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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

No Exit/姫の乱心

   

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インクスティック

学生の頃、一度だけ姫の乱心のライブを見に行ったことがある。

場所は浜松町の「インクスティック・トーキョー(インクスティック鈴江ファクトリー)」。

あの頃はライブ三昧の日でしたな。

たしかの日は、友人と2人で新宿の「ピット・イン」に、その友人が当時ホットミュージックスクールで習っていたテナーサックスの先生がリーダーを務めるトリオのライブに行き、その後別の友達と待ち合わせをして「インクスティック」で姫の乱心のライヴ。

そして興奮さめやらぬうちに大学の音楽室に行きベースを大音量でかき鳴らしながらジャムセッション。

さすがに昼、夕、晩の音楽3連ちゃんがこたえたのか、翌日から数日の間寝込んでしまった記憶があります。

この日に限らず、この時期はなぜかバイト代が結構はいてきて羽振りが良く日々ライブ三昧だったため身体が弱ってしまったのでしょう。

「インクスティック」で見た姫の乱心は、キーボード奏者の宮城純子さんがリーダーのバンドという触れ込みだったため、キーボードのスーパーテクニック(笑)を心の中のどこかで期待していたんですが、キーボードが前面に出るバンドというよりは、爆裂元気なアンサンブルが炸裂といった感じで、楽器奏者の個人表現というよりはグループ全体が一丸となった表現が印象に残りました。

そして、はじけるリズムの中の隙間からニョロニョロと垣間見えるオルガンの音がなんともプログレチックで、心地よかったのです。

ベースぼりぼり

爆裂アンサンブルの中でも、特に私は六川正彦氏のエレクトリックベースのプレイが印象に残っておりまして、プレシジョンベースをうつむき加減にボリボリ弾いているベーシストの姿がなんともカッコ良いと思ったものです。

そう、「ぼりぼり」「ぶりぶり」なんですよ、ベースの音色が。
音圧高くアンサンブルの発電所的な役割を果たしていた。

ところが後に発売されたアルバムを聴いてみると、ベースの音色が「ボリボリ」から「プリプリ」になっているんですね。

よりフュージョン的になったというか、ヌケの良い音になっていました。

これはまあ、1階から見上げ、2階席からステージを見下ろす構造になっている「インクスティック」という会場の音響構造の影響もあったのかもしれませんが、2Fの最前列のテーブルから見下ろすようにライブを見ていた私には、そこはかとなく「和」の要素すらも感じてしまうベースの音色はボリボリ、もしくはゴリゴリとしたニュアンスに聴こえたんですね。

もしかしたらアルバムのレコーディングにおいては、当時はやりの「はっけよい」系(マーカス・ミラーや 青木智仁でお馴染みの8khzをブーストさせたイコライジング⇒「8系良い」⇒「はっけーよい」)の音色に近づけてミキシングされていたのかもしれませんね。

ドラムスすばこーん

そして、このボリボリベースと抜群の一体感を出していた渡嘉敷祐一氏のドラムもライブ会場では「ドタドタ、ズカーン!」と迫力のサウンドだったのが、アルバムの音色は「ずばこーん!」が「スコーン!」とヌケの良い音色になっている。

ベースもドラムも、CDに収録されている音色はライブで味わったサウンドとはかなり異なるニュアンスでした。

もちろん、だからといってアルバムのサウンドが悪いというわけでは全然なくて、CDで聴くには私がライブで味わって音圧高めの高密度サウンドだと聴く人が疲れちゃうんじゃないかという配慮だったのかもしれませんね。

一瞬、マイク・スターンやマーカスが所属していた時期のマイルスのアンサンブルを意識しているんじゃないかという瞬間もあったりして、そうそう、『ウィ・ウォント・マイルス』のあたりですね。

参考:ウィ・ウォント・マイルス/マイルス・デイヴィス

もちろん、マイルスグループ特有のダークな要素は皆無ですが、健康スポーティな美しくも体力勝負など根性フュージョンを楽しむことが出来ると思います。

プログレ好きのみならず、復帰直後のマイルスミュージックが好きな人も一度は耳を通してみてください。

ジャケットのイラストは、なんだかスタイリッシュな聖飢魔IIというか、B級ビジュアル系バンドというか、なんだかサウンドとはほど遠いイメージではあるのですが、ジャケットのイメージで聴く気が萎えないことを祈る!

記:2018/10/02

収録曲

NO EXIT (ハピネット・ピクチャーズ)
- 姫の乱心

1. Mr.K
2. Banana Cake
3. C7
4. Too Much Too Late
5.No Exit
6.I'm Not Home

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