カフェモンマルトル

ジャズと映画と本の日々:高野雲

子どもに学ぶナンパのテクニック

      2016/03/14

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うちの息子は、人のひざの上に乗るのが得意です。

ライブ、オフ会、飲み会などに連れてゆくと、私がちょっと目を離した隙に、女性に抱っこされていることなど日常茶飯事です。

すでに2歳の頃から、あちらこちらをチョコチョコと動き回って、自分好みの女性を“ナンパ”して、ヒザの上におさまってしまうのが得意でしたから、将来が楽しみ……、いや、心配です(笑)。

息子は現在6歳で、幼稚園でいうと年長組ですが、身体はそうとう大きく、初めて会ったほとんどの人が「小学生?」と聞いていくるほどです。

バクバク喰って、グーグー寝ているので、デカい。それに重たいのです。もう抱っこする体重でもありません。

しかし、私が自宅で床に足を伸ばしてTVをみたりパソコンを打ったりしていると(わが家には椅子というものがなく、床中心の生活をしています)、気がつくと、スッと私のヒザに乗っかる大きな影が。

そう、息子なのです。

ほんの一瞬の間隙をつき、私のヒザに乗っかってくる。

いや、気づくとすでにヒザの上。恐るべき素早さです。

と同時に、私のヒザの上に、猫のように丸まって神妙に収まっているので、「どけ」とも言えず、しばらくは抱っこをしながらテレビを見るはめに。

ま、大きくなったとはいえ、まだまだ幼児の延長のようなものですから、身体を触っていると、肌はスベスベで、プニプニしてさわり心地は良いですけどね。

もっとも、さすがに20分も続くと足が痺れますが。

相手のヒザの上にサッと収まり、なおかつ、乗っかられた相手にイヤな思いをさせず、抱っこさせてしまう息子は、まれにみる“抱っこされ上手”です。

うちの息子の抱っこされ方テクニック、というか必殺口説き文句(笑)があります。

では、息子はなんと言って、女性の膝の上に滑り込むのか。

たしか、2年前かな?

野外ライブを行ったときに、ガラガラの会場をちょこちょこと走り回る息子は次から次へと女性の膝に乗っかっていました。

うん、たしか、この写真の頃だな……。

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私はステージの上からベースを弾きながら、その様子を見ていました。

そして、ベースを弾きながら思いました。

「いったい、どうしたらこうもカンタンに膝の上に乗れるのか……?」

自分のバンドの出番が終わり、他のバンドがステージで演奏している間、息子の後をつけてみました。

すると、なんと、こんなことを言っているのです。

「さっき、お空にヘリポクター、飛んでいたよね?」

ヘリ“ポク”ターとは、もちろんヘリ“コプ”ターのことだと思うのですが、まぁ、ヘリコプターが空を飛んでいたとしても、いきなり、見ず知らずの子供が突然目の前にやってきて、

「さっき、お空にヘリポクター、飛んでいたよね?」

と語りかけられても、言われたほうとしては、「は??」ですよね。

しかし、この突然の角度から、思いも寄らない話題を振られると、どうしても、聞き返してしまいますよね?

「え、お空にヘリコプター飛んでたの?」
とか、
「“ヘリポクター”って何?」
とか、
「お母さんはどこ?」
のように。

で、聞き返されれば、会話が始まります。

ヘリポクターが飛んでいようがいまいが、「ボク、見たんだよ、飛んでるところを」で話が進みますし、
「お母さんどこ?」
は、そのとき女房はライブに来ていなかったので、
「母上はいないけど、父上はベース弾くの」
です。

そうすれば、「へぇ、そうなんだ」となるわけですよね。

そうこうして、会話らしきものが交わされているちょっとした隙に、ヒョイッと膝の上に乗っかってしまうわけです。

うーむ、わが息子ながら感心してしまいました。

そしてひとつ学びました。

最初に声をかける言葉は、なんでもイイんだってことに(笑)。

よく、ナンパの本とか、対人関係の本や、モテる方法が特集されている雑誌には、最初の会話の切り出し方や、女性をその気にさせるセリフが載っていることがありますが、大事なことは話すセリフの内容ではないんだなぁ、相手が返しやすいボールを投げてあげれば、会話って自然に生まれるんだなぁ、と思いました。

しかし、誰もが使える言葉じゃないですもんね、「ヘリポクター飛んでいたよ」は。いい大人がこんな言葉を使ったら、単なる変質者です(笑)。

でも、小さな男の子が「ヘリコプターの話」を突然切り出したら、いったいなんなんだろう? と相手が興味を持つ確率は高いです。

メールや手紙は別ですが、生身のコミュニケーションで大事なのは、言葉の文字内容ではなく、いかに、相手の関心をこちらにひきつけるか、いかに、会話をしやすい方向に持っていくか、ということを、息子とライブ会場に来ていた女性との素っ頓狂なやり取りをみて思った次第です。

記:2005/09/14-16(from「趣味?ジャズと子育てです」)

追記

上のテキストを書いてから、はや10年強。

息子も高校生になりました。

もうすぐ高校2年生。

あいかわらず、ナンパの技術(?)に磨きをかけているようです。

つきあったことがある女の子は、もう片手では足りないようです。

しかも全員外国人(あ、日本人の女の子も私の知る範囲では1~2名いたかもしれない)。

お前、どうしてこうもたくさんの外国人の女の子と付き合えるわけ?と尋ねると、「そんなの簡単じゃん、日本語で口説くのは照れるけど、外国語だったら、どんなに歯が浮くようなクサいセリフ言っても恥ずかしくないじゃん」だそうです。

なるほど、まだまだ学ぶこと、いっぱいあります……。

将来アイスピックで刺されるなよ……。

記:2016/03/14

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