスリルを感じられます。

ドドが持つ独特のタイム感と音色が、もつれそうでもつれない感じを生み出しているのです。

超高速テンポどいうわけではないのですし、演奏内容自体に特筆すべきことはないのですが、決して流麗とはいえないゴツゴツしたニュアンスで力強く前進していく様は、いつ聴いても“たまらん!”のです。

▼収録曲
1. メロー・ムード
2. コテージ・フォー・セール
3. エイプリル・プレイド・ザ・フィドル
4. エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー
5. オン・グリーン・ドルフィン・ストリート
6. ホワイ・ドゥ・アイ・ラヴ・ユー?
7. アイ・ソート・アバウト・ユー
8. ミー・アンド・マイ・シャドウ
9. トレイシーズ・ブルース
10. ユー・コール・イット・マッドネス

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