雑想 2018年11月
2022/11/07
寄り添う電柱
金八先生は、黒板に縦斜めの線を二本書き、「人は人によって支えられ、人の間で人間として磨かれていく」と語った。
しかし、『リーガル・ハイ』の古美門センセイ(堺雅人)によれば、「え~人という字は、え~人と人とが、お互いに、支え合って出来ているわけでは……ありましぇん! 一人の人間が、両足を踏ん張って大地に立っている姿の象形文字です。人は1人で生まれ1人で生きていき1人で死んでいきます。中学時代の友人や人間関係はこの先の人生でほとんど役には立ちましぇん!それどころか、くだらない友情と地元愛で縛り付け、自由な人生を阻害する腐った鎖でしかありましぇん!」ということらしい。
それはともかく、寄り添う電信柱。
二本の棒が大地に踏んばっているというよりも、寄り添って立っているといった趣き。
それはそれで美しいではないか。
もうすぐ冬、の空が濃い。
記:2018/11/01
夜の建機
工事現場と八代亜紀
夜の工事現場にたたずむパワーショベル(油圧ショベル)。
昼のミッションを終えて、ひと休み、といった風情。
オイルまみれで黒ずんだアームと、ギラリと光る銀のシリンダーのコントラストが美しい。
足回りはAFVのプラモを作る際の参考になりますな。
こんなに大胆に黒く(濃いグレーで)汚しちゃってもいいんだ!って勇気をもらえます。
一般にAFV模型の覆帯周りの汚しは、茶色系の色を中心で汚すことが多いけれど、コンクリートや泥の上の場合は、大胆にグレー中心の色で汚しちゃってもOKなんだね。
先日買ったんだけど、まだ使用していないグレイ系やサンド系のMr.ウェザリングカラーが大活躍しそうです。
それにしても、ああ、なんと静かなることよ、夜の建機。
「夜の~」といえば、そういえば、八代亜紀のアルバムに『夜のアルバム』というタイトルのものがあったことを思い出した。
そして、たしか《ワーク・ソング》が収録されていることも思い出した。
意外と工事現場にも似合うアルバムなのかもしれない。
電信柱とマシーネン
このゴチャゴチャしているようで、整然とまとまっている感じがすごく好き。
アンバランスとバランスの調和というか。
どこをクローズアップするかによって、「ゴチャ」なのか「調和」なのか、感じるニュアンスがまったく変わるのも楽しいよね。
だから電信柱ウォッチングはやめられない。
私が横山宏氏デザインのマシーネンクリーガーのノイスポッターなどのメカが好きなのも、一見アンバランスに見える箇所も、全体のバランスの中に呑みこまれているかのように美しい調和を保っているものが多いからかもしれない。
特に、好きなのはシェンケル。
分かる人にはわかるセクシーさ。
あの配線むき出し感は、強いメカメカしさを感じさせると同時に、なんともいえない美しさすらも感じてしまう。
キット化されていないのが残念だけど、もしキット化されたら、どれぐらいのパーツの数となり、どれほどの値段になってしまうのだろう。
そして、もし買って作ったとしても、今度はディスプレイする場所が……。
いや置き場所以上に、時折積もった埃を掃除しているうちに、配線や細かなパーツが取れてしまったりしそうで怖い……。
今の自分は『モデリングブック』のシェンケルの美しい写真を見て、ため息をつくくらいのレベルで丁度良いのかもしれないね。
コード巻取り機とドイツの88ミリ砲
タミヤの88ミリ砲を思い出す
このクレーンのコード巻き取り機がなんともそそります。
こちらね。
ニョキッと突き出ている黒ミラーが、なんともカッコいいですね。
それから、整然と並んだ無数のパイプもなかなか立体大好き心をくすぐります。
このようなリール(ケーブル)を巻きとる円形の物体を見ると、必ずといって良いほど88ミリ砲を思い出します。
正確には、88ミリ砲を運搬する台車についているコードの巻き取り機ですね。
タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.17 ドイツ陸軍 88ミリ砲 プラモデル 35017
昔、中学生の時にタミヤから出ている88ミリ砲を作った際、「意外と面倒だなあ」と思いながら、巻き取りパーツに黒いビニールコードを巻き巻きした記憶がよみがえってくるのです。
以来、路上ライブをしているアマチュアミュージシャンの足元にある電源コード巻き取り機や、クレーンなどの建機にコード巻取り機がついていると、ついつい食い入るように眺めてしまうんですね。
そして、タミヤの88ミリ砲を思い出すのです。
88ミリ熱が建機に向かう
88ミリ砲、カッコいいんだけど、細かい部品が多くて作るのに手こずった記憶があります。
組み立て細かい部品が多いため、組み立て説明書を見ると、練習用に最初はバイクを作ってみましょう、みたいな流れになっているんですよ。
