カフェモンマルトル

text:高野雲

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子どもを置き去りにする母親

      2016/05/02

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先日、品川駅の構内を歩いたら、「ぎゃー!」という男の子の泣き叫ぶ声が聞こえました。

どうやら、母親が男の子のことを置き去りにして早歩きをはじめたようです。

男の子は、「待ってー!」とばかりに泣き叫んでいたわけです。

しかし、泣き叫びながらも、いっこうに母親を追いかける気配もなく、ただ、その場に立ち尽くして号泣するばかり。

すたすたと足早に歩いてゆく母親との距離は開くばかりです。

このシーンを見て、あなたは子供を置き去りにしている母親のことを冷たい母親だと思いますか?

悪い母親だと思いますか?

昔の私はそう思ったかもしれません。
しかし、今の私は、必ずしもそうは思いません。

もちろん、置き去りにした母親の肩を持っているわけではありません。
公衆の場で置き去りをするという行為を賞賛しているわけでもありません。

ただ、親になると、なんとなくヨソ様の親の気持ちも分かってきます。

子供を世話をする女房の姿を見ていると、そういう態度をとりたくなる母親の気持ちがちょっとは分かるようになってきたのです。

もちろん、「置き去り」という行為は誉められるべきことではないでしょう。

しかし、その一点を見ただけで、「良い・悪い」を論ずるのは、あまりに酷です。

なぜなら「点」しか見てないからです。

母親にとっての子を育てるという営みは「線」です。
延々と続く「線」です。

1日24時間、365日、子供の世話の連続です。
慢性的に睡眠不足です。

母親は、神でもベビーシッターロボットでもありませんから、誰だって、ナーバスになることだってあるし、疲れることだってあります。

ムカムカすることだってあるでしょう。

ときには、疲労やイライラの頂点に達したら、子供に冷たい仕打ちをすることだってあるかもしれません。

でも、それは、きっと母親にとっての長い子育てライフの点の部分なのです。

しょっちゅう子供にヒドい仕打ちをしているわけでは、ありません。

もし、そうだったら、とんでもない「バカッ母」か「鬼母」です。

だから、この点の部分のみを見て、ヒドい母親だとは私はとてもいえません。ま、出来れば、群集の中でそのような行動はとって欲しくはないんですけどね……。

私も息子が赤ん坊の頃は、女房ほどではありませんが、夜泣きなどに気が滅入り、睡眠不足でヘロヘロになったことはしょっちゅうありました。

こういう気分を味わったことがある人ならば、一見、子供に冷たい仕打ちをしているような母親を見ても、即、そのことをもってして責めようとはとても思えなくなるのです。

子どもが可哀想でしょ、周りが迷惑するでしょ、というような「責める」気持ちよりも、「大変ですね」「毎日、休みない子育て、お疲れさまです」という気持ちのほうが先に出てしまいます。

お、そろそろ10分だ。
今日はこのへんで。

記:2005/08/06

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