雪月花〜ヒステリック・ジャズ・テクノ
Cジャム・ブルース
この曲を作ろうと思ったキッカケは、デューク・エリントンの《Cジャム・ブルース》でした。
この曲のすごいところは、たった2音だけで曲が成立してしまっているところなのです。
なんたって「ソ」と「ド」だけなんですよ。
たった2種類の音だけで、あんなにゴキゲンなブルースになってしまのですもの。
すごいです。
いかに音を「置く」タイミング、場所次第で素晴らしい曲が出来上がるという好例ですね。
もちろん私は、かの20世紀が生んだ音楽の巨人であるデューク・エリントンに対抗しようとは微塵も思っていません。
そんな、そんな、おこがまし過ぎます。
ただ、「自分だったら何音で納得のいくメロディが作れるのかな?」という興味がありました。
だから、それにチャレンジした結果が《雪月花》という曲だったのです。
う~ん、いま聴いてみると、ガチャガチャと忙しいアレンジです……(汗)。
2音 4音
もっとも「2音」は無理でした。
「4音」になっちゃいました。
そのかわり、コードの数を減らしました。
2種類のコードだけです。
ちなみにベースで使用している音も2音のみです。
このコードの少なさは、コード進行ではなく、考え方としては、ほとんどモードですな。
そうすることによって、単調な伴奏をバックに、どこまで飛躍できるかという新たな課題が生まれました。
エリック・ドルフィーのように突拍子もないフレーズと、びっくりするほどの跳躍を、鍵盤で表現する試み。
そう、私の脳内ジャンルのヒステリック・ジャ・テクノですね。
テーマがシンプルなぶん、アドリブパートの音数を増やしました。
《港湾警備指令》の記事でも書きましたが、「打ち込み補正」の手法を使っています。
まずは、即興で手弾きをして、その後、タイミングがズレたりミスタッチをした音符を探して修正する手法ね。
この曲は、かなり修正した箇所が多いです。
修正だけでも数日かかりました。
即興で手弾きで弾いたのは10分程度なのにね。
でも、疾走感のようなものが出てきているので、まーいーか、と思っています。
リズム
曲の後半、リズムがいったん止まって、また再開。でも、やっぱり中途半端な感じを残して、ようやく元の聞きなれた状態に持っていく方法は、立花ハジメの《チキン・コンソメ》の影響です。
アルバム『太陽さん』に収録されているナンバーですね。
大好きなアルバム『太陽さん』の中で私がもっとも好きなナンバーなのですが、この曲は後半部、いったんリズムが止まって、やっぱり再開して、でも、もう一回やり直すかのようにリズムが再スタート。
このデジタルなのに、アナログっぽい演出が面白いなと思い、この《雪月花》でも真似させていただきました。
でも、なんだかリズムがせわしないので、あんまりブレイクをした感じがしないので、中途半端な感じになっちゃいました。
タイトル
タイトルは、かつて渋谷にあった「雪月花」という創作和風居酒屋の店が好きだったので、店名をそのままタイトルにさせていただきました。
この店、大好きだったんですよ。
渋谷消防署の前の道、原宿に向かう道がありますよね?
この道から坂を登るようにはいっていくと地下にある店でした。
お仕事でおつきあいのあった博報堂の方に連れていってもらって以来、すごく気に入って、会話を楽しみたい人とはよくこの店に行ったものです。
なにが良いかって、居酒屋コーナーもあれば、懐石料理のコーナーもある。さらに、料理やお酒がラストオーダーになった後でも、カウンターがある奥の間のバーコーナーが営業している。
和風創作料理の食事を楽しんでから、バーでもっとディープな夜を過ごすとい流れが私は大好きでした。
それと店内のレイアウト。
まず、お勘定をするレジの周囲が小さな博物館のようになっていて、陳列ケースの中に、昔のカメラがレイアウトされているのがオシャレだと思っていました。
たしか、ライカだったかな?
フロアのレイアウトは、季節ごとにこまめに変えられていたのですが、店内の雰囲気の基調となる竹のレイアウトが、なかなか雰囲気があって良かったですね。
床から天井まで数本の竹が天井に向かって置かれているんですよ。
いつも、この竹を見るたびに『ロジック・システム』のジャケットを思い出したものです。
あ、だから、この曲のタイトルは《雪月花》になったのか。
もちろん、ロジック・システムの楽曲を意識したわけではないけれども、無意識に電気なスピード感を追い求めていたのかもしれません。
記:2015/09/27
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