雑想 2008年4月

      2023/10/14

ブルーベックの息子たち

ピアニスト、デイヴ・ブルーベックの長男・ダリウスはキーボード奏者なのだ。

次男のクリスは、トロンボーンとベースの両奏者。

三男のダニーはドラマー。

四男のマシューはベースとチェロ奏者。

音楽一家なんだな。

デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション

ブルーノート1500番台の1枚。

私が、このアルバムの良さに気づくには随分と時間がかかった。

リー・モーガンやクリフォード・ブラウンやフレディ・ハバードのトランペットに慣れた耳には、サドのトランペットはいささか違う文法というか語り口というか、最初はしっくりこなかったからだ。

しかし、彼なりの語り口や美学があるのだな、ということがだんだん分かってきた。

そして、サド・ジョーンズならではのメロディアスにフレーズを歌わせるアプローチに慣れてしまうと、結構はまってしまう。

ブルーノートだからといって買ってはみたけど、うーん、いまひとつポイントがつかめないな、なんて思っている人は、すぐにこのCD、中古ショップに売らないでね。
しばらく持ってみよう。
そして、忘れた頃に引っ張りだして聴いてみよう。

ひょっとすると、たまらないほどの愛聴盤に成長しているかもしれない。

あ、成長といってもCDは成長するわけないんで、自分の耳が成長している可能性大、ということです。

>>デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション/サド・ジョーンズ

ライトハウス・アット・ラグナ

ベーシスト、ハワード・ラムゼイのリーダーアルバムだが、それよりも、西海岸コンテンポラリー・レーベルの俊英が勢ぞろい! の、楽しい演奏集といったほうが良いかもしれない。

たとえば、バーニー・ケッセル(g)。

《ラウンド・ミッドナイト》においての、艶やかな情感表現が素晴らしい。

さらに、ハンプトン・ホース(p)。
彼も2曲、ゲスト的にトリオで参加しているが、彼のピアノは快調そのもの。

ノリ良し、歯切れ良しの文句なしの名演奏。

ラムゼイのベースそのものは、安定したバンマスって感じで、特に「華」や見せ所はないかもしれないが、それでも、彼率いるライト・ハウス・オールスターズの洒脱なアレンジと、コンビネーション抜群なアンサンブルは素敵。

素敵といえば、ついでに、ジャケットも、なんだか素敵(笑)。

ユニコーンのベスト

いまさらながら、いま聴きかえすと名曲揃い。
いまさらながら、感じるは、ほのかなセンチメンタルっぷり。
いまさらながら、青臭さと、オヤジガキな達観っぷりの絶妙な捩れバランスの心地よさ。

代表曲《服部》も《ヒゲとボイン》がはいっている。
《スターな男》もはいっている。
《シュガー・ボーイ》も《おかしな二人》もはいっている。

“若したたたか”。
“勢いを保ちつつ微妙にヤジーな感覚”。

うーん、ああ、こういうテイスト流行ってたねぇ的な時代を感じるサウンドかもしれんが、だからといって、まだまだ色褪せてはいませんぜ。

リアルタイムで聴いたときよりも、ある程度年をとってから聴いたほうが、より一層しみじみしたり、なるほど、わかるわかる、な頷き度がアップしませんか?

この若いくせに、人生経験を増やして、ふとある時期に振り返ったときに、妙に昔聴いていた曲の歌詞にリアリティを感じる。
こういうことってたまにあるよね。

私の場合は、尾崎豊なんかが、わりかしそうだけど、ユニコーン、というよりも、奥田民生のセンスも、けっこう、年齢かんけいなく、完成された“若おっさん”だったんだな、と、いまさらながら気がついたりしている。

