【三文日記】1999年10月
2023/06/05
10/1(fri)
半蔵門の小洒落た日本料理屋で食事。
「鶏肉と餅の唐揚げ」「椎茸とハンペンと白身魚のあんかけ」など、一品ごとの素材の組み合わせのアイディアが独創的な上に、それを納得させるだけの味の深さに感心。
シェア・ハイト著/石渡利康訳『ハイト・リポート1999』(邦題『なぜ女は女が嫌いなのか』)読了。
10/2(sat)
終日「アリとゾウ」執筆。
息子、お食い初め。
首もほぼ座り、一生懸命寝返りをしようとエビぞっている。
10/3(sun)
涼しい。
だから午後より夜まで昼寝。
起きている間は飽きもせずにネット。
10/4(mon)
あいかわらず企画の綱渡り状態が続く。
だからこそ、仕事が面白いともいえるのだが。
木全公彦・林公一『大人になったのび太少年』読了。
10/5(tue)
平日とはいえ1~2年前と比較すると圧倒的に人の数が少なくなった六本木、C君とバックステージで合流し飲み&演奏。
ここのところバックステージに行くと「火曜日の~子です」「水曜日の~子です」のように、必ず歌うたいの女性が店にいるが、こんなに寂れた客の少ない飲み屋(失礼!)に、よくまぁこれだけたくさんの女性を用意できたな、一体どこから連れてくるんだろう、恐るべしマスターの人脈。
で、火曜日の「なんとか子さん」のオリジナル曲にぶっつけ本番でキーボードで伴奏をつけ自爆した私。
10/6(wed)
A嬢から借りた『ベルセルク』を1巻から6巻までと、『ドラゴンヘッド』8巻を読む。
コルトレーンの『インターステラー・スペース』などを久々に。
個人的な好みだが、トレーンは後期になればなるほど、精神性とか探求心とか、そんなものとは無関係に、単純に“音のエグさ”が良いと思う。
10/7(thu)
仕事で「待ち」をしていても、こちらの期待以上に面白い案やデザインがあがってきた時はそれまでの疲れが嘘のように吹き飛ぶ。
A嬢が近日中に立ち上げるという別サイト「マンガ館」用の原稿を寄稿。
秋月岩魚『ブラックバスがメダカを食う』を読了。
10/8(fri)
関係者のミスとトラブルが今日に限って続発、尻拭いの連続な一日。
「スーパーどタコ」な大胆な発想と、それを裏付ける緻密な構成力、そして繊細さをも合わせ持つデザイナーO氏と、六本木の「シシリア」で安イタ飯、そしてバックステージ。
おっぱい好きのマスター、いつものように新顔の客には「おっぱい話」で洗礼、朝帰宅。
10/9(sat)
B君、C君、A嬢、H嬢とで、新宿でオフ会。
H嬢が仕事で抜け、カラオケ後A嬢も帰る。
残った3人で六本木に移動、相変わらずバックステージで飲み。
10/10(sun)
気持ちのよい天候の一日。
女房、息子と近所のショッピングセンターへお散歩。
A嬢から借りた『ベルセルク』を18巻まで読み倒す。
10/11(mon)
《丸の内サディスティック》をピアノで弾いて遊ぶ。
ホントいい曲だね。
終日ジミヘンをかけながら読書と息子のお相手。
10/12(tue)
ミルト・ジャクソンが亡くなった、ショック。
急いで「ミルト・ジャクソンとモンクについて」というテーマのエッセイを書き、モンクのページにアップロード、急いでキーボードを打ったため背中が痛い。
ウイルソン晴海+糸井成人『電遊族が会社を滅ぼす~―あなたのオフィスの「あんまりなやつ」』読了。
10/13(wed)
今月16日のオフ会の参加予定者の人数が予想以上で嬉しい。
が、あの狭くてボロい店に入りきれるのかちょっと心配でもある。
久々にベースの練習。
10/14(thu)
F嬢と六本木の「ぐでんでん」。
