奄美・歴史探索の旅 6

   

text:高良俊礼(Sounds Pal)

「奄美・歴史探索の旅 5」の続きです。

道に飛び込む

おがみ山の一番上にある広場から、一本だけ奥の方へと伸びている未舗装の道がある。

ここを進めばどこに行くのか?
表示や標識は何もない。

「よく分からないが、多分コレだ」
意を決してその道へ飛び込む。

迷ったらどうしよう?

直感を信じて飛び込んだはいいが、全然関係ない場所に出てしまったら・・・?
一瞬不安がよぎったが、こういう時は直感を信じることにしている。

道はどんどん細く険しく、鬱蒼と茂る草木に覆われ、暗くなってもくる。

報国神社

そんな道をひたすら歩くこと1時間、不意に目の前の道が途切れ、車の通れるアスファルトの道が目の前を横切るように敷かれている。

不思議な気持ちになった。

だがそれ以上に、私を不思議な気持ちにさせたのは、その道の向こうにある、白い鳥居だ。

「報国神社」。
鳥居にはそう書いてある。

しかし、ここは山奥も山奥、人が気軽に来られるような場所ではない。
鬱蒼とした人の気配の一切ない空間に、アルファルトの道と金属製の鳥居が、やたら眩しく浮き上がって映る。

「あれ?もしかしてここ?」

そう、山道をひたすら歩くことに集中してここまで来たので、一瞬忘れていたが、今回の目的は「永田山”ウガンジョ”を見付けること」だった。

周囲の様子を探る。

鳥居が建っているその場所が、登り口になっていて、更に先の見えない細い道があり、どう見ても「ここから先は別の空間」という趣きがある。

もう一度鳥居の文字を見たらやはり「報国神社」。

これもまたうっかりだったが、そういえば「戦前から戦時中は、出征兵士の武運長久を祈願する場所と定められていた」という話も聞いたばかりだった。

とするとここが、例の「ウガンジョ」で、恐らく間違いないだろう。

境内の水場

神妙な気持ちで鳥居をくぐる。

予想はしていたが、その先は人工的なものの気配が全くない、素朴な道だ。

少し上って、少し下ると、コンクリートで四角に囲われた水場があった。

水が張ってあり、その中ではイモリ達が伸び伸びと泳いでいたが、この周囲には水を引き込む管もなければ、滝や沢があって、そこから流れて来てる訳でもない。

一体水はどこから流れて来ているのだろう?と思ってよく見たら、背後の壁から少しづつ、自然と染み出してこの水場に溜まっているようだった。

今まで色んな川の源流は見てきたが、山に染み込んだ水がこういった形で出てくるところは見たことがないし「水の生まれるところ」がこのような姿をしているなんて想像もしていなかった。

ひとしきり感心したが、ここはまだ入り口付近。この水場の先にも小道は続いていて、多分そこを上れば「神社」なのか拝殿なのか、或いは何か御神体のようなものが祀られている場所があるはず。

とりあえずその場を離れ、更に奥へと続く参道へと向かった。

奄美の歴史探索の旅 7」につづく

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●高良俊礼(奄美のCD屋サウンズパル

記:2016/12/17

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