でも、個人的にはバイクはいらんから、もっとお値段安くならないもんかなぁと思ったものです。
でも、バイクがあるとないとでは、あら不思議、かなり飾っているときの雰囲気が大違いなのです。
べつにジオラマのように地面を作ったりしなくても、机の上に88ミリ砲だけではなくバイクも一緒に並べるだけで、グッと臨場感が出てくるので、やっぱりバイクは付いていて正解なのかな?と思ったりもしました。
バイクを作って、台車を作って、そして本体の88ミリ砲がようやっと完成したら、細かいパーツを筆塗りで破損させるのも勿体ないので、エアブラシでジャーマングレーをぶわぁっと吹き、乾いたらエナメル形塗料(当時はパクトラタミヤ)のレッドブラウンとフラットブラックを混ぜた状態のものをスミ入れするのですが、溶剤と塗料を混ぜる比率がイイカゲンだったためか、拭き取りの際に、パキパキと細かいプラスチックのパーツが割れてしまったことも良い思い出(悪い思い出)。
最終的には「壊れた88ミリ砲」ということにして、ハルレッドやレッドブラウンで塗装を追加してサビを追加して、タミヤの情景スプレーを吹き付けて誤魔化したのも良い思い出(普通の思い出)。
88ミリ砲は、プラモマニアでもある漫画家・新谷かおる氏も漫画のタイトルにするほど(『エリア88』ね)、当時のミリタリーモデラーにとってはプラモ心をくすぐる要素満載のキットだったのです。
もちろん今でもそうなのかもしれませんが、私の場合は現在のところ、88ミリ砲は再び作ろうという気はおきないかな。パーツが細かくないガンプラをせっせと作っている(塗っている)今日この頃なのです。
しかし、88ミリ砲の造形には心奪われ続けていることは確かで、その細かなパーツの集積体を見るのが好きなエネルギーは、リアルに存在する建機の細かなパーツに注がれているような気がします。
記:2018/11/24
損保ジャパン日本興亜本社ビルとクレーン
こんな日の夜は、ビリー・ホリデイが良い
安田火災海上本社ビルとクレーンです。
えっ? 今は安田ビルじゃない?
そうそう、会社の合併で名前が変わったんだ。
現在は、損保ジャパン日本興亜本社ビルでしたね。
な、長い。
覚えられるかな?
調べてみると、2014年にビル名が変更されてるそうだから、もう4年も前に名前変わってたんだ。
ずっと、「安田火災ビル」とか「安田ビル」って呼んでました。
それで通じない人には、「パンタロンビル」とか、「ベルボトムビル」といえば、だいたいが「ああ、白くて裾が広がっているビルね」と理解してくれたものです。
しかし、このビルの「末広がり」のデザインは、ベルボトムではなくて、富士山をイメージしたものだったんですって。
知らなかった!
別な日に撮影。
この日差し、夕方近し。
そしてまた、そろそろ冬近し。
この風景にスタンダードの《ニューヨークの秋》は似合わないけれど、何の脈絡もなくビリー・ホリデイの《ギルティ》を無性に聴きたくなってきた。
優しい気持ちになれるんだよね。
ほんの少し肌寒くなってきた空気の中をもう少し歩いて、宵の口に差し掛かったら、たまに行く新宿の西口のバーでホットウイスキーを作ってもらおう。
それと共に、初期のビリー・ホリデイも(あれば)かけてもらおう。
記:2018/11/27
クレーンの赤いアクセントと動力パイプ
「ちょこんと赤」がツボ
黒にオレンジ。
もしくは黒と黄色。
この配色のクレーンって多いし、工事現場を象徴する2色ゆえ、この配色だと0.1秒で、「おっ、クレーンだ!」と認識する。
あるいは、「おっ、(ブルドーザーなどの)建機だ!」みたいにね。
なので、この手の建機は黄色系と黒系の配色が、それこそ「中央線はオレンジ色」だということと同じくらい我々の脳の中には「当たり前のこと」として認識されてしまっているんだけれども、だからといって、工事現場の黒&黄色系の建機のすべてが、この2色の配色で占められているわけではない。
アップで見ると、ちょこんと赤のアクセント。
この「ちょこん」な赤が、個人的にはすごくツボなのです。
真っ赤ではなくて、朱色がかった色味が、これまたグー!
動力パイプ
と同時に、グレーのパイプやシリンダーもツボ。
私がパイプ好きになってしまったのは、きっとザクのせい。
ザクのみならず、それ以降のモビルスーツは、ジオン系のもののみならず、関節などのちょっとしたところにパイプのチラリと見せるデザインも少なくないんだけど、発見するたびに、「おお、こんなところにも!」と嬉しい気分になりますね。
私が大好きなジ・オの脚部にも、シンプルな装甲の裏側には、ニョロニョロとミミズのようなパイプがいっぱい。
それに比べると、上記クレーンのパイプの並びは整然としていますね。