ヘレン1号(人型自動鍵盤演奏機)
2021/02/17
ヘレン1号
またまた古い発掘音源の紹介です。
今回紹介するのは《ヘレン一号》という曲。
いや、曲というより音?
ロボットの駆動音のイメージミュージックというよりは、イメージ・ノイズですね。
いま改めて聴きなおすと、う~ん、アナログぅ~。
ピアノロボット
この「ヘレン1号」というロボットは、歯車だらけでオイルにまみれたロボットの名前です。
もちろん私の中の想像上の産物。
機能は、「ピアノを不器用に弾く」。
以上(笑)。
スイッチが入ると(なぜか音声で起動するスイッチ)、目がピカーッ!と光り、ピアノに向かってゆっくりと歩いていきます。
ギコチない足取りで。
そしてピアノの鍵盤の前にたどり着くと、おもむろにピアノを弾き始めます。
流ちょうな曲は弾けません。
無骨な和音を「ボキッ!」と奏でるのみ。
何の役にも立たないのだけれども、役に立たないからこそカッコいい!(?)
なぜ、このメカの名前が「ヘレン」なのかというと、私の高校時代の友人に「ヘレン」というニックネームのピアノ男子がいたから。
もっとも本人は「ヘレン」と呼ばれるのをイヤがっていたようでしたが……。
彼に「ヘレン」と命名したのは、ヘレン君の幼馴染の生徒で、その理由は「極度に無口な上に、こちらが話しかけても聞こえていないのか返事をしないから⇒ヘレン・ケラー⇒ヘレン」というような理由でした。
ヘレン君は音楽室でよくショパンの《ノクターン》を弾いていました。
そんな彼をロボット化すると面白いキャラが出来るかな?と妄想した私が考えたロボットを音にしたのが、今回の掘り出し音源の《ヘレン1号(人型自動鍵盤演奏機)》だったのでした。
KORG MONO/POLY
この音を録音したのは1985年です。
高校生の時です。
当時愛用していたシンセサイザー、コルグのモノポリー(KORGのMONO/POLY)で作成した音です。
ツマミをいじくっているうちに出来てしまった音です。
当時はこの音を保存する術がなく、フロッピーディスクすらもなかった時代だったので(厳密にいえばカセットテープのデータレコーダーに保存は出来たのですが、持っていなかった)、ノートにすべてのツマミの目盛りの数をメモしていました。
ところがアナログシンセゆえの気まぐれで、今日作った音を翌日メモをした数字にあわせて再現しようとしても、微妙に違う音になってしまうんですよね~。
しばらくは、この音色で遊んでいたので、最初に作ったときの音色とは微妙に違った音色になってしまっているのですが、むしろ最初に作った音よりも、お気に入りに音色になっていたと思います。
そして、これにマクソンのフランジャーをかまして、さらにエグい音にしたのです。
カセットテープの多重録音
そして録音。
録音は多重録音ですね。
といっても、当時はまだMTRなど高価なものなど買えるわけもなく(TEACかFOSTEXのもので、約10万円はした)、家にあるラジカセ2台(うち1台は妹から借りて)を使って録音をしました。
ミキサーはBOSSの1万円台の安いものがあったので、それを使いました。
使用機材
録音に使用したシンセサイザーは、モノポリーの他、もう一台ありました。
爆発音はローランド(Roland)のSH-101で、当時話題だった廉価かつショルダーキーボードにもなるモノフォニック・シンセサイザーですね。
冒頭の「ヘレン1号発進せよ!」の声は、小学生の弟の声。
この呼びかけに反応して、歯車が回転、目が点灯し、ゆっくりとピアノに向かって歩き出すというイメージです。
アナログチックなSFメカが大好きだった当時の私にとては、大変満足のいくサウンドに仕上がったと思っていました。
ところが、周囲に聴かせたところ、「うるさい」「騒々しい」という反応ばかり。
うーん、ウルサくて、騒々しいところがイイのですけどね……。
ま、自己満足だったということでしょう。
記:2015/09/20