バックステージで常連のヘンな外人J氏(Mr.ビーン似)と一緒に馬鹿騒ぎを朝まで。
『2000年危機から身を守る本~何が起こるのか、どうすればよいのか?』読了。
10/15(fri)
渋谷のタワーレコード、いつも必ず立ち寄るモンクのコーナーに『セロニアス・モンク・イン・コペンハーゲン』があった。
おお!知らんぞ、これ。
だから、買い。
10/16(sat)
六本木バックステージでオフ会、横のつながりの無いグループを同居させてしまったので、ちょいと心配だったがまぁ何とかなったでしょう(と勝手に思っている)。
参加者は、かがみ、カジさん、くぅたん、うさりん、うさりんが連れてきたSHIBA氏、せるた、C98、しまちゃん、嶋木ひか、b(以上、ハンドルネーム表記)と、息子と女房。
みなさんお疲れさまでした、私は飲み足りないので近所で飲みなおして帰りました。
10/17(sun)
いつから今日が「孫の日」になったのかは知らないが、「孫の日」を理由に実家から母が息子の顔を拝みに来る。
いつものイタ飯屋で、レフォスコ、ウサギの肉のトマトとクリームで煮込んだパスタなど。
息子が店内で絶叫し、店の雰囲気ぶち壊し(本来ならばこのような店には赤ん坊や子供などは連れていくべきではないのだろうが、いつもの息子は騒がないし、その上食欲にはやはり勝てません)。
10/18(mon)
今日も他部署のミスの尻拭い。
ここのところ自分の力の及ばない場所での(ケアレス)ミスが多発、結局埋め合わせの出来る人間は俺しかいないから参るよな、いいかげんにしてくれよ、といった気分。
LD、DVD、CDを兼ねたデッキが故障した静かな秋の夜長。
10/19(tue)
椎名林檎の《積木遊び》が頭の中に鳴り響いていた一日。
仕事をしながら ♪あーしくじったーしくじったー、
電話をかけながら ♪あーやられたりーやられたりー、
バイトのコにクリップを借りる時も ♪あーくやしけりーくやしけりー、
マックでビッグマックを頬張りながら ♪あーしくじったーしくじったー(馬鹿…)。
林真理子『美女入門』(角川書店)読了。
10/20(wed)
『ロッキンオン・ジャパン』の椎名林檎ロングインタビューを読むも、やはり、というべきか、何の感銘も受けないどころか、むしろ鑑賞の妨げになる「邪魔」な「ノイズ的文字情報」が頭の中にインプットされてしまった感じで、読まないままでいれば良かったと後悔することしきり。
何事もそうだが、知ってしまった以上は、「知る前の状態」でモノゴトに接することは決して出来ない(恋人の浮気とか、ネ)。
私はあくまで彼女の「サウンド」が好き、「表現者」としての彼女が好き、舞台裏や表現の種明かしを覗いてしまった時に感じる「幽霊の正体を見たり 枯れ尾花」状態の気持ちは、興醒めとまでにはいかないまでにせよ、初めて接したときの「ワクワク感」からは確実に遠ざかってしまうが、だからといって即彼女の音楽を嫌いになったわけでもなし、「綺麗なところだけを見ていたかったのに、もっと夢を見させろよ」と思うわけでもなし、ただ単純に「あ、そう」と空虚なため息をつくばかりで、今も昔も変わらずに淡々と好きです、『無罪モラトリアム』。
10/21(thu)
H嬢とお茶の水で飲み。
10時に待ち合わせをして寿司屋へ向かうも既にオーダー終了、駅前の居酒屋でケーキの出来損ないのように甘く胸焼けしそうな「松田名人のオムレツ(松田名人って誰だ?)」などを喰っているうちに、すぐにラストオーダー、閉店。
夜の早い街だね、お茶の水は。
10/22(fri)
魚喃キリコの新刊『南瓜とマヨネーズ』を読む。
ちょっと頭が弱くてマジメで平凡な女の子の日常を淡々と描いた作品。