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スタン・ゲッツ 黒いオルフェ

ゲッツのボサといえば、定番『ゲッツ・ジルベルト』が好きで、もう一つの代表作『黒いオルフェ』のほうは、ほとんど聴いていなかった。

2枚の大きな違いは、編成の人数。

コンボ編成な『ゲッツ/ジルベルト』に対して、『黒いオルフェ』は、オーケストラ編成で、ちょっと重たいというか、ゴージャス過ぎて私にはトゥー・マッチだったのですよ。

しかし、よく聴くとゲイリー・マクファーランドのアレンジが絶妙に楽曲のツボを押さえており、とてもリラックスしてくつろげるんだよね。

しかも、ゲッツのテナーは相変わらずの歌心を発揮しているし、たとえば、今日の夜はパーティなんだけれども、冬場のパーティにかけるボサノヴァには、ほんとピッタリとハマる内容であることには間違いない。

それにしても、最近はCD安くなったね。

昨日タワーレコードに寄ったら、『黒いオルフェ』のCD、1000円で売っていてビックリしました。

これじゃあ中古CDショップは儲からないんじゃないかなぁ。
それに、中古ショップにCDを売る人も、二束三文から二束三文以下の買い取り値になっちゃうよね(笑)。

関係ないけれども、さきほど、“オルフェ”とタイピングしようとしたら、タイプミスで、“おふれ”と打ってしまった。(皆さんもやってみよう、間違えやすいよ)

「黒い御触れ」っていったいなんなんだ?(笑)

ブレッカーとブランフォード

ny_bridge

ブランフォードもね!

おそらく、あと二ヶ月後に、
あれ? 三か月後かな?

とにもかくにも、たぶん、春になれば、某出版社から某師匠と私の共著が発売されると思うけど(もっともネームバリューの差からも師匠・著という打ち出し方になるとは思いますが……)
あ、ジャズの本ね、CD付きの。

この本の打ち合わせというか選曲で、もうだいぶ前になるけれども、日本橋のある鰻専門の料亭で酒を飲んでいたんですよ。

締めの親子丼のおいしい店だったなぁ、あとで領収書を切った編集者に値段を聴いたら、目玉が飛び出るほどの額で卒倒しそうだったけど……(笑)。

ま、それはともかくとして、師匠と、今回の本に関して、誰を取り上げようかという話を喧々諤々と、……いや、そんなことは一切なくて、

酒がまわって和気あいあいと、紹介するジャズマンのリストアップ作業をしていたんですよ。

ピアノだったら、ビル・エヴァンスは外せないねぇ、
あと、キースも入れないとねぇ、
コリアは? ハンコックはぁ?
みたいな感じで。

その選別作業の中で、ふと気づいた点。

テナーサックスを選ぶ段になって、師匠がブレッカーは絶対に入れてくれ、と言ってきたのね。

ま、それに関しては、まったく私は異論がないし、へぇ、師匠ってモブレイとかのやんわり和みハードバッパーだけではなく、ブレッカーも好きなんだぁと思いつつ、次に師匠は「ブランフォードもね!」

うん、もちろん、これにも異論ないし、むしろ、私としてはブレッカーよりもブランフォードのほうがグッとくるので、それはもちろん、そのとおり!ということで、候補者リストアップに入れた。

で、ラッパ奏者の選別では、「ウイントンは外せない!」うん、それももちろん異論ありませんが、そうそう、師匠、マルサリス兄弟好きなんだねぇ、それも、こちらが思った以上に、というのがそのときのジャズマン選別作業で感じたことの1つ。

ジャズの伝統・落語の伝統

言われてみれば、分かるような気がする。

伝統をふまえるジャズの名家、マルサリス家。
同じく、江戸時代、19世紀初頭から、9代目の現代にまで脈々と江戸噺家の系譜を受けつぐ師匠のお家柄。

意識的に、重ね合わせようとしているのかもしれないし、あるいは、無意識に相似なものを感じているのかもしれないよね、というのが、その場に居合わせた編集者の感想。

で、私もそのとおりかもしれないな、と思っております。

なので、その本で取り上げます、トリオ・ジーピー。
もしかしたら、他のアルバムにするかもしれないけど(笑)。

記:2008/01/21

追記

そして出来上がった本がこちら。

自分でいうのもヘンだけど、なかなか良い本だと思います。
(・∀・)b

記:2008/04/30

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