クセになりそうな絵とシンプルでセンスの良い配色のカバーが良い。
10/23(sat)
《正しい街》のベースを完コピするぞ~!と気合いをいれて、部屋の隅でホコリをかぶっているベースを久々に弾くも、指板に引っ掻き傷が出来てしまった。
よく見ると弦が錆びていることに気付かないまま弾いたので、サビの粗い粒子で指板を引っ掻いてしまったのだ。
慌ててレモンオイルを染み込ませてことなきをえたが、楽器は頻繁に弾いてあげないとダメだね。
10/24(sun)
息子を実家の両親に見せに行く。
実家は割と近所だが、訪問は三ヵ月ぶり。
ニューオリンズ帰りの親父からミヤゲを奪い、すぐに帰宅。
10/25(mon)
会社の休憩室で、若いバイトの女の子たちを相手に上司と会社のシステムの悪口をしたり顔で話している若い社員、不満を持つことや愚痴を言うことに関してはとりたてて目クジラを立てるほどのことでもないのだが、彼の話ぶりは明らかに若い女の子の気をひこうとする下心が見え見えで、話さんでも良いことまで、得意満面に話していて、若い女の子にコビを売っているのはミエミエ、そこまでして気を引きたいのかよと思ってしまう。
学校や予備校の教師にも、生徒の人気と注目を集めようと、やたらと生徒に調子を合わせ、話さんでもよい職員室の内部事情や同業者の悪口までを語る手合いが多いが、こういった人種には心底反吐が出る。
C君と秋葉原の「じゃんがらラーメン」。
10/26(tue)
椎名林檎のマキシシングル『本能』、タイトル曲はありきたり過ぎてこれといって引っ掛かるところはなかったが、残り2曲のクオリティは高いくせに「フェイク臭」を失わないボサ&ジャズっぷりに大笑い。
女房と息子で近所のイタ飯屋で、エスト・エスト・エストに金目鯛のグリルなど。
安本美典『説得の文章術』(宝島社新書)読了。
10/27(wed)
iMac導入後、ほとんど使い道のなくなったパワーブックを音楽の打ち込み専用機にしている(それ以前に購入したパフォーマーはワープロ専門機)。
《正しい街》、《丸の内サディスティック》のベースラインで譜割りの不安な数箇所を打ち込みし、音の配列を確認。
パワーブックにインストールしてある「EZ-Vision」は操作が簡単な上、コストパフォーマンスが非常に高いソフト、音のメモ帳として重宝している。
10/28(thu)
先日「雑想」にアップした「椎名林檎の愉しみかた、俺の場合」に対しての思わぬ反響のメールの数々。
漠然と感じてはいたけれど説明し難い「何か」を言葉にしてくれたなどの内容で、ちょっと嬉しい。
久保博司 『警察官の「世間」』(宝島社文庫)読了。
10/29(fri)
O氏と六本木の「富沙屋」で広島風お好み焼き、最近出来た安居酒屋で飲んだ後、バックステージで飲み。
テレビ東京のR氏の部署のパーティ中にお邪魔するも常連のJ氏がいたので静かなブルースなどをセッション。
J氏にトロンボニストでもあるスウェーデン人の顧問コンサルタントを紹介される。
10/30(sat)
今月号の『Out there』の特集は「カインド・オブ・ブルー40年目の真実」なので、慌ててレジへ。
私がジャズにのめり込むきっかけ、そして「よし、今後もジャズを聴き続けていこう!」と確信を抱かせたのが、マイルスの『カインド・オブ・ブルー』。
深く静かなアルバム、今でも深夜によく聴く。
10/31(sun)
今まではLD&DVDデッキでCDを再生していたが、さすがにCD再生専用機ではない上に本来の使い方ではないので、故障しやすいからやめた方がいいと電機屋さんからのアドバイスがあり、CDの再生専用のデッキを購入。
DENONの小型で安いやつ。
終日息子と遊ぶ俺はまるで歩く遊園地。